2010年 12月 15日
【10215】 時期を待てよ柿の種 |
★ 食事のデザートに柿が出てきました。
大きなタネを横に転がしてフト、想いました。
年輪を重ねて定年、社会から距離を置いて、ひっそりと生きる隠棲生活!
★ 改めて、それを問い直してみて、シミジミと想うのは、”効率”を問われない気楽さですね。トシヨリの特権は、自分の器量に備わったリズムで、誰にも干渉されることなく生きられること。
★ 《桃・栗、3年、柿8年》のことわざ・・・・誰でも身に覚えがあることですが、小学生の頃、高学年になると、算数で分数を教わります。それまで順調に学んでいた子どもの多くが、ここで戸惑い、その意味も十分、飲み込めずに、多くの場合、”覚えて”急場をしのぎ、得体の知れない漠然とした不安を抱えながら計算に取り組みます。「九九」もそうですが、何が何だか分からない。そんな時期があります。
★ ところが、中学生になると、ほとんどの子が、理解します。何故、あの時に分からなかったのか? ウソのようにスラスラと理解を深めています。知能の発達も身体の成熟と深い関係があるのですね。教育者は、これを「11歳の壁」と呼んでいます。
★ 通常は、この年齢までに基礎学力をつけねば、その後の教育が困難になる、と言う意味で使います。確かに、この年齢になると、子どもは劇的に変化します。しかし、それは、身体の成熟と密接な関係がある。それを無視すると、大変な過ちをおかすことになりかねません。
★ 自らが、子育てを終え、息子たちが子どもを得て子育てをするのを眺めるようになると、そうしたことが見えすぎるほどよく分かります。そこで、”ジジ・ババ”は、つい口出しをしてしまう。
★ 多くの若い親たちにとっては子育ては試行錯誤です。どうしても先へ、先へと、自分の思い入れをつぎ込み勝ちです。だれもが「子育てとは英才教育と見つけたり」といわんばかりの入れ込みようです。トシヨリの目には、それが危うく感じられて仕方がない、です。
★ 私どもの子育てもとっくに終わり、親となったその子ども達も50歳代。子育ても終盤に来ています。最年長の孫が来月は27歳、一番末の孫でも22歳。 5人の孫は、今年から次々と社会に巣立って行きます。それを見ながら、つくづく思うのが《桃・栗3年、柿8年》「時期を待てよ”柿のタネ”」です。
★ この美味しい柿も、芽が出て、葉が茂り、やがて実をつけるまでに長年の月日がかかる。 あせらず、ただ成長を光と水に委ねて、適切な時期に、適切に肥料を与える。そして病害虫に心を配って、時期を待つ。米穀・果樹・野菜のすべてに通じる育ての心構えですね。
★ ところが、我々、人間は、コト、我が子の子育てとなると、この原理を忘れて、無理な「英才教育」に走りがちです。 子どもの将来に向けた親の思いの丈を乗せて、音楽教室、英語教室、塾通い・・・隣がすれば負けてはならじ、とばかり、その先を争う。
★ たしかに「蒔かぬタネは生えぬ」 興味・関心を抱かせるには新しい世界を体験させるのもだいじでしょうが・・・・本当は、子ども自身が見つけるもの。この時期、親の務めとして一番、大事なのは躾です。自らを律する克己心のある根性作りの方が大事です。
★ 蒔いたタネが芽を吹いても、それが育つには時間がかかります。 誠にジッとガマンの「桃・栗3年、柿8年」 その忍耐が必要です。 しかし、多くの場合、私たちは、せっかく芽生えた若芽を、枯らしてしまうことが実に多い。その失敗の多くが「効率の呪縛」ですね。
★ 音楽、英語、「あれも、これも、いついつまでに、ここまで達成しなければならない」 そして闇雲に叱咤・激励。 願う効率ペースを尺度に、将来を悲観したり、楽観したり、一喜一憂の毎日。若いお母さんの孤軍奮闘ブリをみていると可哀想になります。しかし教育に「効率」を持ち込むのは、有害・無益。育ちは子どもの内発的な動機に委ねればいいです。そのためには己を律する克己心が一番、頼りになります。
★ 私たち自身の「育ちのプロセス」を思い返してみましょう。誰もが九九や分数で乗り越えることが困難だった「11歳の壁」が「桃・栗3年、柿8年」の真実を悟らせて呉れるはずです。そして私たちがそうであったように、成長するに連れて、みんながその壁を乗り越えて新しい世界を拓いていきます。
★ 勿論、個々人に備わった器量は様々。”柿”が「桃・栗の成長が早い」と嘆くことはありますまい。”柿”のタネは”柿”の木を茂らせてカキを実らせる。それで十分ではないか。 老後、我が身の過ぎ来し方を振り返り見て、つくづく想う。
胡瓜(キュウリ)の蔓(つる)に茄子(ナスビ)は成らぬ
当たり前のことに辿り着くと心は和みます。
---------------------------------------------------------------------------------
庵主の自己紹介とご挨拶・・・【吉備野庵】へようこそ
-----------------------------------------------------------------------------------
大きなタネを横に転がしてフト、想いました。
年輪を重ねて定年、社会から距離を置いて、ひっそりと生きる隠棲生活!
★ 改めて、それを問い直してみて、シミジミと想うのは、”効率”を問われない気楽さですね。トシヨリの特権は、自分の器量に備わったリズムで、誰にも干渉されることなく生きられること。
★ 《桃・栗、3年、柿8年》のことわざ・・・・誰でも身に覚えがあることですが、小学生の頃、高学年になると、算数で分数を教わります。それまで順調に学んでいた子どもの多くが、ここで戸惑い、その意味も十分、飲み込めずに、多くの場合、”覚えて”急場をしのぎ、得体の知れない漠然とした不安を抱えながら計算に取り組みます。「九九」もそうですが、何が何だか分からない。そんな時期があります。
★ ところが、中学生になると、ほとんどの子が、理解します。何故、あの時に分からなかったのか? ウソのようにスラスラと理解を深めています。知能の発達も身体の成熟と深い関係があるのですね。教育者は、これを「11歳の壁」と呼んでいます。
★ 通常は、この年齢までに基礎学力をつけねば、その後の教育が困難になる、と言う意味で使います。確かに、この年齢になると、子どもは劇的に変化します。しかし、それは、身体の成熟と密接な関係がある。それを無視すると、大変な過ちをおかすことになりかねません。
★ 自らが、子育てを終え、息子たちが子どもを得て子育てをするのを眺めるようになると、そうしたことが見えすぎるほどよく分かります。そこで、”ジジ・ババ”は、つい口出しをしてしまう。
★ 多くの若い親たちにとっては子育ては試行錯誤です。どうしても先へ、先へと、自分の思い入れをつぎ込み勝ちです。だれもが「子育てとは英才教育と見つけたり」といわんばかりの入れ込みようです。トシヨリの目には、それが危うく感じられて仕方がない、です。
★ 私どもの子育てもとっくに終わり、親となったその子ども達も50歳代。子育ても終盤に来ています。最年長の孫が来月は27歳、一番末の孫でも22歳。 5人の孫は、今年から次々と社会に巣立って行きます。それを見ながら、つくづく思うのが《桃・栗3年、柿8年》「時期を待てよ”柿のタネ”」です。
★ この美味しい柿も、芽が出て、葉が茂り、やがて実をつけるまでに長年の月日がかかる。 あせらず、ただ成長を光と水に委ねて、適切な時期に、適切に肥料を与える。そして病害虫に心を配って、時期を待つ。米穀・果樹・野菜のすべてに通じる育ての心構えですね。
★ ところが、我々、人間は、コト、我が子の子育てとなると、この原理を忘れて、無理な「英才教育」に走りがちです。 子どもの将来に向けた親の思いの丈を乗せて、音楽教室、英語教室、塾通い・・・隣がすれば負けてはならじ、とばかり、その先を争う。
★ たしかに「蒔かぬタネは生えぬ」 興味・関心を抱かせるには新しい世界を体験させるのもだいじでしょうが・・・・本当は、子ども自身が見つけるもの。この時期、親の務めとして一番、大事なのは躾です。自らを律する克己心のある根性作りの方が大事です。
★ 蒔いたタネが芽を吹いても、それが育つには時間がかかります。 誠にジッとガマンの「桃・栗3年、柿8年」 その忍耐が必要です。 しかし、多くの場合、私たちは、せっかく芽生えた若芽を、枯らしてしまうことが実に多い。その失敗の多くが「効率の呪縛」ですね。
★ 音楽、英語、「あれも、これも、いついつまでに、ここまで達成しなければならない」 そして闇雲に叱咤・激励。 願う効率ペースを尺度に、将来を悲観したり、楽観したり、一喜一憂の毎日。若いお母さんの孤軍奮闘ブリをみていると可哀想になります。しかし教育に「効率」を持ち込むのは、有害・無益。育ちは子どもの内発的な動機に委ねればいいです。そのためには己を律する克己心が一番、頼りになります。
★ 私たち自身の「育ちのプロセス」を思い返してみましょう。誰もが九九や分数で乗り越えることが困難だった「11歳の壁」が「桃・栗3年、柿8年」の真実を悟らせて呉れるはずです。そして私たちがそうであったように、成長するに連れて、みんながその壁を乗り越えて新しい世界を拓いていきます。
★ 勿論、個々人に備わった器量は様々。”柿”が「桃・栗の成長が早い」と嘆くことはありますまい。”柿”のタネは”柿”の木を茂らせてカキを実らせる。それで十分ではないか。 老後、我が身の過ぎ来し方を振り返り見て、つくづく想う。
胡瓜(キュウリ)の蔓(つる)に茄子(ナスビ)は成らぬ
当たり前のことに辿り着くと心は和みます。
---------------------------------------------------------------------------------
庵主の自己紹介とご挨拶・・・【吉備野庵】へようこそ
-----------------------------------------------------------------------------------
by zenmz
| 2010-12-15 09:13
| 教育論