2006年 04月 02日
【6078】 やはり若いことはいいことだ。 |
★ 大衆向けの軽評論は単純・明瞭であることが求められるのは分かるのですが、そこまで単純化していいのか? と、ちょっと首をひねりたくなるのが最近のテレビ・ニュース・キャスターのコメントです。ホリエモンのライブドア事件に続き永田寿康衆院議員の偽メール事件と続いた後、責任を取って辞任に追い込まれた民主党の前原誠司代表への追及。
★ 今朝のテレビ各社は、全くだらしない民社党の1ヶ月半に及ぶ迷走の後、辞任に追い込まれた前原代表を前にして、次のコメントを浴びせかけていました。「やはり若ケリャイイって言うもんじゃ無いんだ。ベテランの経験が大切ですね」 軽佻浮薄はテレビの常、とは思うものの、全く白けますね。
★ ベテランの経験と、聞いた瞬間、先ず脳裏に浮かんだのは つい先ほど東京地裁で出た自民党の政治資金規 正法違反事件に対する「村岡判決」です。旧橋本派が日本歯科医師会の政治団体・日歯連から受けた1億円を政治資金収支報告書に記載しなかったヤミ献金で、当時、同派幹部だった村岡兼造氏が起訴された事件ですが、その判決は驚くべきものでした。
★ 村岡氏に無罪を言い渡した東京地裁は、さらに踏み込んで判決理由で次のように述べました。「橋本(龍太郎元首相)は、政治資金規正法違反の罪に問われる可能性は相当高いと考えられ、このことは、橋本が不自然なまでに本件献金に関する事実を記憶していないと証言していることを説明するに足る」。
★ 裁判所がここまで言い切る、”黒い霧”を張り巡らせて逃げられる”ベテランの経験”は、1億円をもらっても「記憶にない」と言い続け、傍証が固まると、「みんながいうからそうなんだろう」ととぼける知恵なのでしょうか。
★ 私は、こんなベテランの骨身にまでにしみこんだ狡猾な知恵よりも、未熟で起こる正直な失敗の方を許せると思います。そもそも今朝のテレビ各社の前原民主党代表辞任に対する評論は負け犬を棒でたたく類の誠に内容のないものでした。先にもこのブログ(【6072】 問われる政治家の見識 )で述べましたが、偽メール問題に関わる一連の政治責任は3月24日の衆院懲罰委員会での綿貫民輔前衆院議長(国民新党)の指摘ですべて明確にされています。各紙新聞論壇でもこれ以上、立派な評論は見かけません。
★ 若者が未熟さのゆえに起こす事件は、基本的に制度疲労を起こしている社会システムとの衝突の側面があると思っています。旧秩序に従わない行動は既得権に安住している人々に恐怖感をもたらします。時にはそれこそ生殺与奪次元の大事になることもあるのでしょう。
★ しかし、そのシステムの外に置かれた人々の公平を求める正義の理想からすれば、ベテランの経験やとりなしではラチがあかない。そこで”造反有理”の行動に出るケースも多々、あります。多くの場合、旧来の陋習を破る効果をもたらします。
★ 例えば、ホリエモンのライブドア事件。従来の経営秩序から大きく逸脱した特異行動であったことは確かです。何度も指摘されてきました。今から振り返ってみれば、ホリエモンの企業活動に”虞犯性”のあることを指摘し、その時点で正道に戻させるチャンスは何度もあったハズです。
★ しかし、それをせずジッと”自由に泳がせ” ておいて、一挙に検挙。規制緩和、規制緩和の小泉改革に乗って、無邪気に「百花斉放」で躍り出た異端児は、一罰百戒のスケープゴートにされたのではないか。
★ あの総選挙で、「小泉改革のモデル」と持ち上げた小泉ー竹中政権は素知らぬ顔で、傷一つ負わないでいます。さすがに狡智に長けたベテランですね。厚顔無恥・・・政治家はこうであらねばつとまらないのでしょう。
★ テレビのコメンテーターがこうした一連の暗い過去を持つ「ベテランの経験」を、この時期に持ち出すのであれば「やはり若ケリャイイって言うもんじゃ無いと言うバッシングが起こり始めて、”ベテランの経験が大切”なんていう声が大きくなって来ていますが、”ベテランの経験”はより危険ですね。たとえば・・・」と解説すべき場面でしょう。全く逆ですね。
★ 今、なんとなく社会に漂い始めた「若ケリャイイってもんじゃない」と言う雰囲気。これが風潮になると、政界も、財界も、経済界も、学校、職場も・・・必ずいわゆるベテランがワケ知り顔で登場し、若者の押さえにかかります。民主党の後任代表選びで早くもそれが始まっていますが、今朝も吉備高原は春雷がとどろきました。春の嵐がこうした風潮を一掃し、若者が改革の志を萎縮させることがないよう願います。
★ 今朝のテレビ各社は、全くだらしない民社党の1ヶ月半に及ぶ迷走の後、辞任に追い込まれた前原代表を前にして、次のコメントを浴びせかけていました。「やはり若ケリャイイって言うもんじゃ無いんだ。ベテランの経験が大切ですね」 軽佻浮薄はテレビの常、とは思うものの、全く白けますね。
★ ベテランの経験と、聞いた瞬間、先ず脳裏に浮かんだのは つい先ほど東京地裁で出た自民党の政治資金規 正法違反事件に対する「村岡判決」です。旧橋本派が日本歯科医師会の政治団体・日歯連から受けた1億円を政治資金収支報告書に記載しなかったヤミ献金で、当時、同派幹部だった村岡兼造氏が起訴された事件ですが、その判決は驚くべきものでした。
★ 村岡氏に無罪を言い渡した東京地裁は、さらに踏み込んで判決理由で次のように述べました。「橋本(龍太郎元首相)は、政治資金規正法違反の罪に問われる可能性は相当高いと考えられ、このことは、橋本が不自然なまでに本件献金に関する事実を記憶していないと証言していることを説明するに足る」。
★ 裁判所がここまで言い切る、”黒い霧”を張り巡らせて逃げられる”ベテランの経験”は、1億円をもらっても「記憶にない」と言い続け、傍証が固まると、「みんながいうからそうなんだろう」ととぼける知恵なのでしょうか。
★ 私は、こんなベテランの骨身にまでにしみこんだ狡猾な知恵よりも、未熟で起こる正直な失敗の方を許せると思います。そもそも今朝のテレビ各社の前原民主党代表辞任に対する評論は負け犬を棒でたたく類の誠に内容のないものでした。先にもこのブログ(【6072】 問われる政治家の見識 )で述べましたが、偽メール問題に関わる一連の政治責任は3月24日の衆院懲罰委員会での綿貫民輔前衆院議長(国民新党)の指摘ですべて明確にされています。各紙新聞論壇でもこれ以上、立派な評論は見かけません。
★ 若者が未熟さのゆえに起こす事件は、基本的に制度疲労を起こしている社会システムとの衝突の側面があると思っています。旧秩序に従わない行動は既得権に安住している人々に恐怖感をもたらします。時にはそれこそ生殺与奪次元の大事になることもあるのでしょう。
★ しかし、そのシステムの外に置かれた人々の公平を求める正義の理想からすれば、ベテランの経験やとりなしではラチがあかない。そこで”造反有理”の行動に出るケースも多々、あります。多くの場合、旧来の陋習を破る効果をもたらします。
★ 例えば、ホリエモンのライブドア事件。従来の経営秩序から大きく逸脱した特異行動であったことは確かです。何度も指摘されてきました。今から振り返ってみれば、ホリエモンの企業活動に”虞犯性”のあることを指摘し、その時点で正道に戻させるチャンスは何度もあったハズです。
★ しかし、それをせずジッと”自由に泳がせ” ておいて、一挙に検挙。規制緩和、規制緩和の小泉改革に乗って、無邪気に「百花斉放」で躍り出た異端児は、一罰百戒のスケープゴートにされたのではないか。
★ あの総選挙で、「小泉改革のモデル」と持ち上げた小泉ー竹中政権は素知らぬ顔で、傷一つ負わないでいます。さすがに狡智に長けたベテランですね。厚顔無恥・・・政治家はこうであらねばつとまらないのでしょう。
★ テレビのコメンテーターがこうした一連の暗い過去を持つ「ベテランの経験」を、この時期に持ち出すのであれば「やはり若ケリャイイって言うもんじゃ無いと言うバッシングが起こり始めて、”ベテランの経験が大切”なんていう声が大きくなって来ていますが、”ベテランの経験”はより危険ですね。たとえば・・・」と解説すべき場面でしょう。全く逆ですね。
★ 今、なんとなく社会に漂い始めた「若ケリャイイってもんじゃない」と言う雰囲気。これが風潮になると、政界も、財界も、経済界も、学校、職場も・・・必ずいわゆるベテランがワケ知り顔で登場し、若者の押さえにかかります。民主党の後任代表選びで早くもそれが始まっていますが、今朝も吉備高原は春雷がとどろきました。春の嵐がこうした風潮を一掃し、若者が改革の志を萎縮させることがないよう願います。
by zenmz
| 2006-04-02 14:35
| 現代社会論