2006年 08月 09日
【6214】 テレビが踊らす大衆化社会 |
★ 弱冠・19歳の亀田興毅選手のWBA世界ライトフライ級タイトルマッチが巻き起こした一大フィーバー。本当に灼熱の真夏をしのぐものがあります。チャンピオンベルトを獲得した、その瞬間から“疑惑の勝利”のブーミングが起こり、試合を放送したTBSでは、ガッツ石松さんや漫画家のやくみつるさんが、先頭に立って亀田さん親子のバッシングを続け、スポーツ紙が連日、それを、コト細やかに報道する騒ぎになっています。
★ 率直に言って、今、大人気のボクシングやゴルフには全く無縁の私には、試合内容や判定に全く関心がないのですが、この騒動は、テレビというメディアの本性をさらけ出した出来事のように思えて、別の観点からの興味を抱いています。つまり、テレビは報道メディアか、娯楽(エンターテイメント)かの議論に、具体的な実例を生々しくさらけ出してくれているように思います。
★ ビックリしたのは、7日朝にテレビ朝日の「スーパーモーニング」で放映されたガッツ石松さんと漫画家のやくみつるさんが亀田選手の父・史郎さんと行った”対談”。まるでケンカです。父親の”特別生出演”は、列島に吹き荒れる興毅バッシングに「こどもを守る親として」の史郎さんのご要望で、その火付け役をしたガッツ石松さんとやくみつるさんの出席を条件に行われることになったのだそうです。
★ 最初から「売り言葉」に「買い言葉」で白熱した討論を刺激的に挑発し続けるやくさんの言動には驚きました。「息子がどういうふうに挑発しているか分からせるため」サングラスに、胸を大きくはだけた格好で登場。「みやげがあるんや。金亀印のしつけ糸や。これでカメをしばっとき」とタコ糸を投げつける。
★ 「話し合いに来とるんや」と、挑発を止めるよう再三、注意する史郎さんに、「子どもに口の利き方を教えた方がいい」「安っぽいドラマを1時間半も見せられた」などと、罵倒を浴びせかけ、堪忍袋の緒が切れた感じで史郎さんも「ケンカするなら外でケンカするよ」とタンカを切る始末。最後にはガッツ石松さんもやくさんをたしなめる場面もあったほどでした。とにかく見ていて気分がわるくなるほど愚劣な番組でした。
★ 今回の話し合いの趣旨は、判定結果からくる亀田選手批判、特に試合に絡めたパフォーマンスや亀田選手の態度に対するバッシングに対する弁明をテーマにするはずでした。挑発を受けながらも、史郎さんは冷静に「試合前パフォーマンスは勝負の世界やから命がけやんか。相手挑発するんもかけ引きなんや」と正当性を訴えておられるのにむしろ感動しました。
★ 最後まで持論を曲げることなく「プロとしての信念と、勝負パフォーマンスの必要」を、切々と訴えて、「これで一連のバッシング騒動は終えて欲しい。一区切りをつけ新たな戦いに向け、練習を再開した」と息子を守る真摯な言葉が心に残りました。
★ 約50分、何とも後味の悪い番組です。亀田興毅選手のWBA世界ライトフライ級タイトルマッチ。その日を迎えるまで『テレビ朝日』の前触れ報道は異常なまでに克明でした。練習風景には常に親子と3兄弟のドラマを脚色して視聴者の関心を盛り上げる操作をしてきたように思います。そして”疑惑の勝利”が持ち上がるや、ブーミング操作に一役。昔からよく言われる世論誘導の「マッチポンプ」を思い起こしました。
★ 盛んに火を点け回り、燃え上がると消火役を演ずる。非常に危険な世論操作です。多分、独占放映権の興業効果をあげ、テレビの視聴率を上げるための営業努力なのかもしれません。多分、筋書き通りの成り行きで、テレビ局はニンマリなのでしょう。しかし、スポーツ報道をここまで娯楽化していいのか? 明らかに報道の矜恃を逸脱しています。
★ WBA世界ライトフライ級タイトルマッチのテレビ視聴率は42.4%を記録した、と言います。驚異的な数字です。この驚異的大衆動員を実現したのは、実は、親子3兄弟による“浪速の闘拳” テレビが意図的に演出した拳闘ドラマでした。最近、スポーツ界では似たような「親子ドラマ」が美談の装いをしてどんどんテレビに登場しています。
★ ゴルフの宮里藍の兄妹、横峯さくらの父娘、そして、次は“浪速のジョー”辰吉丈一郎さんと息子の長男、寿希也君との“父子鷹”物語だと言われます。今、中学生の14歳。3年後プロテストを目指して特訓中とか。早くもテレビが群がっています。民放で今、一番、受ける番組は「親子・兄弟の家族サクセスストーリー」 それも根性物語に限るそうです。興味本位に大衆を煽り立てるテレビ・・・実に危険です。
★ 私が現役時代、欧米のマスコミ関係の友人が日本に来て一番、驚くのは、コメディアンがニュース番組のキャスターを務めていたことでした。さすがに最近はカゲが薄いのですが、世界で芸能人がニュースのコメンテーターをするのは日本だけです。テレビは、ニュースさえ、限りなく娯楽化してしまう特性があります。
★ WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ・・・ 恐らくテレビが無い時代であったら、このニュースは、ここまで大衆的議論が広がることは無かったでしょう。明らかにテレビが創出した社会現象です。それは、テレビが育てた、”一億総評論家”時代に相応しいニュース娯楽化の出現です。
★ イベントに乗せた家族サクセスストーリー。すべてがセットになって動いている。これと、同じ”ノリ”が、小泉「劇場」内閣を生み出したことを思わずにはいられません。テレビが動かす大衆社会の仕組みと、その具体的な実像を見る思いがします。
★ 率直に言って、今、大人気のボクシングやゴルフには全く無縁の私には、試合内容や判定に全く関心がないのですが、この騒動は、テレビというメディアの本性をさらけ出した出来事のように思えて、別の観点からの興味を抱いています。つまり、テレビは報道メディアか、娯楽(エンターテイメント)かの議論に、具体的な実例を生々しくさらけ出してくれているように思います。
★ ビックリしたのは、7日朝にテレビ朝日の「スーパーモーニング」で放映されたガッツ石松さんと漫画家のやくみつるさんが亀田選手の父・史郎さんと行った”対談”。まるでケンカです。父親の”特別生出演”は、列島に吹き荒れる興毅バッシングに「こどもを守る親として」の史郎さんのご要望で、その火付け役をしたガッツ石松さんとやくみつるさんの出席を条件に行われることになったのだそうです。
★ 最初から「売り言葉」に「買い言葉」で白熱した討論を刺激的に挑発し続けるやくさんの言動には驚きました。「息子がどういうふうに挑発しているか分からせるため」サングラスに、胸を大きくはだけた格好で登場。「みやげがあるんや。金亀印のしつけ糸や。これでカメをしばっとき」とタコ糸を投げつける。
★ 「話し合いに来とるんや」と、挑発を止めるよう再三、注意する史郎さんに、「子どもに口の利き方を教えた方がいい」「安っぽいドラマを1時間半も見せられた」などと、罵倒を浴びせかけ、堪忍袋の緒が切れた感じで史郎さんも「ケンカするなら外でケンカするよ」とタンカを切る始末。最後にはガッツ石松さんもやくさんをたしなめる場面もあったほどでした。とにかく見ていて気分がわるくなるほど愚劣な番組でした。
★ 今回の話し合いの趣旨は、判定結果からくる亀田選手批判、特に試合に絡めたパフォーマンスや亀田選手の態度に対するバッシングに対する弁明をテーマにするはずでした。挑発を受けながらも、史郎さんは冷静に「試合前パフォーマンスは勝負の世界やから命がけやんか。相手挑発するんもかけ引きなんや」と正当性を訴えておられるのにむしろ感動しました。
★ 最後まで持論を曲げることなく「プロとしての信念と、勝負パフォーマンスの必要」を、切々と訴えて、「これで一連のバッシング騒動は終えて欲しい。一区切りをつけ新たな戦いに向け、練習を再開した」と息子を守る真摯な言葉が心に残りました。
★ 約50分、何とも後味の悪い番組です。亀田興毅選手のWBA世界ライトフライ級タイトルマッチ。その日を迎えるまで『テレビ朝日』の前触れ報道は異常なまでに克明でした。練習風景には常に親子と3兄弟のドラマを脚色して視聴者の関心を盛り上げる操作をしてきたように思います。そして”疑惑の勝利”が持ち上がるや、ブーミング操作に一役。昔からよく言われる世論誘導の「マッチポンプ」を思い起こしました。
★ 盛んに火を点け回り、燃え上がると消火役を演ずる。非常に危険な世論操作です。多分、独占放映権の興業効果をあげ、テレビの視聴率を上げるための営業努力なのかもしれません。多分、筋書き通りの成り行きで、テレビ局はニンマリなのでしょう。しかし、スポーツ報道をここまで娯楽化していいのか? 明らかに報道の矜恃を逸脱しています。
★ WBA世界ライトフライ級タイトルマッチのテレビ視聴率は42.4%を記録した、と言います。驚異的な数字です。この驚異的大衆動員を実現したのは、実は、親子3兄弟による“浪速の闘拳” テレビが意図的に演出した拳闘ドラマでした。最近、スポーツ界では似たような「親子ドラマ」が美談の装いをしてどんどんテレビに登場しています。
★ ゴルフの宮里藍の兄妹、横峯さくらの父娘、そして、次は“浪速のジョー”辰吉丈一郎さんと息子の長男、寿希也君との“父子鷹”物語だと言われます。今、中学生の14歳。3年後プロテストを目指して特訓中とか。早くもテレビが群がっています。民放で今、一番、受ける番組は「親子・兄弟の家族サクセスストーリー」 それも根性物語に限るそうです。興味本位に大衆を煽り立てるテレビ・・・実に危険です。
★ 私が現役時代、欧米のマスコミ関係の友人が日本に来て一番、驚くのは、コメディアンがニュース番組のキャスターを務めていたことでした。さすがに最近はカゲが薄いのですが、世界で芸能人がニュースのコメンテーターをするのは日本だけです。テレビは、ニュースさえ、限りなく娯楽化してしまう特性があります。
★ WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ・・・ 恐らくテレビが無い時代であったら、このニュースは、ここまで大衆的議論が広がることは無かったでしょう。明らかにテレビが創出した社会現象です。それは、テレビが育てた、”一億総評論家”時代に相応しいニュース娯楽化の出現です。
★ イベントに乗せた家族サクセスストーリー。すべてがセットになって動いている。これと、同じ”ノリ”が、小泉「劇場」内閣を生み出したことを思わずにはいられません。テレビが動かす大衆社会の仕組みと、その具体的な実像を見る思いがします。
by zenmz
| 2006-08-09 16:31
| 現代社会論