2006年 10月 04日
【6269】 Ohmy News 創刊1ヶ月に想う |
★ 創刊以来、毎日、見続けて来たネット新聞「OhmyNews Japan」が、創刊1ヶ月を迎えました。真夏も終わる頃、新聞・テレビでも随分、話題になりましたからご存じの方も多いかとも思いますが「市民みんなが記者」をスローガンに、ネット上の新しい”マスコミ”目指して華々しくデビューしました。期待が大きかったセイか、正直言って、ちょっと拍子抜けした感じがしています。早い話、皆様は、お読みになっておられるでしょうか?
私の感想、一言で言えば、まだまだ、既存新聞の真似事を始めた素人集団の感じが強いです。 今日は、その印象を記しておきたいと思います。
★ まずフロント・ページ。題字下にスポンサー広告、その下にメニューが並んでいます。
「ホーム」 「 社会」 「 経済」 「 政治」 「 国際」 「 エンタメ」 「 ライフ」 「サイエンス」 「 スポーツ」 「 BOOKS」 「 全記事」
要するに、既存新聞各社のネット版と全く変わらない紙面立てです。一見して、型にはまった感じです。新聞社のOBが文化教室でやっている「PTA新聞の作り方」を思い出しました。フロント・ページを開いた時に受けるインパクトがありません。
★ 例えば、今日の「政治」欄に掲載されている記事。
「官から民加速するか~市場化テスト 」は、10月1日付日本経済新聞の焼き直し、
「カタカナ言葉だらけって本当ですか」 も 毎日新聞(9月29日付)の発想を追体験してみただけの話。如何にも素人臭いエッセーです。
これに似た「新聞記事にヒトコト」的なコメント記事が目立つのですが、こんなのは必要ありません。これでは新聞にならない。
これまでの老舗新聞の記事をコメントするだけで評論でもしているつもりでしょうか。何よりも自分の足で取材していない記事は価値ゼロです。
★ 開いた瞬間、「オオやはり違うナ!」と、ある種の感動を覚える斬新さがありません。一足先に創刊されて、今や、我が国の市民新聞の先魁(さきがけ)との評価が高い『JANJAN』を初めて見た時には、「おお、ネット時代開幕にふさわしい新たなニュース・メディアが始まった」と感動しました。2番煎じの悲しさを割り引いても、その感動がない。既存メディアの真似事から抜け出られないのでは??? 創刊当時に抱いた印象ですが、1ヶ月経って、その印象はぬぐい切れません。
★ で、何をするのか?
改めて、じっくり「創刊宣言」を見ますと、創刊時の市民記者は全国各地から約1000人。 「市民みんながつくる新しいメディア “ニュース”の仕組みを変える」取り組みを始め、自由な市民参加の「プラットフォーム」を備えます。どんなチカラにも、おカネにも影響されず、オーマイニュースの編集部からも独立して「記者と市民が直接結ぶ双方向の紙面の開放」 それが「プラットフォーム」だそうです。そこで自由に社会を変える言論を熟成させる。だから、記者クラブなどには入らない・・・一読、「真に志やよし」です。
★ ただ、昨10月3日付けで、矢山 禎昭さんという市民記者が、「オーマイ創刊後1ヶ月を振り返って 一市民記者は考えた」と言う記事を書いていますが、その中で、
「市民記者はいわゆる言論人ではない。わずかの原稿料が欲いわけでもない。執筆動機は人様々だが、【社会をより良くするために、自分も社会とつながりをもちたい】という純粋な動機を汲み取ってもらいたい」
と述べています。読者とのつながりに双方向でと設けたコメント欄に罵詈雑言、いわれなき非難の集中を浴びたことへの感想から始まっています。一番のウリだった「プラットフォーム」もやはり苦難の船出だったようですね。この矢山さんの記事、タイトルにふさわしい、実に含蓄に富んだいい記事でした。
★ 多様な意見や立場を持った市民記者の自由な発信により、問題の解決策を見出すために支援し、その議論をさらに深化・発展させる。そのための”サポート役”に常勤の専任編集スタッフを置きますが、市民記者は編集部から全く独立しており、編集部の干渉は全く受けない。「まさにこの点において、OhmyNews は日本で最も自由なメディア」だ、と胸を張っています。世界100カ国・地域で約1300人の市民記者が活躍している英語版や老舗の韓国版との提携を通じて世界市民と結ぶのだそうです。
★ 注目すべきは、記事はすべて実名で発表されます。原稿は、編集部の専門記者が”掲載にふさわしい一定のレベル”をチェックして質の確保に努めているそうです。これは当然、必要なこと。「日本で最も自由なメディア」も”素人”の市民記者と普通の市民が主役。公開される記事が名誉毀損や著作権侵害を引き起こす危険性はこれまでの”職業記者”以上に大きいでしょう。真に「言論の自由」が試される試みでもあります。これも、簡単ではありません。萎縮すれば記事は面白くない。世間の耳目をソバダテさせるためには具体的なデーターが・・・市民記者の言論の自由は、この”二律背反”にどう取り組むのでしょうか?
★ プロの記者が報道する”選別された”ニュースではなく、市民の実生活に密着したナマのニュースを市民自身が掘り起こし、自ら自由に発信する市民新聞。その試みは、2000年2月に韓国の雑誌記者だった呉連鎬(オ・ヨンホ)さんがネット上に「市民参加型のニュースサイト・オーマイニュース」を開設して始まりました。今では主婦や会社員、学生など幅が広く4万人以上の市民記者が登録して、政治・社会問題から身近な生活情報に至るまで毎日200本以上の記事が掲載されているそうです。
★ その名を高めたのは、2002年の大統領選では、与党候補ながら不利といわれた盧武鉉大統領が逆転勝利したこと。「その逆転劇にはOhmyNews が大きく市民の投票行動に作用した」と、既存メディアも分析せざるを得ないほどの影響力を世間に印象づけました。これに触発されて、日本でも元朝日新聞記者で、鎌倉市長も経験した竹内謙さんが創刊されました。先ほども触れた『JANJAN』です。
★ 創刊1ヶ月を迎えた「OhmyNews Japan」は、ソフトバンクが資本参加して、「OhmyNews韓国」との業務提携によって新会社を設立して 『オーマイニュース日本版』を創刊し、編集長にジャーナリストの鳥越俊太郎さんを起用したことで話題を呼びました。鳥越さんは元毎日新聞記者。長く「サンデー毎日」編集長をし、現在はテレビ・キャスターとして活躍中の人です。
★ ネット時代の脱活字メディアとして登場したネット市民新聞。もう体制べったりの活字新聞の時代は終わった、と、共に”自由な市民新聞”を標榜して始まったネット新聞は、奇しくも、朝日OB率いる『JANJAN』と、毎日OB率いる『Ohmy News 』が並立する形になりました。
既存のメディアとの関係も含めて三つどもえの新マスコミ戦争が始まりました。これらの新しい試み・・・・競合するのでしょうか? 補い合うのでしょうか? ともかくニュースが命。トクダネ合戦は宿命です。
★ 朝日OB率いる『JANJAN』は既にテレビとの融合を模索し始めています。新しい言論の「プラットフォーム」作りを宣言した毎日OB率いる『Ohmy News 』 軍配はどちらに上がるのか? その答えを出すのは、読者しかありません。最後の審判は、”購読”行為を通じて読者が下すことになります。手探りを始めた市民記者のニュース発信。マスコミ界の新しい楽しみがまた一つ増えました。これからも毎日、既存マスコミの紙面と見比べながら楽しんでみたいと思います。
私の感想、一言で言えば、まだまだ、既存新聞の真似事を始めた素人集団の感じが強いです。 今日は、その印象を記しておきたいと思います。
★ まずフロント・ページ。題字下にスポンサー広告、その下にメニューが並んでいます。
「ホーム」 「 社会」 「 経済」 「 政治」 「 国際」 「 エンタメ」 「 ライフ」 「サイエンス」 「 スポーツ」 「 BOOKS」 「 全記事」
要するに、既存新聞各社のネット版と全く変わらない紙面立てです。一見して、型にはまった感じです。新聞社のOBが文化教室でやっている「PTA新聞の作り方」を思い出しました。フロント・ページを開いた時に受けるインパクトがありません。
★ 例えば、今日の「政治」欄に掲載されている記事。
「官から民加速するか~市場化テスト 」は、10月1日付日本経済新聞の焼き直し、
「カタカナ言葉だらけって本当ですか」 も 毎日新聞(9月29日付)の発想を追体験してみただけの話。如何にも素人臭いエッセーです。
これに似た「新聞記事にヒトコト」的なコメント記事が目立つのですが、こんなのは必要ありません。これでは新聞にならない。
これまでの老舗新聞の記事をコメントするだけで評論でもしているつもりでしょうか。何よりも自分の足で取材していない記事は価値ゼロです。
★ 開いた瞬間、「オオやはり違うナ!」と、ある種の感動を覚える斬新さがありません。一足先に創刊されて、今や、我が国の市民新聞の先魁(さきがけ)との評価が高い『JANJAN』を初めて見た時には、「おお、ネット時代開幕にふさわしい新たなニュース・メディアが始まった」と感動しました。2番煎じの悲しさを割り引いても、その感動がない。既存メディアの真似事から抜け出られないのでは??? 創刊当時に抱いた印象ですが、1ヶ月経って、その印象はぬぐい切れません。
★ で、何をするのか?
改めて、じっくり「創刊宣言」を見ますと、創刊時の市民記者は全国各地から約1000人。 「市民みんながつくる新しいメディア “ニュース”の仕組みを変える」取り組みを始め、自由な市民参加の「プラットフォーム」を備えます。どんなチカラにも、おカネにも影響されず、オーマイニュースの編集部からも独立して「記者と市民が直接結ぶ双方向の紙面の開放」 それが「プラットフォーム」だそうです。そこで自由に社会を変える言論を熟成させる。だから、記者クラブなどには入らない・・・一読、「真に志やよし」です。
★ ただ、昨10月3日付けで、矢山 禎昭さんという市民記者が、「オーマイ創刊後1ヶ月を振り返って 一市民記者は考えた」と言う記事を書いていますが、その中で、
「市民記者はいわゆる言論人ではない。わずかの原稿料が欲いわけでもない。執筆動機は人様々だが、【社会をより良くするために、自分も社会とつながりをもちたい】という純粋な動機を汲み取ってもらいたい」
と述べています。読者とのつながりに双方向でと設けたコメント欄に罵詈雑言、いわれなき非難の集中を浴びたことへの感想から始まっています。一番のウリだった「プラットフォーム」もやはり苦難の船出だったようですね。この矢山さんの記事、タイトルにふさわしい、実に含蓄に富んだいい記事でした。
★ 多様な意見や立場を持った市民記者の自由な発信により、問題の解決策を見出すために支援し、その議論をさらに深化・発展させる。そのための”サポート役”に常勤の専任編集スタッフを置きますが、市民記者は編集部から全く独立しており、編集部の干渉は全く受けない。「まさにこの点において、OhmyNews は日本で最も自由なメディア」だ、と胸を張っています。世界100カ国・地域で約1300人の市民記者が活躍している英語版や老舗の韓国版との提携を通じて世界市民と結ぶのだそうです。
★ 注目すべきは、記事はすべて実名で発表されます。原稿は、編集部の専門記者が”掲載にふさわしい一定のレベル”をチェックして質の確保に努めているそうです。これは当然、必要なこと。「日本で最も自由なメディア」も”素人”の市民記者と普通の市民が主役。公開される記事が名誉毀損や著作権侵害を引き起こす危険性はこれまでの”職業記者”以上に大きいでしょう。真に「言論の自由」が試される試みでもあります。これも、簡単ではありません。萎縮すれば記事は面白くない。世間の耳目をソバダテさせるためには具体的なデーターが・・・市民記者の言論の自由は、この”二律背反”にどう取り組むのでしょうか?
★ プロの記者が報道する”選別された”ニュースではなく、市民の実生活に密着したナマのニュースを市民自身が掘り起こし、自ら自由に発信する市民新聞。その試みは、2000年2月に韓国の雑誌記者だった呉連鎬(オ・ヨンホ)さんがネット上に「市民参加型のニュースサイト・オーマイニュース」を開設して始まりました。今では主婦や会社員、学生など幅が広く4万人以上の市民記者が登録して、政治・社会問題から身近な生活情報に至るまで毎日200本以上の記事が掲載されているそうです。
★ その名を高めたのは、2002年の大統領選では、与党候補ながら不利といわれた盧武鉉大統領が逆転勝利したこと。「その逆転劇にはOhmyNews が大きく市民の投票行動に作用した」と、既存メディアも分析せざるを得ないほどの影響力を世間に印象づけました。これに触発されて、日本でも元朝日新聞記者で、鎌倉市長も経験した竹内謙さんが創刊されました。先ほども触れた『JANJAN』です。
★ 創刊1ヶ月を迎えた「OhmyNews Japan」は、ソフトバンクが資本参加して、「OhmyNews韓国」との業務提携によって新会社を設立して 『オーマイニュース日本版』を創刊し、編集長にジャーナリストの鳥越俊太郎さんを起用したことで話題を呼びました。鳥越さんは元毎日新聞記者。長く「サンデー毎日」編集長をし、現在はテレビ・キャスターとして活躍中の人です。
★ ネット時代の脱活字メディアとして登場したネット市民新聞。もう体制べったりの活字新聞の時代は終わった、と、共に”自由な市民新聞”を標榜して始まったネット新聞は、奇しくも、朝日OB率いる『JANJAN』と、毎日OB率いる『Ohmy News 』が並立する形になりました。
既存のメディアとの関係も含めて三つどもえの新マスコミ戦争が始まりました。これらの新しい試み・・・・競合するのでしょうか? 補い合うのでしょうか? ともかくニュースが命。トクダネ合戦は宿命です。
★ 朝日OB率いる『JANJAN』は既にテレビとの融合を模索し始めています。新しい言論の「プラットフォーム」作りを宣言した毎日OB率いる『Ohmy News 』 軍配はどちらに上がるのか? その答えを出すのは、読者しかありません。最後の審判は、”購読”行為を通じて読者が下すことになります。手探りを始めた市民記者のニュース発信。マスコミ界の新しい楽しみがまた一つ増えました。これからも毎日、既存マスコミの紙面と見比べながら楽しんでみたいと思います。
by zenmz
| 2006-10-04 11:49
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