2006年 12月 21日
【6350】 「内視鏡パック旅行」記(1) |
==== 内視鏡・初体験 ====
★ 突然、「旅に出ます」などと書き、あたふたと出かけましたが、”旅先”は、自宅から30キロ先にある「国立岡山医療センター」。目的は「消化器出血の検査と治療」 「5泊6日の内視鏡検査付きパック旅行」でした。
★ 実は、18、19,20日と三日続けて大量の下痢出血があり、それが止まらないので急遽、入院して検査と治療を行うことになったのです。本人は至って健康そのもの。意味不明の下痢の他は痛みもなく、全く自覚症状はなし。何故、と訝りながらの入院でした。
★ しかし、大事なく、20日から25日までの5泊6日、誠に手頃な「医療パック旅行」気分で過ごしました。
結論から先に申し上げれば、病名は「消化器・憩室出血」。
胃腸の病気は凸状のポリープが出来て始まることが多いのですが、私の場合は逆で腸壁に”憩室”という凹みが出来ていて異物が蓄積するとそれを掃き出す自浄作用が働き、時に腸壁を痛めて出血するケースがある。
それが起きたのです。最近、高齢者に多くみられるようになったそうです。
★ 内視鏡で丁寧に検査を受けましたが、一番、心配した悪性腫瘍や潰瘍は全くなく、「憩室出血」が一カ所確認されただけ。それをクリップで止める。治療そのものは実に簡単に済みました。
だけども患部観察のために行われた内視鏡検査は腸が動転する大変な苦痛でした。消化器疾患の場合、ほとんど例外なく内視鏡検査が行われるようです。皆さんも、必要とされることがあるかもしれません。とりあえず体験記をご披露し、ご参考に供します。
★ 12月20日、指定通りに午後2時に病院に到着すると、直ちに主治医の問診。そして
「とりあえず直ちに止血治療をしたいので内視鏡検査を行います」
とのことで、急患用の仮病室に案内され、採血、レントゲン、心電図などの検査をした後、直ちに浣腸。排便が終わると、その足で内視鏡検査室に入りました。
★ 内視鏡というのものを見るのも初めてです。黒い帯状のヘビ・ロボットを思わせる長いチューブが眼前に示されました。担当は女医。実に慣れた手つきで、テキパキ処理されます。
「これを肛門から入れて直腸、大腸の内部を目で直視しながら調べます。検査状況は前に置いてあるテレビ画面に全て映し出されます。医師が観察しているのと同じ画面です。一緒に確認して下さい。」
ビックリしました。目の前に置かれたテレビに自分の腸内が、リアルタイムに画面いっぱいに映し出されています。
★ 「やり方は、調べる部分を空気を送って膨らませながら奥へと進みます。腸壁に汚物や血糊が付着しておれば水で洗いながら観察します。かなり強い膨満感で苦しいと思います。できるだけ空気と水を吐き出すようにして下さい」
カメラはヘビが土管の中を回りくねるように進みます。腸壁に血粒らしい塊があちこちにこびりついています。水を掛けると左右に散ってピンク色の白味がかった腸壁が姿を見せます。
★ 「今、約半分、済みました。この先は、浣腸では処理出来なかった宿便が腸壁にこびり付いているようです。無理すると苦痛が増します。この先は、明日にしましょう。残念ですが、これまでの検査では出血箇所は発見出来ませんでした。患部はもう少し上部のようですね。明日は午前中、時間をかけて下剤をかけ、腸内を完全に空にして再度、調べさせていただきます」
★ この間、経過した時間は25分。
「膨満感で苦しいでしょうが、空気と水は遠慮せず頑張って出して下さい」とのアドバイスでしたが、それに従うのは非常に困難でした。とても力むだけで間に合うものではありません。つい両手を腹に当てて助けようとすると、「お腹は押さえないで」と叱声が飛んできます。悪戦苦闘、終わった瞬間、ぐったりしました。
★ そして着衣を整えるや、猛烈な便意。慌ててトイレに駆け込むと、猛烈な量の血液混じりの汚水がドッと出て来ました。なんと検査で用いた水が腸内充満した状態で、水浸しであったのです。この苦しみ。もう体験する以外、説明しようもありません。
★ 翌日の検査朝から腸内清浄のため15分置きにコップ一杯の下剤を飲んで腸壁にこびり付いた宿便を徐々に剥がします。苦みのある水ですが、ほぼ飲む度にしばらくすると便意を催し、結局2リットルを飲みきった時には8度も排便していました。最後は色もなくなった水が出るだけの状態になります。腸内は完全にきれいになったのですね。そして午前11時半に検査開始。
★ 結局、今度は最初から全身麻酔で行われました。どうやら前回の様子で、医師達は私が苦痛に耐えるられないと判断したようです。もし暴れるようなことがあれば腸を傷つける心配もあります。私も麻酔をかけての検査を望みました。麻酔薬が入るところまで確認しましたが、直ぐ意識を失いました。目が覚めたのは、それから3時間後の午後2時半でした。何があったか? 何も記憶に残らぬままに全てが終わっていました。
★ 若い方は、自分の腸内を見ながら、医師と対話しながら検査を受けられる方がいいのかもしれません。
しかし、内視鏡検査に関しては、高齢の方には、無理をしないで、最初から全身麻酔を要求されるようお薦めいたします。本当に死ぬ思いをするほど苦しいです。そして全身麻酔で行えば、何事もなかったかのように全てが終わります。
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======== 古希残照人生日々是好日 ========
「”内視鏡パック旅行”記」は5回連載です
【6350】 (1)==== 内視鏡・初体験 ====
【6351】 (2) ==== まな板の鯉の恨み節 =====
【6352】 (3)==== 思いめぐらす”五色鞠” ====
【6353】 (4)==== 病床で噛みしめる”宗教卒業”の幸い ====
【6354】 (5)==== 変貌遂げた”患者様”の病院 ====
★ 突然、「旅に出ます」などと書き、あたふたと出かけましたが、”旅先”は、自宅から30キロ先にある「国立岡山医療センター」。目的は「消化器出血の検査と治療」 「5泊6日の内視鏡検査付きパック旅行」でした。
★ 実は、18、19,20日と三日続けて大量の下痢出血があり、それが止まらないので急遽、入院して検査と治療を行うことになったのです。本人は至って健康そのもの。意味不明の下痢の他は痛みもなく、全く自覚症状はなし。何故、と訝りながらの入院でした。
★ しかし、大事なく、20日から25日までの5泊6日、誠に手頃な「医療パック旅行」気分で過ごしました。
結論から先に申し上げれば、病名は「消化器・憩室出血」。
胃腸の病気は凸状のポリープが出来て始まることが多いのですが、私の場合は逆で腸壁に”憩室”という凹みが出来ていて異物が蓄積するとそれを掃き出す自浄作用が働き、時に腸壁を痛めて出血するケースがある。
それが起きたのです。最近、高齢者に多くみられるようになったそうです。
★ 内視鏡で丁寧に検査を受けましたが、一番、心配した悪性腫瘍や潰瘍は全くなく、「憩室出血」が一カ所確認されただけ。それをクリップで止める。治療そのものは実に簡単に済みました。
だけども患部観察のために行われた内視鏡検査は腸が動転する大変な苦痛でした。消化器疾患の場合、ほとんど例外なく内視鏡検査が行われるようです。皆さんも、必要とされることがあるかもしれません。とりあえず体験記をご披露し、ご参考に供します。
★ 12月20日、指定通りに午後2時に病院に到着すると、直ちに主治医の問診。そして
「とりあえず直ちに止血治療をしたいので内視鏡検査を行います」
とのことで、急患用の仮病室に案内され、採血、レントゲン、心電図などの検査をした後、直ちに浣腸。排便が終わると、その足で内視鏡検査室に入りました。
★ 内視鏡というのものを見るのも初めてです。黒い帯状のヘビ・ロボットを思わせる長いチューブが眼前に示されました。担当は女医。実に慣れた手つきで、テキパキ処理されます。
「これを肛門から入れて直腸、大腸の内部を目で直視しながら調べます。検査状況は前に置いてあるテレビ画面に全て映し出されます。医師が観察しているのと同じ画面です。一緒に確認して下さい。」
ビックリしました。目の前に置かれたテレビに自分の腸内が、リアルタイムに画面いっぱいに映し出されています。
★ 「やり方は、調べる部分を空気を送って膨らませながら奥へと進みます。腸壁に汚物や血糊が付着しておれば水で洗いながら観察します。かなり強い膨満感で苦しいと思います。できるだけ空気と水を吐き出すようにして下さい」
カメラはヘビが土管の中を回りくねるように進みます。腸壁に血粒らしい塊があちこちにこびりついています。水を掛けると左右に散ってピンク色の白味がかった腸壁が姿を見せます。
★ 「今、約半分、済みました。この先は、浣腸では処理出来なかった宿便が腸壁にこびり付いているようです。無理すると苦痛が増します。この先は、明日にしましょう。残念ですが、これまでの検査では出血箇所は発見出来ませんでした。患部はもう少し上部のようですね。明日は午前中、時間をかけて下剤をかけ、腸内を完全に空にして再度、調べさせていただきます」
★ この間、経過した時間は25分。
「膨満感で苦しいでしょうが、空気と水は遠慮せず頑張って出して下さい」とのアドバイスでしたが、それに従うのは非常に困難でした。とても力むだけで間に合うものではありません。つい両手を腹に当てて助けようとすると、「お腹は押さえないで」と叱声が飛んできます。悪戦苦闘、終わった瞬間、ぐったりしました。
★ そして着衣を整えるや、猛烈な便意。慌ててトイレに駆け込むと、猛烈な量の血液混じりの汚水がドッと出て来ました。なんと検査で用いた水が腸内充満した状態で、水浸しであったのです。この苦しみ。もう体験する以外、説明しようもありません。
★ 翌日の検査朝から腸内清浄のため15分置きにコップ一杯の下剤を飲んで腸壁にこびり付いた宿便を徐々に剥がします。苦みのある水ですが、ほぼ飲む度にしばらくすると便意を催し、結局2リットルを飲みきった時には8度も排便していました。最後は色もなくなった水が出るだけの状態になります。腸内は完全にきれいになったのですね。そして午前11時半に検査開始。
★ 結局、今度は最初から全身麻酔で行われました。どうやら前回の様子で、医師達は私が苦痛に耐えるられないと判断したようです。もし暴れるようなことがあれば腸を傷つける心配もあります。私も麻酔をかけての検査を望みました。麻酔薬が入るところまで確認しましたが、直ぐ意識を失いました。目が覚めたのは、それから3時間後の午後2時半でした。何があったか? 何も記憶に残らぬままに全てが終わっていました。
★ 若い方は、自分の腸内を見ながら、医師と対話しながら検査を受けられる方がいいのかもしれません。
しかし、内視鏡検査に関しては、高齢の方には、無理をしないで、最初から全身麻酔を要求されるようお薦めいたします。本当に死ぬ思いをするほど苦しいです。そして全身麻酔で行えば、何事もなかったかのように全てが終わります。
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======== 古希残照人生日々是好日 ========
「”内視鏡パック旅行”記」は5回連載です
【6350】 (1)==== 内視鏡・初体験 ====
【6351】 (2) ==== まな板の鯉の恨み節 =====
【6352】 (3)==== 思いめぐらす”五色鞠” ====
【6353】 (4)==== 病床で噛みしめる”宗教卒業”の幸い ====
【6354】 (5)==== 変貌遂げた”患者様”の病院 ====
by zenmz
| 2006-12-21 00:03
| 健康・医療