2007年 02月 27日
【7129】 マスコミ見聞録(2007/02/27b) |
《ニュースを読んで”吉備談語”(1)》
2025年のニッポンの将来像
◎ 政府の「イノベーション25戦略会議」(黒川清座長)が、26日、日本の将来像を描く「中間報告」をまとめ公表しました。2025年に実現する個人生活の具体像を物語・【伊野辺(いのべ)家の一日】にまとめて、わかりやすさをアピールする工夫をこらした、そうです。
★ この一家は、祖父77歳・中小企業経営者、祖母74歳・夫の会社経理事務、父50歳大企業から脱サラ・ベンチャー企業立ち上げ成功。母51歳・テレワークシステムを利用し現在も勤務中、長男22歳大学生、長女17歳の高校生。交換留学制度で北京に留学中。と家事ロボット「イノベ」1台の伊野辺家6人家族とロボット”一人”の18年後、2025年の生活は?
▼ 激変する世界のなかで日本の繁栄と国民生活の安定をどう維持していくのか? 日本学術会議の前議長・黒川清博士を内閣特別顧問に迎え、学者、経済人ら7人が集ってまとめた中間報告は、必要な社会の変貌・制度の変革をしてきしています。最大の問題はやはり少子・高齢。今は65歳以上の高齢者1人を4人の労働力で支えていますが、生産年齢人口の急減で2025年には、これが2人になるのが確実です。
▼ 資源・エネルギーの窮迫、地球温暖化をはじめとする環境問題、水や食糧の不足は、ますます深刻になります。生き抜く唯一の手段は生産性の向上。イノベーション(技術革新)が頼みでしょう。そのための人材育成や働き方、企業や制度のあり方に加えて国民の「価値観の大転換」が必要になります。
▼ 中間報告は、グローバル化に対応して、大学は、文系、理系の区分はなくして英語で授業をする。企業に対する事故時の免責制度の創設。新事業進出を促進策。更に障害者の社会(教育・企業の全面公開)参加保障の制度化によって”新しい発想”による社会改革の推進・・・などを挙げています。
▼ また、技術革新によって、20年後に実現しそうな技術は、認知症を激減させる治療薬、家事代行ロボット、人工降雨による砂漠緑化など、医薬や工学などの新分野20項目も具体的に並べています。
▼ しかし、中間報告は、こうした進歩に立ちはだかるのは”既得権” 国民を説得し、これを打ち破るためには「政府が傷だらけになる覚悟と勇気」を持って国民全体の意識革命を起こさねばならない、と、断じています。20年後の日本、決してばら色ではありません。今以上に厳しく自己改革が求められることになりそうですね。
《ニュースを読んで”吉備談語”(2)》
リーダシップとはブルドーザと見つけたり
◎ 少々、乱発気味の「安倍首相のリーダシップ」には独裁者の雰囲気がただよい始めました。一昨年の総選挙で落選した衛藤晟一(せいいち)前議員を、首相一存で強引に自民党への復党させようとしているゴリ押しが好例。この人、リーダシップといえばブルドーザのようなものと勘違いしているのではないでしょうか?
★ 夏の参院選を前に自民党は「2年前、郵政民営化に反対し、離党。無所属で立候補し、落選した元同党議員の復党は参院選後に」と正式決定しています。現に同じ造反組で参院選の岐阜選挙区に立つ藤井孝男氏は、推薦にとどめています。なのに・・・衛藤氏については、安倍首相が「私が判断する」と”私のリーダーシップ”で、と強調しています。
★ 衛藤氏は、前回選挙で衆院大分1区で落選していますが、安倍首相は同氏を参院選で自民党比例代表候補とする考え。大分での選挙協力を期待していた公明党の冬柴鉄三国土交通相は「コメントしない」と不快感を露わにしました。早速、党内でも首相独断への世論の批判を懸念する声が高まっています。なのに・・・何故、ゴリ押しするのか?
★ 安倍-衛藤の2人組はともに拉致議連で役員を務めた中。太平洋戦争を「自存自衛の戦い」とし、歴史教科書の従軍慰安婦の記述についても「自虐史観」だとして見直しを求める「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」では、共に先頭に立って衛藤氏が幹事長、安倍氏が事務局長のコンビを組んだ中でもあります。同じ政治信条を共有しているのは確かです。
★ そんな衛藤氏の復党に「総裁のリーダシップ」振りかざして党決定を覆す。何とも無茶な話です。横暴の謗りは免れません。折りも折、腹心の中川自民党幹事長は、記者会見で、先に閣僚らが首相に忠誠を尽くすべきだ、と引き締めた発言も、「実は安倍首相に事前に伝えてあって許可も得ており、納得の上」だった、とか。恥知らずなサル芝居だったのですね。
★ さきほどテレビニュースを見ていたら、自民党大分県連が中川幹事長と会い、「地元大分県連の頭越しに話が進められている」と抗議していました。地元は「青天の霹靂(へきれき) 公明党との協定にヒビが入る。党全体のために”私”を捨てよ」と安倍さんに申し立てしたそうです。まあ、国民の目にもブザマな、カッコ悪い話ですね。
★ まあ、自民党の内部事情のこと。どうでもいいようですが、この安倍手法。次々と、大統領的独裁体制の布石を打っているような不気味さを思わせます。党内や公明党が反発する衛藤氏復党への批判を和らげる狙いがあってのことでしょうか? 「造反組」の旗頭である平沼氏を復党させる工作もしたようですが、平沼氏は即座に拒否しました。まことに自民党政治は無原則の離合集散、その場、その場で、高言なさる”志、理念、政策”がコロコロ変わり、分かりにくいです。
【時事日誌:今日のエントリー】(2件)
東洋町で文献調査を原環機構が申請へ 高レベル放射性廃棄物最終処分場の候補地調査に高知県東洋町が応募したことを受けて、国の認可法人、原子力発電環境整備機構(原環機構)は27日、第1段階となる文献調査を同町で始めるよう経済産業省に許可申請する方針を決めた。▼文献調査が始まれば、同町と周辺自治体には、2年間に総額20億円の交付金が国から出が、東洋町では、今年1月に応募した田嶋裕起町長に対し、町議会が反対決議を可決するなど町を二分する状態が続いている。▼住民による反対条例の制定を目指す動きが活発化しているだけでなく、橋本大二郎・高知県知事や県議会、隣の徳島県も強く反対しており、今回の決定は、地元の混乱をさらに深めそう。
最高裁が君が代伴奏命令に合憲判決 日の丸・君が代に反対する公立学校の音楽の教諭が入学式で君が代のピアノ伴奏を拒んで懲戒処分を受けたのは不当だと訴えた裁判で、最高裁判所は「君が代の伴奏を命じたことが教諭の歴史観や世界観を否定する行為とはいえず、思想、良心の自由は侵害していない」と判断して教諭の訴えを退けた。▼平成11年に東京・日野市の公立小学校の入学式で、音楽の女性教諭が、校長から命じられた君が代のピアノ伴奏を拒否して戒告処分を受け、「思想、良心の自由を侵害された」と主張して、東京都教育委員会に処分の取り消しを求めていたもの。▼最高裁判所第3小法廷の那須弘平裁判長は「君が代の伴奏を命じたことで直ちに教諭の歴史観や世界観を否定したとはいえない。君が代斉唱は公立学校の行事で広く行われており、生徒に一方的な思想や理念を教え込むことを教諭に強制しているともいえず、思想、良心の自由は侵害していない」と初めて憲法判断し、教諭の訴えを退けた。
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【謹告】
● 「マスコミ見聞録」は2007年1月1日からスタートしました。毎日、深夜の日付変わり時刻にその日の時事記事をまとめております。深夜で日付がまたがることもあり、これまでは《翌日日付》にしておりましたが、2月27日から当日日付にいたします。従いまして2月27日付けの「マスコミ見聞録」の日付はダブります。ご了承ください。新しい版は日付末尾の数字に(b)を表示しました
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2025年のニッポンの将来像
◎ 政府の「イノベーション25戦略会議」(黒川清座長)が、26日、日本の将来像を描く「中間報告」をまとめ公表しました。2025年に実現する個人生活の具体像を物語・【伊野辺(いのべ)家の一日】にまとめて、わかりやすさをアピールする工夫をこらした、そうです。
★ この一家は、祖父77歳・中小企業経営者、祖母74歳・夫の会社経理事務、父50歳大企業から脱サラ・ベンチャー企業立ち上げ成功。母51歳・テレワークシステムを利用し現在も勤務中、長男22歳大学生、長女17歳の高校生。交換留学制度で北京に留学中。と家事ロボット「イノベ」1台の伊野辺家6人家族とロボット”一人”の18年後、2025年の生活は?
*** 【伊野辺家の一日】 ***
(れは梗概です。このほか 「手術なしのがん治療」 「二酸化炭素がエネルギーの車」 「高性能センサーで土砂、洪水災害を予測」などがちりばめて全4ページ分あります)
【6時半】・・・・・祖父母が起床。部屋の26インチディスプレイで「今日の健康状態」をチェック。体調不良時には遺伝子情報に応じた薬の指示も受ける
【8時】・・・・・父が出社。テレワーク(在宅勤務)制度とフレックスタイム制により、バス(電気自動車か燃料電池車)の混雑緩和。ニュースは携帯ディスプレイで
【12時半】・・・・・長男が大学のカフェテラスで食事。10人の仲間のうち日本人は3人で、残りは世界各国からの留学生
【14時】・・・・・祖母がフラワー教室へ。アルツハイマー病を発症したが、早期発見、治療薬の改善で普通の人と同様の生活に。自分の存在を知らせる身体装着型端末を時計のバンド代わりに使う。医療や防犯ネットワークにもつながり、日本の犯罪発生率は世界一低い
【16時】 ・・・・・祖母がスーパーに立ち寄る。身体装着型端末で食品の生産履歴が分かる。決済は商品の電子タグ情報を読み取り口座引き落とし
【17時】・・・・・母が仕事部屋でテレワーク勤務終える。ロボットから家の掃除の状況や、家族の帰宅予定時間を聞く
【19時】・・・・・夕食。月旅行に成功したロボットのニュースを103インチディスプレイで楽しむ
【20時】・・・・・中国留学中の長女から連絡。103インチディスプレイを通して会話。中国の友人とも同時通訳の音声と字幕で会話
【23時】・・・・・就寝。壁面照明で、人の存在や活動状況に応じて明るさは自動調節
▼ 激変する世界のなかで日本の繁栄と国民生活の安定をどう維持していくのか? 日本学術会議の前議長・黒川清博士を内閣特別顧問に迎え、学者、経済人ら7人が集ってまとめた中間報告は、必要な社会の変貌・制度の変革をしてきしています。最大の問題はやはり少子・高齢。今は65歳以上の高齢者1人を4人の労働力で支えていますが、生産年齢人口の急減で2025年には、これが2人になるのが確実です。
▼ 資源・エネルギーの窮迫、地球温暖化をはじめとする環境問題、水や食糧の不足は、ますます深刻になります。生き抜く唯一の手段は生産性の向上。イノベーション(技術革新)が頼みでしょう。そのための人材育成や働き方、企業や制度のあり方に加えて国民の「価値観の大転換」が必要になります。
▼ 中間報告は、グローバル化に対応して、大学は、文系、理系の区分はなくして英語で授業をする。企業に対する事故時の免責制度の創設。新事業進出を促進策。更に障害者の社会(教育・企業の全面公開)参加保障の制度化によって”新しい発想”による社会改革の推進・・・などを挙げています。
▼ また、技術革新によって、20年後に実現しそうな技術は、認知症を激減させる治療薬、家事代行ロボット、人工降雨による砂漠緑化など、医薬や工学などの新分野20項目も具体的に並べています。
▼ しかし、中間報告は、こうした進歩に立ちはだかるのは”既得権” 国民を説得し、これを打ち破るためには「政府が傷だらけになる覚悟と勇気」を持って国民全体の意識革命を起こさねばならない、と、断じています。20年後の日本、決してばら色ではありません。今以上に厳しく自己改革が求められることになりそうですね。
《ニュースを読んで”吉備談語”(2)》
リーダシップとはブルドーザと見つけたり
◎ 少々、乱発気味の「安倍首相のリーダシップ」には独裁者の雰囲気がただよい始めました。一昨年の総選挙で落選した衛藤晟一(せいいち)前議員を、首相一存で強引に自民党への復党させようとしているゴリ押しが好例。この人、リーダシップといえばブルドーザのようなものと勘違いしているのではないでしょうか?
★ 夏の参院選を前に自民党は「2年前、郵政民営化に反対し、離党。無所属で立候補し、落選した元同党議員の復党は参院選後に」と正式決定しています。現に同じ造反組で参院選の岐阜選挙区に立つ藤井孝男氏は、推薦にとどめています。なのに・・・衛藤氏については、安倍首相が「私が判断する」と”私のリーダーシップ”で、と強調しています。
★ 衛藤氏は、前回選挙で衆院大分1区で落選していますが、安倍首相は同氏を参院選で自民党比例代表候補とする考え。大分での選挙協力を期待していた公明党の冬柴鉄三国土交通相は「コメントしない」と不快感を露わにしました。早速、党内でも首相独断への世論の批判を懸念する声が高まっています。なのに・・・何故、ゴリ押しするのか?
★ 安倍-衛藤の2人組はともに拉致議連で役員を務めた中。太平洋戦争を「自存自衛の戦い」とし、歴史教科書の従軍慰安婦の記述についても「自虐史観」だとして見直しを求める「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」では、共に先頭に立って衛藤氏が幹事長、安倍氏が事務局長のコンビを組んだ中でもあります。同じ政治信条を共有しているのは確かです。
★ そんな衛藤氏の復党に「総裁のリーダシップ」振りかざして党決定を覆す。何とも無茶な話です。横暴の謗りは免れません。折りも折、腹心の中川自民党幹事長は、記者会見で、先に閣僚らが首相に忠誠を尽くすべきだ、と引き締めた発言も、「実は安倍首相に事前に伝えてあって許可も得ており、納得の上」だった、とか。恥知らずなサル芝居だったのですね。
★ さきほどテレビニュースを見ていたら、自民党大分県連が中川幹事長と会い、「地元大分県連の頭越しに話が進められている」と抗議していました。地元は「青天の霹靂(へきれき) 公明党との協定にヒビが入る。党全体のために”私”を捨てよ」と安倍さんに申し立てしたそうです。まあ、国民の目にもブザマな、カッコ悪い話ですね。
★ まあ、自民党の内部事情のこと。どうでもいいようですが、この安倍手法。次々と、大統領的独裁体制の布石を打っているような不気味さを思わせます。党内や公明党が反発する衛藤氏復党への批判を和らげる狙いがあってのことでしょうか? 「造反組」の旗頭である平沼氏を復党させる工作もしたようですが、平沼氏は即座に拒否しました。まことに自民党政治は無原則の離合集散、その場、その場で、高言なさる”志、理念、政策”がコロコロ変わり、分かりにくいです。
【時事日誌:今日のエントリー】(2件)
東洋町で文献調査を原環機構が申請へ 高レベル放射性廃棄物最終処分場の候補地調査に高知県東洋町が応募したことを受けて、国の認可法人、原子力発電環境整備機構(原環機構)は27日、第1段階となる文献調査を同町で始めるよう経済産業省に許可申請する方針を決めた。▼文献調査が始まれば、同町と周辺自治体には、2年間に総額20億円の交付金が国から出が、東洋町では、今年1月に応募した田嶋裕起町長に対し、町議会が反対決議を可決するなど町を二分する状態が続いている。▼住民による反対条例の制定を目指す動きが活発化しているだけでなく、橋本大二郎・高知県知事や県議会、隣の徳島県も強く反対しており、今回の決定は、地元の混乱をさらに深めそう。
最高裁が君が代伴奏命令に合憲判決 日の丸・君が代に反対する公立学校の音楽の教諭が入学式で君が代のピアノ伴奏を拒んで懲戒処分を受けたのは不当だと訴えた裁判で、最高裁判所は「君が代の伴奏を命じたことが教諭の歴史観や世界観を否定する行為とはいえず、思想、良心の自由は侵害していない」と判断して教諭の訴えを退けた。▼平成11年に東京・日野市の公立小学校の入学式で、音楽の女性教諭が、校長から命じられた君が代のピアノ伴奏を拒否して戒告処分を受け、「思想、良心の自由を侵害された」と主張して、東京都教育委員会に処分の取り消しを求めていたもの。▼最高裁判所第3小法廷の那須弘平裁判長は「君が代の伴奏を命じたことで直ちに教諭の歴史観や世界観を否定したとはいえない。君が代斉唱は公立学校の行事で広く行われており、生徒に一方的な思想や理念を教え込むことを教諭に強制しているともいえず、思想、良心の自由は侵害していない」と初めて憲法判断し、教諭の訴えを退けた。
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【謹告】
● 「マスコミ見聞録」は2007年1月1日からスタートしました。毎日、深夜の日付変わり時刻にその日の時事記事をまとめております。深夜で日付がまたがることもあり、これまでは《翌日日付》にしておりましたが、2月27日から当日日付にいたします。従いまして2月27日付けの「マスコミ見聞録」の日付はダブります。ご了承ください。新しい版は日付末尾の数字に(b)を表示しました
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by zenmz
| 2007-02-27 20:33