2007年 06月 12日
【7243】 取り戻そう「日本型食生活」 |
★ 「飽食の時代」は、新たな文明病を生み出し、気がつくと、国民全体が、新しい文明病に恐れ、おののく。人類は、その歴史を通じて、長い長い間、「衣食足りて礼節を知る」理想実現を夢見て来ました。世が乱れるのも、元を正せば、ひもじいから。暖をとり、食べ物が潤沢に得られたら人は必ず礼に生きるようになる。つい半世紀前まで、それは追及すべき未来社会像とされていました。
★ ところが・・・・。食うに困らぬ時代になると、その夢は簡単に潰えました。先ず、ムシャムシャと食の礼法が失われ、茶碗の持ち方、箸の運び方、そんなのカンケイナーイと、ただ食べたいものを食べたいだけ食う。一時、それを心配した議論が巻き起こったことがあります。当時、流行したシラケ言葉。そんなの「カラスの勝手でしょう・・・」 笑い飛ばして、飽食ご免!の時代に突入しました。
★ 今、思い起すと、それは、大阪・千里の万国博時代に始まったような気がします。昭和50年、つまり1975年に欧米に渡航した折、やはり飽食による肥満が医療保険を圧迫するほどの重大問題として議論されるようになって、企業が「肥満は自制心のないことに起因する」と、求人雇用で「肥満の人は雇わない」と門前払いするケースが続出して、新たな差別、と裁判沙汰になっているのを見てビックリした覚えがあります。
★ 当時、帰国して私は、「もって”他山の石”とすべし」と、書きまくったものでした。とにかくアメリカ人は食べ過ぎる。ホテルの朝食でスクランブル・エッグを注文して出てきたのを見てビックリ仰天。大皿に山盛りです。3分の1に手をつけただけで、退散しました。しかし、笑い事ではありません。現在の日本、なんと困ったテレビ番組の多いこと。妙齢の若い女性が大食い競争に狂乱しています。
★ そして・・・同じテレビが栄養調和のサプリメント、とか。別番組を組んだり、広告をぶち込んだり。全く、マッチポンプとは、こういうことを言うのでしょう。グルメを煽る食べ歩き旅行、更には旬の味セットの一泊旅行。商業主義に乗せられて、多くの人が「食」を楽しむようになりました。追い求める「食」が高度になればなるほど、料理・調理が出来ない現象も加速しました。
★ ”食”を巡って狂乱・享楽の果てに肥満です。飽食と結びついた性の解放・・・いまや日本はソドムの再出現か!? と、目を疑うほどです。と、言うのも、昭和ヒトケタは、少年時代に「飢餓の時代」に生きました。「飢餓」とは何か? ご存知でしょうか? 飢餓は空腹ではありません。自分が生きているうちにこのような生き地獄が現実になるとは想ってもいませんでした。
★ 私は、外食を殆どしません。食事時にかかるような外出をするときには弁当もちです。外食が好きだ、嫌いだという前に、その楽しみも知らないのですが、元々、居酒屋など飲み屋やバーに出入りしてする交際もやったことがないので、その楽しみも分かりません。まあ、コト食、と言えば、お袋の味と、糟糠の妻の手料理しか知らない男です。だから、現在の飽食の時代をとりあげ、自分がかかわりあってもいない世界のことをとやかく申し上げることもないのですが・・・
★ まあ、人間、老い行く先が見え始めますと、子・孫世代には、是非一言、言い残しておきたいこともあります。遺言と思って聞いていただきたい。遺言は、書いた本人が死んでから効果があるそうですが、それでいいです。それを承知で申し上げます。
★ 特に若い皆さんに目を覚まして欲しい。もしあなたが今、肥満で悩んでいたら、それは重大な健康上の問題です。
半世紀前、日本人の大半はヤセ身でした。肥満体は殆どいなかった。つまりあなたが先祖から受けついで来た体質は、一部の例外を除いてヤセ身型なのです。それが、肥満になっている原因はただ一つ。食べ過ぎ。抑制できない過食習慣によるものです。
★ 野生の動物は、決して過食をしません。必要を満たせば、目の前にどれだけご馳走があっても食べません。我々の生体はもともとそのように安全弁が働いているのです。しかし、人間だけは、色々と理屈を並べ立てて、とめどない欲望を増幅させる。自分勝手の屁理屈ですね。自然の摂理が起こす安全弁も拒否して欲望に身をゆだねる。その結果、肥満になる。肥満は自然摂理が最後に示す警告です。
★ 昭和ヒトケタが経験した「飢餓の時代」は、戦争を起こした結果の自業自得でした。飢餓を実体験した私たちは、ともかく、戦後の復興期、日本の食卓はコメに代表される炭水化物に依存し、タンパク質や脂質が乏しかった。占領軍のアメリカ兵が食べる肉や乳製品が理想の食物に映ったものです。だからやがて、経済が成長するにつれて、アメリカを真似るようになった。果物や牛乳などの副食が増え、栄養バランスのとれた食生活が実現した。それが1980年代にいたる豊かな時代への歩みでした。
★ 問題は、その先でした。豊かさを感謝し、それを作り出してくれたエコロジー生態系への思いを深めれば問題は起こらなかった。けれども我々は、踏み外しました。愚かにも、とめどなく拡大する欲望に身をゆだねたのです。しかし、世界各国は賢明でした。戦後の素晴らしい経済発展を遂げたニッポン、欧米の工業先進国がここに来てみて目を瞠ったのは、「日本型食生活」でした。魚中心の低カロリーの理想食。1990年代、トウフ、スシ、サシミ、ショーユ・・・・和食食材が世界で重宝されるようになりました。
★ なのに・・・皮肉なことに、日本では、グルメ嗜好が爆発。いまや、幼稚園児・小学生から老人まで、国民すべてが「メタポリック症候群」に怯え、病院内科は大入り満員。ダイエット食品専用店が生まれ、体内脂肪燃焼効果を宣伝しまくるサプリメントが大好評です。しかし、肥満にこれら、すべてが必要ありません。食べる量を適切に減らし、食の基本を「身土不二」 つまり自分の周りで採れる食材に戻る。先祖伝来の「日本型食生活」に戻るだけで、簡単に「一件落着」です。
★ 私自身は、農林水産省食品流通局消費生活課が推奨している「食生活指針について」が非常に大切な文献だと信じています。7年前の2000年5月に公開されたものですが、一言で言って、それは
★ 一人思い悩んでいても仕方ありません。自分の体は自分で直す。今の体は自分が、特に深く考えずに、食べたい物を、食べたいときに、食べたいだけ、すき放題に食べた。その結果です。ならば、少し性根を入れて、作り直せばいい。出来ない相談ではありません。指針に従って自分の食生活を変えればいいのです。ダイエット食品やサプリメントを追加しながらこれまで通りに食べ、病院通いするなど、それこそ愚の骨頂、と、言うべきでしょう。
★ どうか、喜寿老人の戯言、と一蹴せず、トシの功に免じていただき、ご傾聴くださることを切望します。
★ ところが・・・・。食うに困らぬ時代になると、その夢は簡単に潰えました。先ず、ムシャムシャと食の礼法が失われ、茶碗の持ち方、箸の運び方、そんなのカンケイナーイと、ただ食べたいものを食べたいだけ食う。一時、それを心配した議論が巻き起こったことがあります。当時、流行したシラケ言葉。そんなの「カラスの勝手でしょう・・・」 笑い飛ばして、飽食ご免!の時代に突入しました。
★ 今、思い起すと、それは、大阪・千里の万国博時代に始まったような気がします。昭和50年、つまり1975年に欧米に渡航した折、やはり飽食による肥満が医療保険を圧迫するほどの重大問題として議論されるようになって、企業が「肥満は自制心のないことに起因する」と、求人雇用で「肥満の人は雇わない」と門前払いするケースが続出して、新たな差別、と裁判沙汰になっているのを見てビックリした覚えがあります。
★ 当時、帰国して私は、「もって”他山の石”とすべし」と、書きまくったものでした。とにかくアメリカ人は食べ過ぎる。ホテルの朝食でスクランブル・エッグを注文して出てきたのを見てビックリ仰天。大皿に山盛りです。3分の1に手をつけただけで、退散しました。しかし、笑い事ではありません。現在の日本、なんと困ったテレビ番組の多いこと。妙齢の若い女性が大食い競争に狂乱しています。
★ そして・・・同じテレビが栄養調和のサプリメント、とか。別番組を組んだり、広告をぶち込んだり。全く、マッチポンプとは、こういうことを言うのでしょう。グルメを煽る食べ歩き旅行、更には旬の味セットの一泊旅行。商業主義に乗せられて、多くの人が「食」を楽しむようになりました。追い求める「食」が高度になればなるほど、料理・調理が出来ない現象も加速しました。
★ ”食”を巡って狂乱・享楽の果てに肥満です。飽食と結びついた性の解放・・・いまや日本はソドムの再出現か!? と、目を疑うほどです。と、言うのも、昭和ヒトケタは、少年時代に「飢餓の時代」に生きました。「飢餓」とは何か? ご存知でしょうか? 飢餓は空腹ではありません。自分が生きているうちにこのような生き地獄が現実になるとは想ってもいませんでした。
★ 私は、外食を殆どしません。食事時にかかるような外出をするときには弁当もちです。外食が好きだ、嫌いだという前に、その楽しみも知らないのですが、元々、居酒屋など飲み屋やバーに出入りしてする交際もやったことがないので、その楽しみも分かりません。まあ、コト食、と言えば、お袋の味と、糟糠の妻の手料理しか知らない男です。だから、現在の飽食の時代をとりあげ、自分がかかわりあってもいない世界のことをとやかく申し上げることもないのですが・・・
★ まあ、人間、老い行く先が見え始めますと、子・孫世代には、是非一言、言い残しておきたいこともあります。遺言と思って聞いていただきたい。遺言は、書いた本人が死んでから効果があるそうですが、それでいいです。それを承知で申し上げます。
★ 特に若い皆さんに目を覚まして欲しい。もしあなたが今、肥満で悩んでいたら、それは重大な健康上の問題です。
半世紀前、日本人の大半はヤセ身でした。肥満体は殆どいなかった。つまりあなたが先祖から受けついで来た体質は、一部の例外を除いてヤセ身型なのです。それが、肥満になっている原因はただ一つ。食べ過ぎ。抑制できない過食習慣によるものです。
★ 野生の動物は、決して過食をしません。必要を満たせば、目の前にどれだけご馳走があっても食べません。我々の生体はもともとそのように安全弁が働いているのです。しかし、人間だけは、色々と理屈を並べ立てて、とめどない欲望を増幅させる。自分勝手の屁理屈ですね。自然の摂理が起こす安全弁も拒否して欲望に身をゆだねる。その結果、肥満になる。肥満は自然摂理が最後に示す警告です。
★ 昭和ヒトケタが経験した「飢餓の時代」は、戦争を起こした結果の自業自得でした。飢餓を実体験した私たちは、ともかく、戦後の復興期、日本の食卓はコメに代表される炭水化物に依存し、タンパク質や脂質が乏しかった。占領軍のアメリカ兵が食べる肉や乳製品が理想の食物に映ったものです。だからやがて、経済が成長するにつれて、アメリカを真似るようになった。果物や牛乳などの副食が増え、栄養バランスのとれた食生活が実現した。それが1980年代にいたる豊かな時代への歩みでした。
★ 問題は、その先でした。豊かさを感謝し、それを作り出してくれたエコロジー生態系への思いを深めれば問題は起こらなかった。けれども我々は、踏み外しました。愚かにも、とめどなく拡大する欲望に身をゆだねたのです。しかし、世界各国は賢明でした。戦後の素晴らしい経済発展を遂げたニッポン、欧米の工業先進国がここに来てみて目を瞠ったのは、「日本型食生活」でした。魚中心の低カロリーの理想食。1990年代、トウフ、スシ、サシミ、ショーユ・・・・和食食材が世界で重宝されるようになりました。
★ なのに・・・皮肉なことに、日本では、グルメ嗜好が爆発。いまや、幼稚園児・小学生から老人まで、国民すべてが「メタポリック症候群」に怯え、病院内科は大入り満員。ダイエット食品専用店が生まれ、体内脂肪燃焼効果を宣伝しまくるサプリメントが大好評です。しかし、肥満にこれら、すべてが必要ありません。食べる量を適切に減らし、食の基本を「身土不二」 つまり自分の周りで採れる食材に戻る。先祖伝来の「日本型食生活」に戻るだけで、簡単に「一件落着」です。
★ 私自身は、農林水産省食品流通局消費生活課が推奨している「食生活指針について」が非常に大切な文献だと信じています。7年前の2000年5月に公開されたものですが、一言で言って、それは
米、 野菜、 魚、 大豆を中心とした伝統的な食生活のパターンに、 肉類、 牛乳・乳製品、 鶏卵、 油脂、 果物が豊富に加わって、 多様性があり、 かつ、 栄養バランスがとれ健康的で豊かな我が国独自の をめざそうとの提案です。
★ 一人思い悩んでいても仕方ありません。自分の体は自分で直す。今の体は自分が、特に深く考えずに、食べたい物を、食べたいときに、食べたいだけ、すき放題に食べた。その結果です。ならば、少し性根を入れて、作り直せばいい。出来ない相談ではありません。指針に従って自分の食生活を変えればいいのです。ダイエット食品やサプリメントを追加しながらこれまで通りに食べ、病院通いするなど、それこそ愚の骨頂、と、言うべきでしょう。
★ どうか、喜寿老人の戯言、と一蹴せず、トシの功に免じていただき、ご傾聴くださることを切望します。
by zenmz
| 2007-06-12 14:44
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