2007年 06月 18日
【7260】 【三日魚を食わねば骨離れする】 |
★ この山奥に住むようになった時、一番の難題は「鮮魚がない」 なにしろ買い物一つするにも25キロ離れた高梁市まで行かねばなりません。なのに二人とも車の運転が出来ない。しかたなく、朝夕だけ運行のバスに乗って高梁市のスーパーへ。行った先にも”鮮魚”など姿を拝むことも不可能でした。19年前、我ら夫婦、還暦を前にしていました。
★ 「ああ、体がもたヘン」 3度の食事ごとに繰り返す老妻の口癖。「オイシイお刺身、食べたいワ」 知り合いになった土地の人が笑っていいました。「ここでは昔から魚は”エンモノ”なんよ」 塩物、つまり乾物しかないのです。年に一度、年末にお正月用のブリ市が立つのですが、その頭を軒先に吊すのが伝統。「ウチは生もの食べとるよ」とのデモンストレーションだったそうです。
【三日魚を食わねば骨離れする】
★ 昨日の新聞を開くと、こんな見出しが目に飛び込んで来ました。瀬戸内海の話かと思ったら、これは、宮城地方のことわざだそうです。さすがに黒潮が流れ込む魚介類の本場ですね。そうと聴かされると、また違った感興が湧きます。3日間も魚を食べないと骨と身が離れるように感じる。正にズバリ、19年前の我々夫婦の実感でした。
★ だが、この「3日間も魚を食べないと骨と身が離れるように感じる」感覚。食生化学的に根拠があるのか、どうか?お馴染み辻啓介先生の解説によれば・・・
《通常、骨離れは魚を食べる時に使う言葉であるが、人体でそんなことが起きたら大変である。栄養状態が悪いことを意味しているのだろう。 魚のたんぱく質はアミノ酸バランスが良い。脂は人体で作れない不飽和脂肪酸に富む。ミネラルやビタミンにも富む。日本人のからだは魚食で保持されてきたと言っても過言ではない》
★ 人間に最も大切な《アミノ酸バランス》は、魚中心の食生活をしておれば、自然と理想に近づく、ということなんでしょうね。私たち一家は、肉より魚が好きです。それこそ、子・孫に至るまで、全員が、「肉より魚」 特に一番末の高三の孫などは徹底しています。ウチに来ても
「オバーチャン、サカナ、無いのカ?」
若いモンには、と、用意のビフテキなどは口にしません。
★ それにつけても、ありがたい時代ですね。宅急便による流通大革命。
老妻の父方は淡路島の出身。いまでも親類・縁者がたくさん、います。中でも妻が最も仲の良かった従弟は漁師。 陸に上がると、屡々、ケイタイ電話が。
「さっき、エエもん捕れた。宅急便で送ったから留守せず待っててヤ」
この山奥で、完全に”ムエン魚”は私たちには「無縁」になりました。
★ 急に訪れた遠来の客。おもてなしは老妻の手料理です。活きのいい魚大盛りです。皆さん、声を挙げて驚かれます。
「こんな活きのいい魚、何処から仕入れるのですか?」
「淡路島。昨日、釣れたものよ。オイシイでしょう」
こんな時、老妻は、最高にご機嫌。鼻高です。
見ているこちらも亭主冥利に尽きますね。ご相伴にも与れることですし・・・。魚、様々、言うことなし。
【注】
SNSからの転載です。
初出は、(火)・【私の食生活・今日の一戒」(12)】
(「日経WagaMaga」2007年05月24日)
★ 「ああ、体がもたヘン」 3度の食事ごとに繰り返す老妻の口癖。「オイシイお刺身、食べたいワ」 知り合いになった土地の人が笑っていいました。「ここでは昔から魚は”エンモノ”なんよ」 塩物、つまり乾物しかないのです。年に一度、年末にお正月用のブリ市が立つのですが、その頭を軒先に吊すのが伝統。「ウチは生もの食べとるよ」とのデモンストレーションだったそうです。
【三日魚を食わねば骨離れする】
★ 昨日の新聞を開くと、こんな見出しが目に飛び込んで来ました。瀬戸内海の話かと思ったら、これは、宮城地方のことわざだそうです。さすがに黒潮が流れ込む魚介類の本場ですね。そうと聴かされると、また違った感興が湧きます。3日間も魚を食べないと骨と身が離れるように感じる。正にズバリ、19年前の我々夫婦の実感でした。
★ だが、この「3日間も魚を食べないと骨と身が離れるように感じる」感覚。食生化学的に根拠があるのか、どうか?お馴染み辻啓介先生の解説によれば・・・
《通常、骨離れは魚を食べる時に使う言葉であるが、人体でそんなことが起きたら大変である。栄養状態が悪いことを意味しているのだろう。 魚のたんぱく質はアミノ酸バランスが良い。脂は人体で作れない不飽和脂肪酸に富む。ミネラルやビタミンにも富む。日本人のからだは魚食で保持されてきたと言っても過言ではない》
★ 人間に最も大切な《アミノ酸バランス》は、魚中心の食生活をしておれば、自然と理想に近づく、ということなんでしょうね。私たち一家は、肉より魚が好きです。それこそ、子・孫に至るまで、全員が、「肉より魚」 特に一番末の高三の孫などは徹底しています。ウチに来ても
「オバーチャン、サカナ、無いのカ?」
若いモンには、と、用意のビフテキなどは口にしません。
★ それにつけても、ありがたい時代ですね。宅急便による流通大革命。
老妻の父方は淡路島の出身。いまでも親類・縁者がたくさん、います。中でも妻が最も仲の良かった従弟は漁師。 陸に上がると、屡々、ケイタイ電話が。
「さっき、エエもん捕れた。宅急便で送ったから留守せず待っててヤ」
この山奥で、完全に”ムエン魚”は私たちには「無縁」になりました。
★ 急に訪れた遠来の客。おもてなしは老妻の手料理です。活きのいい魚大盛りです。皆さん、声を挙げて驚かれます。
「こんな活きのいい魚、何処から仕入れるのですか?」
「淡路島。昨日、釣れたものよ。オイシイでしょう」
こんな時、老妻は、最高にご機嫌。鼻高です。
見ているこちらも亭主冥利に尽きますね。ご相伴にも与れることですし・・・。魚、様々、言うことなし。
【注】
SNSからの転載です。
初出は、(火)・【私の食生活・今日の一戒」(12)】
(「日経WagaMaga」2007年05月24日)
by zenmz
| 2007-06-18 05:30
| 食生活:今日の一戒