2007年 07月 10日
【7317】 《外套ではなくパンが暖めてくれる》 |
★ 戦争の最中に少年時代を過ごした”昭和ヒトケタ族”は、冬が一番、辛かった、思い出を持っています。私は、小学校6年生の時に広島の片田舎に”学童疎開”し、古い木造家屋に住んだのですが、部屋の暖房器具と言えば、火鉢(ひばち)が一つだけ。着る物もママならず、フスマ、障子だけで仕切った部屋は外温そのままの寒さ。しかも食べ物もなく、寒気が下って来ると、歯が自然にカチカチ鳴るほど身に堪えたものでした。
★ とにかく、ジッとしているのが一番、辛い。日に何度も「寒風マサツ」をします。上半身ハダカになって、乾いたタオルで擦るのです。両上腕の裏表、胸部から腹部、そして背部へと、皮膚を強く、摩擦します。やがて皮膚がほんのりと紅色になると、ポカポカと暖かく感じるようになってきます。そして衣服を着けると、不思議と活力が甦ってきたものでした。
★ しかし、それも、一時凌ぎ。ジッとしていると、すぐ又、寒さは戻ります。私たちが少年の頃は、「背筋を伸ばして、奥歯を噛み締め、アゴを引け」と姿勢を非常にやかましく躾けられました。誰もが、口元だけは引き締まり、ポカン、とした表情などしている者はいなかったのですが、厳寒の候になると、その口元を抑えきれないほど、アゴが上下に小刻みにケイレンを起こして歯を鳴らすのです。
★ これは、「体を動かせ」のサイン。枯れ木を引いて薪を作ったり、井戸水汲んで風呂桶に入れたり、赤松の森に出かけて小枝で編んで落ち葉を詰めて運ぶなど、とにかく働く。寒さを忘れる一番、効果的なのは「力仕事にセイを出す」。子どもにとってそれは辛いことでした。部屋でジッとしている。寒さは、それを許しませんでした。
★ エアコンで、暑さ、寒さ、知らずの今、当時を思い起こすと、よくぞ、堪えたものだ・・・と、思います。一つの火鉢を母子4人が囲んでかざした手の上に布団をかける。眠るときは湯たんぽ。ガスを撒き散らすタドンという劣悪燃料のコタツ・・・思い返すと、ゾッとします。
寒空の中の飢餓。とりわけ、敗戦の年とその翌年、翌翌年の冬(1945~1947)は、正に、「生き地獄の冬」でした。都会では路上餓死者が出ました。
★ 今朝の辻啓介博士の食・健康随想を読み、65年前が生々しく甦りました。
《外套ではなくパンが暖めてくれる》 ・・・ そう、その通り。ピッタリそのまま、当時の私の気持ちでしたネ。
★ それにしても・・・ちょっと、意外。体温維持に即効性があるのは、たんぱく質とは!
脂肪は貯蔵用であるのは常識的に理解出来るとしても、私は、糖質こそ、その役割をはたすもの、とばかり思っていました。「1粒500メートル」 両手を広げてゴールインのグリコの商標こそその象徴でありました。でも、たんぱく質だったのですね。
喜寿にして初めて蒙が啓けたおもいがします。
★ とにかく、ジッとしているのが一番、辛い。日に何度も「寒風マサツ」をします。上半身ハダカになって、乾いたタオルで擦るのです。両上腕の裏表、胸部から腹部、そして背部へと、皮膚を強く、摩擦します。やがて皮膚がほんのりと紅色になると、ポカポカと暖かく感じるようになってきます。そして衣服を着けると、不思議と活力が甦ってきたものでした。
★ しかし、それも、一時凌ぎ。ジッとしていると、すぐ又、寒さは戻ります。私たちが少年の頃は、「背筋を伸ばして、奥歯を噛み締め、アゴを引け」と姿勢を非常にやかましく躾けられました。誰もが、口元だけは引き締まり、ポカン、とした表情などしている者はいなかったのですが、厳寒の候になると、その口元を抑えきれないほど、アゴが上下に小刻みにケイレンを起こして歯を鳴らすのです。
★ これは、「体を動かせ」のサイン。枯れ木を引いて薪を作ったり、井戸水汲んで風呂桶に入れたり、赤松の森に出かけて小枝で編んで落ち葉を詰めて運ぶなど、とにかく働く。寒さを忘れる一番、効果的なのは「力仕事にセイを出す」。子どもにとってそれは辛いことでした。部屋でジッとしている。寒さは、それを許しませんでした。
★ エアコンで、暑さ、寒さ、知らずの今、当時を思い起こすと、よくぞ、堪えたものだ・・・と、思います。一つの火鉢を母子4人が囲んでかざした手の上に布団をかける。眠るときは湯たんぽ。ガスを撒き散らすタドンという劣悪燃料のコタツ・・・思い返すと、ゾッとします。
寒空の中の飢餓。とりわけ、敗戦の年とその翌年、翌翌年の冬(1945~1947)は、正に、「生き地獄の冬」でした。都会では路上餓死者が出ました。
★ 今朝の辻啓介博士の食・健康随想を読み、65年前が生々しく甦りました。
《外套ではなくパンが暖めてくれる》 ・・・ そう、その通り。ピッタリそのまま、当時の私の気持ちでしたネ。
○ 梅雨のシーズンでも不意に寒い時がある。ロシアでは外套まで持ち出す時がある。そのことわざ。
○ 寒い時には、服で暖めるのも良いが、先ず食べ物が必要である。極地での必要カロリーは一日5000カロリーにのぼる。
○ 食べ物が体を温める力は以外に強いのだ。
○ その筆頭がたんぱく質である。食べた量の30パーセントは直ぐに燃え、体温維持に利用される。
○ 脂肪や糖質も同じ作用があるが、たんぱく質に比べるとかなり低い。
★ それにしても・・・ちょっと、意外。体温維持に即効性があるのは、たんぱく質とは!
脂肪は貯蔵用であるのは常識的に理解出来るとしても、私は、糖質こそ、その役割をはたすもの、とばかり思っていました。「1粒500メートル」 両手を広げてゴールインのグリコの商標こそその象徴でありました。でも、たんぱく質だったのですね。
喜寿にして初めて蒙が啓けたおもいがします。
by zenmz
| 2007-07-10 09:05
| 食生活:今日の一戒