2007年 07月 30日
【7350】 《土用の丑の日は鰻》 |
★ 今日は、「土用の丑の日」 日本列島、鰻を食う習慣が広がっており、スーパーの食品売り場やレストラン、商店街・・・どこを歩いても蒲焼のにおいが立ち込めています。この習慣は江戸時代四国・讃岐に始まった、というのが通説。しかし、日本人が、鰻の脂身が夏痩せによい、と気づいていたのは、もっと古く、1300年も前だった、という文献的実証があるそうです。
★ その証拠は、「万葉集」 かの有名な歌人・大伴家持の歌に2首が集録されています。
★ 前の句は、「夏痩せには鰻がいいから、とってきて食べろ、と石麻呂に言った」
後の句は、「夏痩せしようとも生きておればいい。鰻などとりに行って川に流されるなよ」
共になんともユーモラスな万葉人の感性ですが、そこには、「夏痩せにはウナギ」の”生活の知恵”がどっしり座っています。
★ 万葉集は、7世紀から8世紀にかけて100年かけて編まれた勅撰歌集ですから、「夏ばてにウナギ」の風習は、それ以前、つまり1300~1400年も前からあったはずですね。だけど、これほど神秘に包まれた魚はないそうです。一般には”川魚”と思われていますが、実は、親ウナギが産卵するのは、熱帯の海。そこで孵化した幼魚が黒潮に乗って成長しながら日本の川に上ってくるのだそうです。
★ グアム、マリアナ群島付近の南の深海で生まれ、やがて黒潮に乗ってアジア大陸東沿岸沿いに北上し、日本列島にやってくる。まるで台風と同じ軌跡ですね。ウナギと台風・・・相性がいいのでしょうか? ともかく、海温や気象、それに月齢とも非常に関係深い微妙な環境が、産卵、孵化、生育に関係しているようです。
★ 一番年長の私の孫”明石の釣り人”は、今、大学院生。ウナギの研究に熱中しています。
一昨日の夕べに岡山へ遊びに来て、町内会主催のバーベキュー大会に参加し、ご近所の方々と談笑しておりましたが、
「ニホンウナギの産卵場所は、グアム島沖のスルガ海山付近です」
と自信たっぷりに説明。
★ 実は、孫が勉強している東京大学海洋研究所が、昨年2月に初めてそれを確認し、”世界的発見”と言われ、マスコミでも大きく報道されたその調査に末席に参加させていただいた貴重な体験談をご披露しておりました。
★ 孫に言わせると、ウナギの生態、特に幼魚の食餌や成育環境は殆ど分かっておらず人工養殖の試みは成功した例がないそうです。「このままだと間も無く絶滅する。”絶滅危惧種”に指定し、国際的に保護する運動も急速に高まっている」とか。
「また来月3日にグアム島沖に調査に出かけます。明日から資材の積み込み。忙しい4週間が始まります」と、いそいそと東京へ戻って行きました。
★ いつの間にか、我が家の誰もが、孫が伝える”耳学問”で、ウナギの一生に興味を持ち始めているところです。
身近なウナギ。何の変哲もない、日本人が古から親しんできた食材ですが、一足踏み込むと、神秘に包まれた生物なのですね。
今年の”土用の日”・・・「たかがウナギ、されどウナギ」の想いを深めています。
今朝の辻啓介博士の食随想、とりわけ興味深く拝見しました。
★ その証拠は、「万葉集」 かの有名な歌人・大伴家持の歌に2首が集録されています。
石麻呂に吾(われ)物申す夏痩せに良しといふ物ぞ鰻(むなぎ)漁(と)り食(め)せ
痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた鰻(むなぎ)を漁(と)ると川に流るな
★ 前の句は、「夏痩せには鰻がいいから、とってきて食べろ、と石麻呂に言った」
後の句は、「夏痩せしようとも生きておればいい。鰻などとりに行って川に流されるなよ」
共になんともユーモラスな万葉人の感性ですが、そこには、「夏痩せにはウナギ」の”生活の知恵”がどっしり座っています。
★ 万葉集は、7世紀から8世紀にかけて100年かけて編まれた勅撰歌集ですから、「夏ばてにウナギ」の風習は、それ以前、つまり1300~1400年も前からあったはずですね。だけど、これほど神秘に包まれた魚はないそうです。一般には”川魚”と思われていますが、実は、親ウナギが産卵するのは、熱帯の海。そこで孵化した幼魚が黒潮に乗って成長しながら日本の川に上ってくるのだそうです。
★ グアム、マリアナ群島付近の南の深海で生まれ、やがて黒潮に乗ってアジア大陸東沿岸沿いに北上し、日本列島にやってくる。まるで台風と同じ軌跡ですね。ウナギと台風・・・相性がいいのでしょうか? ともかく、海温や気象、それに月齢とも非常に関係深い微妙な環境が、産卵、孵化、生育に関係しているようです。
★ 一番年長の私の孫”明石の釣り人”は、今、大学院生。ウナギの研究に熱中しています。
一昨日の夕べに岡山へ遊びに来て、町内会主催のバーベキュー大会に参加し、ご近所の方々と談笑しておりましたが、
「ニホンウナギの産卵場所は、グアム島沖のスルガ海山付近です」
と自信たっぷりに説明。
★ 実は、孫が勉強している東京大学海洋研究所が、昨年2月に初めてそれを確認し、”世界的発見”と言われ、マスコミでも大きく報道されたその調査に末席に参加させていただいた貴重な体験談をご披露しておりました。
★ 孫に言わせると、ウナギの生態、特に幼魚の食餌や成育環境は殆ど分かっておらず人工養殖の試みは成功した例がないそうです。「このままだと間も無く絶滅する。”絶滅危惧種”に指定し、国際的に保護する運動も急速に高まっている」とか。
「また来月3日にグアム島沖に調査に出かけます。明日から資材の積み込み。忙しい4週間が始まります」と、いそいそと東京へ戻って行きました。
★ いつの間にか、我が家の誰もが、孫が伝える”耳学問”で、ウナギの一生に興味を持ち始めているところです。
身近なウナギ。何の変哲もない、日本人が古から親しんできた食材ですが、一足踏み込むと、神秘に包まれた生物なのですね。
今年の”土用の日”・・・「たかがウナギ、されどウナギ」の想いを深めています。
今朝の辻啓介博士の食随想、とりわけ興味深く拝見しました。
《土用の丑の日は鰻》
○ 江戸時代の知恵者、平賀源内が夏場に売れない鰻屋の主人に相談され、「本日土用丑の日」と書いて店先に貼ったところ、客が押し寄せた、という話が伝わる。
○ 脂っこいので、夏痩せする人は食べ、太っている人は避けた方が無難であろう。ビタミンAの最高の供給源である。
○ 鰻は、フィリピン近くの海から海流に乗って日本に来るが、河口付近で捕らえられ、養殖されて、食べられる。
○ 将来の絶滅危惧種になりそうだ。
by zenmz
| 2007-07-30 10:32
| 食生活:今日の一戒