2008年 05月 21日
【8058】 メタポ退治?? 肥満者の人権を考えよ |
★ この状況は、人権の観点からしてイカガなものか?
このところ、何度も、何度も、問い返しています。この四月から国を挙げて始まった「メタポ退治」の大キャンペーン。これで人権上、問題を起こす懸念はないのでしょうか?
考えるほどに不安が増幅します。
★ 近年、急増している糖尿病、高血圧症などの生活習慣病は、多くの場合、内臓脂肪の蓄積が原因、というので、この四月から「特定健康診査・特定保健指導」という新しい健康診断制度が発足しました。
★ 通称、”メタポ検診”という名で登場した新たな国の制度は、40歳から74歳の健康保険加入者を対象に行うもの。その実施責任は健保組合に義務づけられていて、「メタボ健診」の成績の如何によって健保組合に、恩恵と”ペナルティ”が付せられることになっています。
★ それは、今、最大の政治問題になっている「後期高齢者医療制度」と密接に関連していて、目標値をクリアした健保組合には後期高齢者の医療費への負担金が最大10%減。逆に達成できないと10%増というアメとムチが仕組まれているのです。
★ これなどは、直接的には目に見えない仕掛けなので、一人一人の実感に結びつかないのですが、ともかく、「メタボ健診」の受診を受けない対象者数に比例して”罰金”が課せられる仕組みです。事情が分かれば、「オマエのセイで負担が増えた」 ウラミの眼差しが一斉に肥満者に向けられるでしょう。
★ このような制度が”ペナルティ”付きで半強制的に行われるようになると、一番、心配になるのは、雇用主が肥満傾向にある人を雇わなくなる。下手をすると難癖つけて辞めさせる。陰湿ないじめの動きも出てくるのではないか?
そんな心配が広がるのも当然ですね。
★ ところで・・・国が問題にしている「肥満」とは、そもそも一体、何なのか? 基準そのものの設定が問題です。制度が問題にしているのは、「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群) 【群】というとらえ方で実にアイマイ。何が問題なのか? もう一つ、よく分からないのですが、定められている基準は・・・・
一方、太っている家系ながら全員、健康な家族も同様に多いです。
★ 家族全員が、太っていても、やせていても、健康に過ごしている人は随分、います。 これなどは明らかに遺伝的体質の差違でしょう。この非常に重要なポイントは、全く無視されています。ただ、ハラ周りの長さだけで、善悪を分ける。こんな無茶な話、あっていいでしょうか?
★ 私たちが若い頃、食べ物がなく、みんながスリムだった頃、ふくよかな太めの女性は、清濁併せ飲む頼りがいのある肝っ玉かあさんの象徴でした。七福神のえべっさんがタイコ腹を突き出している掛け軸が、多くの家の床の間に飾ってあったように思います。”太っている”ことは、ちょっと愛嬌のある好もしいアイドル・・・それは豊かさの羨望を秘めたポジティブなイメージでもありました。そんな時代・・・みんな優しかったです。
★ こう申せば、今、還暦を迎えた人々には懐かしい女優がまぶたに浮かぶでしょう。京塚昌子さん。かっぽう着がよく似合う“お母さん女優で、今から40年ほど前に超人気テレビドラマ「肝っ玉かあさん」の主役で爆発的な人気を集めたものです。
★ この人を有無をいわさず、病気でもないのに診療所に連れ込んで、ハラ回りを計る。何という野蛮な行為か。その上、基準値を上回ると即座に「生活習慣病予備軍」のレッテル貼り。 とても科学的根拠があるとも思えない基準で、国家が、このような調子で国民の一人一人をここまで管理し、振り分けると、それが及ぼす社会的影響は必ず出てきます。
★ 肥満体はお断り。就職、結婚、さらには交遊関係にまで、新たな差別・偏見を生み出す懸念は大きいです。恐らく「メタポは自己責任」キャンペーンが早晩、始まるでしょう。そうなると、肥満の人は、「自己管理の出来ない」意志薄弱者にもされかねません。
★ かつて長寿は尊敬されました。太った体格は愛されました。それを「後期高齢者」「メタポ」とネガティブ烙印を押して医療費を食う「社会保険のお荷物」扱いし、制度改悪キャンペーンを始めた政府。一体、政治とは何か? どこで価値観が大転換したのか? オカネがすべての拝金主義・官僚政治の結果でしょう。人よりゼニカネ勘定が先ず大事、という次第。
★ 私自身は、ハラ周り79センチ。問題ありませんが、多くの友人たちの《肥満体》を思い浮かべると、心配になります。この制度は、非常に重要な人権問題を引き起こし兼ねない構造的欠陥を内包している、と懸念しています。
★ 悪影響は、もう広範に出ています。全国民に広がっているメタポ恐怖神経症。みんなが必要以上にピリピリしています。肥満恐怖で神経症の症状をみせる若い女性も多くなりました。だれが、こんな新種のピリピリ過敏症を生み出したのでしょう。
★ この過剰な”健康過敏症” いつから私たちは、それを病むようになったのでしょう。ちょっと冷静になって考えてみたいものですね。
***** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって *****
このところ、何度も、何度も、問い返しています。この四月から国を挙げて始まった「メタポ退治」の大キャンペーン。これで人権上、問題を起こす懸念はないのでしょうか?
考えるほどに不安が増幅します。
★ 近年、急増している糖尿病、高血圧症などの生活習慣病は、多くの場合、内臓脂肪の蓄積が原因、というので、この四月から「特定健康診査・特定保健指導」という新しい健康診断制度が発足しました。
★ 通称、”メタポ検診”という名で登場した新たな国の制度は、40歳から74歳の健康保険加入者を対象に行うもの。その実施責任は健保組合に義務づけられていて、「メタボ健診」の成績の如何によって健保組合に、恩恵と”ペナルティ”が付せられることになっています。
★ それは、今、最大の政治問題になっている「後期高齢者医療制度」と密接に関連していて、目標値をクリアした健保組合には後期高齢者の医療費への負担金が最大10%減。逆に達成できないと10%増というアメとムチが仕組まれているのです。
★ これなどは、直接的には目に見えない仕掛けなので、一人一人の実感に結びつかないのですが、ともかく、「メタボ健診」の受診を受けない対象者数に比例して”罰金”が課せられる仕組みです。事情が分かれば、「オマエのセイで負担が増えた」 ウラミの眼差しが一斉に肥満者に向けられるでしょう。
★ このような制度が”ペナルティ”付きで半強制的に行われるようになると、一番、心配になるのは、雇用主が肥満傾向にある人を雇わなくなる。下手をすると難癖つけて辞めさせる。陰湿ないじめの動きも出てくるのではないか?
そんな心配が広がるのも当然ですね。
★ ところで・・・国が問題にしている「肥満」とは、そもそも一体、何なのか? 基準そのものの設定が問題です。制度が問題にしているのは、「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群) 【群】というとらえ方で実にアイマイ。何が問題なのか? もう一つ、よく分からないのですが、定められている基準は・・・・
【ステップ1】・・・・腹囲とBMIをチェックし、診査結果が
◎ 腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上
◎ 腹囲が男性85cm未満、女性90cm未満で、かつBMIが25以上
このいずれかに該当すると保健指導の対象に認定。
ここでBMIというのは肥満度を計る計算値で
《体重[kg]÷(身長[m])2乗》
で算出されます。
たとえば、身長170センチ、体重70キロの男性なら、BMI=24.2。
【ステップ2】・・・・血糖・血圧など4項目検査で別にリスクを判定します
◆ 血糖…空腹時血糖100mg/dl以上、またはヘモグロビンA1cが5.2%以上、または薬剤治療を受けている場合
◆ 脂質…中性脂肪150mg/dl以上、または HDLコレステロール40mg/dl未満、または 薬剤治療中
◆ 血圧…収縮期血圧130mmHg以上、または 拡張期血圧85mmHg以上、または 薬剤治療中
◆ 質問票…喫煙歴あり(上記3つのリスクが1つ以上の場合にカウント)
【ステップ3】・・・・【ステップ1】【ステップ2】の結果をふまえて保健指導対象者を、その程度に応じて3グループに分けて認定します。★ 「太っている」という体型の特徴と、病的前駆症状の「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)と、こう簡単に結びつけていいものでしょうか? 昔から「ヤセの大食い」ということわざもあり、事実、それを実証する若い女性の大食漢もたくさんいます。
● 情報提供レベル…基本的な情報提供のみ
● 動機づけ支援レベル…医師などによる個別面接(最低20分以上)、または8人以下のグループ面接(最低80分以上)で、減量や運動など個別の行動目標を設定。原則1回
● 積極的支援レベル…「動機づけ支援」と同様の支援を行った後、継続的に3か月以上の支援
つまり、「動機づけ支援」と「積極的支援」の対象者は、生活習慣病の発症リスクが高いとみなされ、生活習慣を見直すための具体的支援が義務づけられる、というわけです。
一方、太っている家系ながら全員、健康な家族も同様に多いです。
★ 家族全員が、太っていても、やせていても、健康に過ごしている人は随分、います。 これなどは明らかに遺伝的体質の差違でしょう。この非常に重要なポイントは、全く無視されています。ただ、ハラ周りの長さだけで、善悪を分ける。こんな無茶な話、あっていいでしょうか?
★ 私たちが若い頃、食べ物がなく、みんながスリムだった頃、ふくよかな太めの女性は、清濁併せ飲む頼りがいのある肝っ玉かあさんの象徴でした。七福神のえべっさんがタイコ腹を突き出している掛け軸が、多くの家の床の間に飾ってあったように思います。”太っている”ことは、ちょっと愛嬌のある好もしいアイドル・・・それは豊かさの羨望を秘めたポジティブなイメージでもありました。そんな時代・・・みんな優しかったです。
★ こう申せば、今、還暦を迎えた人々には懐かしい女優がまぶたに浮かぶでしょう。京塚昌子さん。かっぽう着がよく似合う“お母さん女優で、今から40年ほど前に超人気テレビドラマ「肝っ玉かあさん」の主役で爆発的な人気を集めたものです。
★ この人を有無をいわさず、病気でもないのに診療所に連れ込んで、ハラ回りを計る。何という野蛮な行為か。その上、基準値を上回ると即座に「生活習慣病予備軍」のレッテル貼り。 とても科学的根拠があるとも思えない基準で、国家が、このような調子で国民の一人一人をここまで管理し、振り分けると、それが及ぼす社会的影響は必ず出てきます。
★ 肥満体はお断り。就職、結婚、さらには交遊関係にまで、新たな差別・偏見を生み出す懸念は大きいです。恐らく「メタポは自己責任」キャンペーンが早晩、始まるでしょう。そうなると、肥満の人は、「自己管理の出来ない」意志薄弱者にもされかねません。
★ かつて長寿は尊敬されました。太った体格は愛されました。それを「後期高齢者」「メタポ」とネガティブ烙印を押して医療費を食う「社会保険のお荷物」扱いし、制度改悪キャンペーンを始めた政府。一体、政治とは何か? どこで価値観が大転換したのか? オカネがすべての拝金主義・官僚政治の結果でしょう。人よりゼニカネ勘定が先ず大事、という次第。
★ 私自身は、ハラ周り79センチ。問題ありませんが、多くの友人たちの《肥満体》を思い浮かべると、心配になります。この制度は、非常に重要な人権問題を引き起こし兼ねない構造的欠陥を内包している、と懸念しています。
★ 悪影響は、もう広範に出ています。全国民に広がっているメタポ恐怖神経症。みんなが必要以上にピリピリしています。肥満恐怖で神経症の症状をみせる若い女性も多くなりました。だれが、こんな新種のピリピリ過敏症を生み出したのでしょう。
★ この過剰な”健康過敏症” いつから私たちは、それを病むようになったのでしょう。ちょっと冷静になって考えてみたいものですね。
***** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって *****
by zenmz
| 2008-05-21 00:00
| 健康・医療