2008年 10月 16日
【8205】 1000年の伝統守る秋祭り |
★ 吉備高原都市は、岡山県のまん真ん中、典型的な中山間・過疎地で人口流出が止まらず、限界集落・廃村を止めようと、国と岡山県が「21世紀モデル都市」にと松茸山を切り開いて造成した人工都市ですが、ここには平安時代から1000年、土地の人々が大切に守り継いできた村祭りが二つもあります。
★ その社殿が国指定重要文化財になっている「吉川八幡宮の当番祭」と、「加茂市場・総社宮の加茂大祭」ですが、共に岡山県指定の重要無形民族文化財に指定され、大切に保存の努力が続いています。
★ 毎年、私たちも参加しますが、いつも感動するのは、観光とは切り離された”神事”としてマジメに行われていること。これほどのお祭りが実に純朴に守られているとは! 本当に感動します。
★ 「加茂大祭」は、10月の第三日曜日に行われます。”寄宮祭”の別名があるように町内8カ所にある神社から加茂市場の”総社宮”に神々が神輿に乗って集われ、樹齢500年の杉、ヒノキに囲まれた神殿前広場で古式豊かな神事を繰り広げます。その様子は、昨年も私のブログでご紹介しました。 【伝統を守り続ける加茂大祭】
★ 今日は、もう一つのユニークなお祭り、「吉川八幡宮の当番祭」をご紹介しましょう。
こちらは、京都の石清水八幡宮の別宮として、平安時代中期に創建された国指定重要文化財です。実は、このお祭り、1ヶ月続く長丁場で、もう既に始まっています。
★ 「当番祭」とは「訪問する最初の祭り」という意味であり2社以上の八幡宮の氏子互いに訪問し合い、氏子の繁栄と豊穣を神に祈り同族の絆を深めるのです。祭りは氏子たちだけでひっそりと行われるので、通常は目につきません。先ず「当ざし」という神事があります。この地区の10歳前後の男の子を神社の南北から1人づつ選ばれた候補者の氏名を書き込んだ紙片を丸めて三宝にのせます。
★ そして宮司が祝詞を奏でながら御幣でつり上げ、”神人”当人を決めます。そして10月第3土曜日(ことしは18日)に「垢離(こり)とり」(心を清める)の神事の後、当番が神人になり、神の降臨をあおぐ「はくけ」という工作物を当番の家の庭に作り、古式にのっとった諸神事を行います。
★ それから1週間後、第4土曜日が宵祭、第4日曜日(ことしは26日)に吉川八幡宮で大祭が行われまる。着飾った馬に乗った”当番”様を中心とした行列が神社に参拝します。祭りのクライマックスは白装束姿二人の当番様による「走り競べ」 これも五穀豊穣を祈る重要な神事の一つです。
★ 大祭翌日には、ひっそりと「はくけあげ」の神事が行われ、神様をお見送りします。と、同時に”当番”様は俗人にかえり、祭りが終わります。
ことしは、誰が、”当番”様に撰ばれるのか? みんな、興味津々です。
【補遺】(10月15日正午、追記)
◎ それは、本当でした。翌年のお祭りで、それこそ魂を揺すぶられる感動的な場面に出会いました。祭りの最高潮になった時、突然、動きが止まり、笛・太鼓の音が消えました。全員の目が一点に向いています。
◎ その先を見ると、どこかのマスコミのカメラマンでしょう。社務所の屋根の上からカメラを向けていました。しばらく時間が止まり、ソレと気づいたカメラマンが屋根から降りました。 すると、何事もなかったかのように”神事”の舞が再開しました。
◎ これこそ、村人の”神事”の誠! 私は、町長さんの言葉と共に深い感動を覚えました。そして、それ以来、十数年、毎年、この祭りをこよなく愛してきました。
◎ しかし、この祭りが続くか、どうか? 観光業者が商品化する、しないの論議はともかく、8社の神殿にはこれを守る常駐神官はいません。旧来の村里の“出稼ぎ”世代が、この日に戻ってきて伝統を守っています。その人々も4,50代。もう風前の灯火です。
”神事”の誠を誰が引き継ぐのか? 観光業者の事業化で形だけ整えてもダメですね。
◎ そのこころが消えれば、神々もお隠れになればいい。私は、そう思っております。そして人々の心が呼び覚まされた時、またこの地の人々は神々をお迎えするでしょう。この土地の伝統は、そのようにして1000年を刻みました。
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** ご挨拶 ** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって
私がネット交友に寄せる想いをご理解賜りたくご一読をお願い申し上げます。
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★ その社殿が国指定重要文化財になっている「吉川八幡宮の当番祭」と、「加茂市場・総社宮の加茂大祭」ですが、共に岡山県指定の重要無形民族文化財に指定され、大切に保存の努力が続いています。
★ 毎年、私たちも参加しますが、いつも感動するのは、観光とは切り離された”神事”としてマジメに行われていること。これほどのお祭りが実に純朴に守られているとは! 本当に感動します。
★ 「加茂大祭」は、10月の第三日曜日に行われます。”寄宮祭”の別名があるように町内8カ所にある神社から加茂市場の”総社宮”に神々が神輿に乗って集われ、樹齢500年の杉、ヒノキに囲まれた神殿前広場で古式豊かな神事を繰り広げます。その様子は、昨年も私のブログでご紹介しました。 【伝統を守り続ける加茂大祭】
★ 今日は、もう一つのユニークなお祭り、「吉川八幡宮の当番祭」をご紹介しましょう。
こちらは、京都の石清水八幡宮の別宮として、平安時代中期に創建された国指定重要文化財です。実は、このお祭り、1ヶ月続く長丁場で、もう既に始まっています。
★ 「当番祭」とは「訪問する最初の祭り」という意味であり2社以上の八幡宮の氏子互いに訪問し合い、氏子の繁栄と豊穣を神に祈り同族の絆を深めるのです。祭りは氏子たちだけでひっそりと行われるので、通常は目につきません。先ず「当ざし」という神事があります。この地区の10歳前後の男の子を神社の南北から1人づつ選ばれた候補者の氏名を書き込んだ紙片を丸めて三宝にのせます。
★ そして宮司が祝詞を奏でながら御幣でつり上げ、”神人”当人を決めます。そして10月第3土曜日(ことしは18日)に「垢離(こり)とり」(心を清める)の神事の後、当番が神人になり、神の降臨をあおぐ「はくけ」という工作物を当番の家の庭に作り、古式にのっとった諸神事を行います。
★ それから1週間後、第4土曜日が宵祭、第4日曜日(ことしは26日)に吉川八幡宮で大祭が行われまる。着飾った馬に乗った”当番”様を中心とした行列が神社に参拝します。祭りのクライマックスは白装束姿二人の当番様による「走り競べ」 これも五穀豊穣を祈る重要な神事の一つです。
★ 大祭翌日には、ひっそりと「はくけあげ」の神事が行われ、神様をお見送りします。と、同時に”当番”様は俗人にかえり、祭りが終わります。
ことしは、誰が、”当番”様に撰ばれるのか? みんな、興味津々です。
【補遺】(10月15日正午、追記)
これら二つの祭りについて私の感慨を次のように記しました。◎ もう20年近くも前のことですが、始めて加茂大祭に参加した時、当時の町長に「これはすばらしい。是非、桟敷を作って全国に宣伝しては?」と提言しました。その時、町長は毅然としておっしゃったものです。「これは、神事でございますから・・・」
《いつも感動するのは、観光とは切り離された”神事”としてマジメに行われていること。これほどのお祭りが実に純朴に守られているとは! 本当に感動します》
このことについて
「ケチを付けるわけではありませんが、今後も今の姿を保てるか疑問ですね。一度、NHKの大河ドラマの舞台になったりしたらたちまち大勢の観光客が押し寄せますから・・」
と、ややシニカルなコメントをいただきました。
この中国山脈の奥まって寒村の祭りに観光業者が商売の目を向けるか、どうか? それには私は全く関心がありません。そのことよりも、何故、私がこの祭りを愛し、皆様にご参加をお薦めするのか?
それを明確にするため、私自身が感動したことを追記しておきます。
◎ それは、本当でした。翌年のお祭りで、それこそ魂を揺すぶられる感動的な場面に出会いました。祭りの最高潮になった時、突然、動きが止まり、笛・太鼓の音が消えました。全員の目が一点に向いています。
◎ その先を見ると、どこかのマスコミのカメラマンでしょう。社務所の屋根の上からカメラを向けていました。しばらく時間が止まり、ソレと気づいたカメラマンが屋根から降りました。 すると、何事もなかったかのように”神事”の舞が再開しました。
◎ これこそ、村人の”神事”の誠! 私は、町長さんの言葉と共に深い感動を覚えました。そして、それ以来、十数年、毎年、この祭りをこよなく愛してきました。
◎ しかし、この祭りが続くか、どうか? 観光業者が商品化する、しないの論議はともかく、8社の神殿にはこれを守る常駐神官はいません。旧来の村里の“出稼ぎ”世代が、この日に戻ってきて伝統を守っています。その人々も4,50代。もう風前の灯火です。
”神事”の誠を誰が引き継ぐのか? 観光業者の事業化で形だけ整えてもダメですね。
◎ そのこころが消えれば、神々もお隠れになればいい。私は、そう思っております。そして人々の心が呼び覚まされた時、またこの地の人々は神々をお迎えするでしょう。この土地の伝統は、そのようにして1000年を刻みました。
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** ご挨拶 ** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって
私がネット交友に寄せる想いをご理解賜りたくご一読をお願い申し上げます。
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by zenmz
| 2008-10-16 08:40
| 吉備高原ライフ