2008年 12月 24日
【8274】 私の挽歌・・・還っておいで、愛しのメリッサ! |
★ 今夜はクリスマス・イヴ。私は、今夜の晩餐に一人のアメリカ娘が欠けていることにとりわけ寂しい想いがしています。メリッサ・ナバス。その名が示す通り、スペイン系アメリカ人。2年ほど前、我が町の小・中学校のALT(外国語指導助手)として赴任して来ました。
★ 私も見上げるほどのとびっきり大柄の女性。明るい子ども好きで、たちまち町中の人気者になりました。日本大好き。お茶、お花、ビリー、剣道・・・何でも首を突っ込んでたちまち村人と仲良くなりました。ウチの娘と大の仲良しで、拙宅にもよく遊びに来ていました。
★ 昨年のちょうど、この日。クリスマス・イヴでした。一緒に夕食にと招いたら、日本語を本格的に学びたい、教えて欲しい、と言いました。 Do you really mean it?
「 本気か? 本気なら教える」
「本気です」
「本気なら約束を誠実に実行しなさい。毎日、日本語で日記を書くこと」
★ 「いいかね。あなたは外国人に英語を教える専門家。外国語をどのように学ぶのか? それは、私よりよく分かっているはず。だから、どう学ぶかは教える必要はない。自分で学んだコトバで日記を書いて見せて下さい。それを直してあげます」
★ そして、400字詰め縦書き升目原稿用紙の束と小学生用のカタカナ・ひらがな・漢字の筆順ノートを渡しました。
「筆順が大事。外国人は日本語の漢字を画を写すように書くがこれが一番、いけない。筆順をキチンと学びなさい。オバアチャンは書道の先生。筆順はオバアチャンが教えます」
★ お茶やお花、それに剣道の時間の調整・・・”本気”ならいい加減はいけない。絶対に休んではならぬ、との私の厳命で、メいっぱいの習い事整理をして、1ヶ月後の今年2月から「毎週水曜日午後8時から深夜まで」 老夫婦の特訓が開始しました。
★ 最初の3回は、要領が分からなかったセイもあって、期待通りの日記は提出されませんでした。それが3回目に「これ、いいですか?」 見てビックリ。
「今日は質問、あります。 「よくがよく分かりません」
★ 言わば、コトバのアヤとでも言うような次元のニュアンスも含んだかなり高度な質問です。日本語を本当に学んで見たい、と”本気”になったのは、未だ半年前のこと。それが週1回の勉強で、ここまで上達するものか? 私は、本当にビックリしました。
★ メリッサは、家族思いの優しい娘でした。七月いっぱいは契約の関係で離日出来ません。ならば、その間に、と、両親、弟の3人を日本に招待し、日光や東京・京都・奈良・広島を見物させて一緒に帰国・・・と夢いっぱいの計画を立てました。
★ 入院中の妹も「みんな行っておいで。私は大丈夫」と大賛成で計画はどんどん進みました。私たちも応援し、岡山では我が家を起点に行動する日程も練り上げました。
やがて家族が東京に到着。メリッサも合流して日光へ・・・着いた途端に悲報がはいりました。 妹が急変し危篤の連絡です。
★ 家族はそのまま東京に向かい、その夜の夜行便で帰国。メリッサは一旦、岡山へ来て、徹夜で身辺整理して早朝、成田に向かって旅立ちました。娘が付き添い協力しましたが、遂に、「時間がありません。電話で・・・」とサヨウナラ。本当にあっけない別れとなりました。
★ やがて、メールが届きました。
「間に合った。けれど・・・妹は亡くなりました」
★ 何という運命のいたずらでしょう。ただ人を喜ばせることに心を砕いた優しいメリッサ。昨年も、寂しかろう、と、岡山県内各地に散らばったALT仲間を、私の家に連れてきました。「私は、どこにいても、日本語で仕事が出来るようになりたいです。勉強は続けます」 私に寄せられた最後のメッセージでした。
★ 今年のクリスマス。私たち夫婦は、特別の想いを込めて祈ります。この25歳の心優しいメリッサに神の豊かなご恩寵が降りそそり、暖かくお包み下さることを・・・・。
【我が心の奥深く刻み込んだ最後の想い出です 動画 再生時間:01分26秒】
Melissa, my dearest;.
A Merry Chistmas to you. Hope this would guide you to come back to
Japan. Just remember, here at your distant home in Okayama, the
grand parents are looking forward to seeing the homecoming of their
beloved one
==== いただいたコメント ====
【お断り】 私は、キリスト教を尊敬しますが、クリスチャンではありません。特定宗教に属してもいません。森羅万象に精霊を認めるアニミズムに心寄せる人間です。
キリスト教徒ではございませんのでお間違いのないようご理解をお願いいたします。
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** ご挨拶 ** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって
私のネット生活に寄せる想いです。ご理解賜りたくご一読をお願い申し上げます。
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★ 私も見上げるほどのとびっきり大柄の女性。明るい子ども好きで、たちまち町中の人気者になりました。日本大好き。お茶、お花、ビリー、剣道・・・何でも首を突っ込んでたちまち村人と仲良くなりました。ウチの娘と大の仲良しで、拙宅にもよく遊びに来ていました。
★ 昨年のちょうど、この日。クリスマス・イヴでした。一緒に夕食にと招いたら、日本語を本格的に学びたい、教えて欲しい、と言いました。 Do you really mean it?
「 本気か? 本気なら教える」
「本気です」
「本気なら約束を誠実に実行しなさい。毎日、日本語で日記を書くこと」
★ 「いいかね。あなたは外国人に英語を教える専門家。外国語をどのように学ぶのか? それは、私よりよく分かっているはず。だから、どう学ぶかは教える必要はない。自分で学んだコトバで日記を書いて見せて下さい。それを直してあげます」
★ そして、400字詰め縦書き升目原稿用紙の束と小学生用のカタカナ・ひらがな・漢字の筆順ノートを渡しました。
「筆順が大事。外国人は日本語の漢字を画を写すように書くがこれが一番、いけない。筆順をキチンと学びなさい。オバアチャンは書道の先生。筆順はオバアチャンが教えます」
★ お茶やお花、それに剣道の時間の調整・・・”本気”ならいい加減はいけない。絶対に休んではならぬ、との私の厳命で、メいっぱいの習い事整理をして、1ヶ月後の今年2月から「毎週水曜日午後8時から深夜まで」 老夫婦の特訓が開始しました。
★ 最初の3回は、要領が分からなかったセイもあって、期待通りの日記は提出されませんでした。それが3回目に「これ、いいですか?」 見てビックリ。
今日は二月二十一日です。★ それからというもの。毎週、辞書を引いて漢字を探し、漢字、かな文字まじりの文章を書いて来るようになりました。週を追うごとに、どんどん漢字が増えて、副詞、形容詞の使い分けも上手になり始めた5月のこと。
いい天気です。 でも、とても さむいです。
コートと ぼうしと てぶくろが ひつようです。
今日の にっきは わたしの にっかに ついて かきます。
わたしは げつようびに しょうがっこうに いきます。
かようびには かもがわ ちゅうがっこうに いきます。
その よる 七じはんに けんどうをします。
すいようびには かもがわ ちゅうがっこうに いきます。
その よる 六じに いけばなを します。それから
八じに ぜにもと さんの うちで にほんごを べんきょうします。
もくようびは よしかわ ちゅうがっこうに いきます。
きんようびは しょうがっこうに いきます。
その よる 九じに ビリーの れんしゅうに いきます。
どようびと にちようびは りょこうする ことに しています。
「今日は質問、あります。 「よくがよく分かりません」
★ 言わば、コトバのアヤとでも言うような次元のニュアンスも含んだかなり高度な質問です。日本語を本当に学んで見たい、と”本気”になったのは、未だ半年前のこと。それが週1回の勉強で、ここまで上達するものか? 私は、本当にビックリしました。
二○○八年七月二日 天気は雨★ 特訓を始めて5ヶ月。20回目のレッスンに提出された、この日記が最後になりました。骨ガンを患っていた妹さんの容態が悪くなり、急遽、看病のため帰国することになったのです。
雨で、ちょっと肌寒い感じ。日本の梅雨はきらいです。
今日は、わたしの週末について書きます。
土曜日に友だちと大阪に行きました。
わたしたちは、マリちゃんの個展で、やきものを見ました。とても美しかったです。わたしの友だちと、マリちゃんの友だちは英語ではなしました。マリちゃんの友だちの英語がとてもうまくて、わたしも、友だちも、おどろきました。 この人は、英語と、日本語と、スペイン語の三つのことばができます。この人の主人はスペイン人です。スペインのバルセロナからきました。
それから、友だちと、なんばに行ってイタリアのレストランでばんごはんをたべて、スーパーワールドに行きました。スーパーワールドで温泉にはいってプリクラをしました。
温泉はよかったです。アメリカには温泉がありません。
わたしは八月にアメリカにかえりますが、温泉をわすれません。
プリクラはたのしかったです。プリクラは小さいしゃしんです。
プリクラをしてから、わたしたちはちかてつで新大阪のホテルに行きました。
★ メリッサは、家族思いの優しい娘でした。七月いっぱいは契約の関係で離日出来ません。ならば、その間に、と、両親、弟の3人を日本に招待し、日光や東京・京都・奈良・広島を見物させて一緒に帰国・・・と夢いっぱいの計画を立てました。
★ 入院中の妹も「みんな行っておいで。私は大丈夫」と大賛成で計画はどんどん進みました。私たちも応援し、岡山では我が家を起点に行動する日程も練り上げました。
やがて家族が東京に到着。メリッサも合流して日光へ・・・着いた途端に悲報がはいりました。 妹が急変し危篤の連絡です。
★ 家族はそのまま東京に向かい、その夜の夜行便で帰国。メリッサは一旦、岡山へ来て、徹夜で身辺整理して早朝、成田に向かって旅立ちました。娘が付き添い協力しましたが、遂に、「時間がありません。電話で・・・」とサヨウナラ。本当にあっけない別れとなりました。
★ やがて、メールが届きました。
「間に合った。けれど・・・妹は亡くなりました」
★ 何という運命のいたずらでしょう。ただ人を喜ばせることに心を砕いた優しいメリッサ。昨年も、寂しかろう、と、岡山県内各地に散らばったALT仲間を、私の家に連れてきました。「私は、どこにいても、日本語で仕事が出来るようになりたいです。勉強は続けます」 私に寄せられた最後のメッセージでした。
★ 今年のクリスマス。私たち夫婦は、特別の想いを込めて祈ります。この25歳の心優しいメリッサに神の豊かなご恩寵が降りそそり、暖かくお包み下さることを・・・・。
【我が心の奥深く刻み込んだ最後の想い出です 動画 再生時間:01分26秒】
Melissa, my dearest;.
A Merry Chistmas to you. Hope this would guide you to come back to
Japan. Just remember, here at your distant home in Okayama, the
grand parents are looking forward to seeing the homecoming of their
beloved one
==== いただいたコメント ====
【お断り】 私は、キリスト教を尊敬しますが、クリスチャンではありません。特定宗教に属してもいません。森羅万象に精霊を認めるアニミズムに心寄せる人間です。
キリスト教徒ではございませんのでお間違いのないようご理解をお願いいたします。
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** ご挨拶 ** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって
私のネット生活に寄せる想いです。ご理解賜りたくご一読をお願い申し上げます。
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by zenmz
| 2008-12-24 00:00
| 一期一会