2006年 09月 04日
【6236】 エコ・エネルギーの受難 |
★ 1日午後から島根県出雲へ2泊3日の旅をしました。素戔嗚尊(すさのおのみこと)ゆかりの佐田町に次男一家が住んでおり、高2の孫が薙刀(なぎなた)をやっており、県大会に出る、と言うので応援に行ったのです。結果は、「高校男子」で見事、優勝。ジイは、最初から最後まで勝ち抜き戦をすべてビデオに収めるのに忙しく、終わった時には5指がケイレンし、本人よりグッタリしました。
★ 薙刀(なぎなた)と言えば、女子の武道とばかり思い込んでいましたが、男子もやっているのですね。初めて知りました。孫は中学では剣道をやっていましたが、高校に入って薙刀(なぎなた)に転向し、昨年秋の全国高校大会では準優勝しました。6尺の棒に1尺の竹刀をつけた長刀で戦うのは実に勇壮です。防御の棒さばきの速さには目がついていきません。ビックリしました。
★ 夕方、家に戻るなり、次男が
「それでは、参りましょうか?」
と誘いました。
ここに来ると、必ず出かける”夕食のオカズ釣り” 自宅のすぐそばにトンネルが開通し、日本海の名所、多伎海岸にわずか10分で行けるようになっていました。日本海を一望でき、砂浜が延々と伸びて出雲大社に達します。これからはキスのシーズン。
この日も、キスが入れ食いの状態でした。
★ そこで釣り方を変えました。親子二人の共同作業による「起重機釣り」
私が竿を持って起重機が動くように海と陸を90度動かす、息子は、獲物を外しては餌を付け直す。ロボットのように規則正しく、動かすだけで、2本の釣り針には確実に2匹のキスがぶら下がって来ます。未だちょっと小振りですが、大きいものよりこちらが抜群に美味です。1時間で大漁。早速、天ぷらにして満喫しました。出雲へ来ると、楽しみな多伎海岸。本当にいい所です。
★ 多伎海岸はいつも強い風が吹いています。この風を利用して風力発電の風車が2基あります。観光スポットの”道の駅”「キララ多伎」名物の一つにもなっており、学習館も併置されていて、見学者によって色々な体験学習が準備されています。クリーン・エネルギーの優等生として、地元では、日本海の風の恵みを利用して、一気に風力発電増設の機運が高まっていました。
★ 釣りをしながら
「風力発電の話、進んでる?」
と尋ねましたら、意外や意外。
「完全ストップ。今は、賛否両論の激突で県知事までが調停に乗り出す大騒動」になっている」
そうです。
「なんで・・?? この土地に似合ったいい話と思うけど??」
夕食に釣った獲物のキスの天ぷらを楽しみながら、詳しい話を聞きますと・・・・
エコ・エネルギーより大切な景観???
★ 今は出雲市に合併していますが、旧多伎町がこの自然の風に目をつけ、風力発電を始めたのは2003年11月のこと。約5億円をかけて毎時35キロワットの発電能力を持つ風車を2基、管理棟と学習館の建物の屋根には5キロワット時の太陽光発電パネルも設置して、風力や太陽光などの自然エネルギーを町民や小・中学生、高校生に啓蒙する事業を開始しました。
★ 学習館には、この他にも樹木や芝生の散水に利用する2リットルのペットボトル7千本分の雨水を蓄えられる「雨水貯留槽」や、風の力で新鮮な外気を取り込んで空調に生かす「風の道」、太陽集熱器で水道水を温めて利用する設備など、風と太陽と自然の恵みを生かす様々な工夫がなされ、正にこれからの”エコ・エネルギー”を先取りしたユニークな事業として全国の注目を集めました。
★ 折から”平成の大合併”で、出雲周辺の平田市、佐田町、多伎町、湖陵町、大社町の1市4町は、昨年(平成17年)3月22日からに広域拡大の『出雲市』に併合され、これを機に「国内最大級の風力発電を目玉に」との機運が一気に高まりました。早速、関西電力が出資して現地法人が設立され、島根半島に風車26基(総出力7万8千キロ時)の建設計画を発表。地域活性化につながると、出雲市も全面協力で実現化に向けて進んだところで、思わぬ「待った」が松江市からかかりました。
★ 観光資源の「宍道湖の夕日」の景観が損なわれる、と言うのです。
これにあわせるかのように考古学者が「予定地は、神話の国遺跡。開発は慎重に」
野鳥の会など自然保護団体も「野鳥が風車にぶつかって死ぬ(バード・ストライク)環境問題に留意を」
と、それぞれ、反対を表明。澄田県知事も、県景観条例を持ち出して
「夕日スポットから風車が見えないように」
とダメ押しする騒ぎになっているのだそうです。
★ さらに、これまで隠れていた”苦情”や”批判”がドッと表に出て来るようになりました。
例えば、
「実は・・・・あの風車が出来てから、頭痛がするようになった。頭の重さが気になって仕方がない。医者に言ったら低周波音傷害と言われた。健康破壊を起こす新たな公害ではないか?」
と、”堪忍袋の緒が切れた”ような話も出て来たとか。
★ こんな話を聞くと、大きくため息をついてしまします。
クリーンなエコ・エネルギー確保に情熱をたぎらせる地元の強い要望を含めて、出雲市が時代の先取りをしよう、と、推進姿勢を見せた。私などは、実に優れた行政感覚と拍手したいのですが、お隣の松江市は
「宍道湖の夕日が損なわれ、観光資源が毀損する」
と言う。
呼び込んだ観光の車が2酸化炭素をまき散らし、沿道住民の健康を害し、樹木が枯れる、ことは、問題にもしない、口に出さないのですね。おカネ落とすから。
★ 松江市の言い分・・・何か変です。
ともかく計画の全面撤回を求めるのは現実性がない。多分、事業推進に落ちるカネで潤うのは出雲市ばかり、ヤッカミ半分の言いがかり、とも思えますね。
もし、これが、新港湾建設、空港建設の話だったらどうでしょう。それこそ景観も、騒音も、野鳥の「バード・ストライク」も、潮流変化の環境も・・・すべてに目を瞑って、公共事業サマサマの笑顔誘致に邁進するのではないでしょうか?
★ クリーンなエコ・エネルギー確保・・・
これから、絶対に必要な開拓分野だと思います。化石燃料はもう限界。風力、太陽エネルギー利用は、当面、近未来を思う時、もっとも可能性を秘めた代替エネルギー源です。ともかく、反対の風車の配置や規模を調整することで景観への影響を最小限にとどめる。そこに向けて合意形成を図っていただき、是非、計画を進めてほしいと願います。
★ それにつけても、しみじみ思うこと。時には、ちょっと、旅をしてみるのもいいですね。クリーンなエネルギーか、自然景観か? 今を生きる人間の選択に、何が決め手になるのか? 悲しいかな、我利、我利の小異の乱立、とにかく我が身の損得から一言、もの申す、この風潮。民主主義とは本当にカネと手間のかかるものですね。
★ 薙刀(なぎなた)と言えば、女子の武道とばかり思い込んでいましたが、男子もやっているのですね。初めて知りました。孫は中学では剣道をやっていましたが、高校に入って薙刀(なぎなた)に転向し、昨年秋の全国高校大会では準優勝しました。6尺の棒に1尺の竹刀をつけた長刀で戦うのは実に勇壮です。防御の棒さばきの速さには目がついていきません。ビックリしました。
★ 夕方、家に戻るなり、次男が
「それでは、参りましょうか?」
と誘いました。
ここに来ると、必ず出かける”夕食のオカズ釣り” 自宅のすぐそばにトンネルが開通し、日本海の名所、多伎海岸にわずか10分で行けるようになっていました。日本海を一望でき、砂浜が延々と伸びて出雲大社に達します。これからはキスのシーズン。
この日も、キスが入れ食いの状態でした。
★ そこで釣り方を変えました。親子二人の共同作業による「起重機釣り」
私が竿を持って起重機が動くように海と陸を90度動かす、息子は、獲物を外しては餌を付け直す。ロボットのように規則正しく、動かすだけで、2本の釣り針には確実に2匹のキスがぶら下がって来ます。未だちょっと小振りですが、大きいものよりこちらが抜群に美味です。1時間で大漁。早速、天ぷらにして満喫しました。出雲へ来ると、楽しみな多伎海岸。本当にいい所です。
★ 多伎海岸はいつも強い風が吹いています。この風を利用して風力発電の風車が2基あります。観光スポットの”道の駅”「キララ多伎」名物の一つにもなっており、学習館も併置されていて、見学者によって色々な体験学習が準備されています。クリーン・エネルギーの優等生として、地元では、日本海の風の恵みを利用して、一気に風力発電増設の機運が高まっていました。
★ 釣りをしながら
「風力発電の話、進んでる?」
と尋ねましたら、意外や意外。
「完全ストップ。今は、賛否両論の激突で県知事までが調停に乗り出す大騒動」になっている」
そうです。
「なんで・・?? この土地に似合ったいい話と思うけど??」
夕食に釣った獲物のキスの天ぷらを楽しみながら、詳しい話を聞きますと・・・・
エコ・エネルギーより大切な景観???
★ 今は出雲市に合併していますが、旧多伎町がこの自然の風に目をつけ、風力発電を始めたのは2003年11月のこと。約5億円をかけて毎時35キロワットの発電能力を持つ風車を2基、管理棟と学習館の建物の屋根には5キロワット時の太陽光発電パネルも設置して、風力や太陽光などの自然エネルギーを町民や小・中学生、高校生に啓蒙する事業を開始しました。
★ 学習館には、この他にも樹木や芝生の散水に利用する2リットルのペットボトル7千本分の雨水を蓄えられる「雨水貯留槽」や、風の力で新鮮な外気を取り込んで空調に生かす「風の道」、太陽集熱器で水道水を温めて利用する設備など、風と太陽と自然の恵みを生かす様々な工夫がなされ、正にこれからの”エコ・エネルギー”を先取りしたユニークな事業として全国の注目を集めました。
★ 折から”平成の大合併”で、出雲周辺の平田市、佐田町、多伎町、湖陵町、大社町の1市4町は、昨年(平成17年)3月22日からに広域拡大の『出雲市』に併合され、これを機に「国内最大級の風力発電を目玉に」との機運が一気に高まりました。早速、関西電力が出資して現地法人が設立され、島根半島に風車26基(総出力7万8千キロ時)の建設計画を発表。地域活性化につながると、出雲市も全面協力で実現化に向けて進んだところで、思わぬ「待った」が松江市からかかりました。
★ 観光資源の「宍道湖の夕日」の景観が損なわれる、と言うのです。
これにあわせるかのように考古学者が「予定地は、神話の国遺跡。開発は慎重に」
野鳥の会など自然保護団体も「野鳥が風車にぶつかって死ぬ(バード・ストライク)環境問題に留意を」
と、それぞれ、反対を表明。澄田県知事も、県景観条例を持ち出して
「夕日スポットから風車が見えないように」
とダメ押しする騒ぎになっているのだそうです。
★ さらに、これまで隠れていた”苦情”や”批判”がドッと表に出て来るようになりました。
例えば、
「実は・・・・あの風車が出来てから、頭痛がするようになった。頭の重さが気になって仕方がない。医者に言ったら低周波音傷害と言われた。健康破壊を起こす新たな公害ではないか?」
と、”堪忍袋の緒が切れた”ような話も出て来たとか。
★ こんな話を聞くと、大きくため息をついてしまします。
クリーンなエコ・エネルギー確保に情熱をたぎらせる地元の強い要望を含めて、出雲市が時代の先取りをしよう、と、推進姿勢を見せた。私などは、実に優れた行政感覚と拍手したいのですが、お隣の松江市は
「宍道湖の夕日が損なわれ、観光資源が毀損する」
と言う。
呼び込んだ観光の車が2酸化炭素をまき散らし、沿道住民の健康を害し、樹木が枯れる、ことは、問題にもしない、口に出さないのですね。おカネ落とすから。
★ 松江市の言い分・・・何か変です。
ともかく計画の全面撤回を求めるのは現実性がない。多分、事業推進に落ちるカネで潤うのは出雲市ばかり、ヤッカミ半分の言いがかり、とも思えますね。
もし、これが、新港湾建設、空港建設の話だったらどうでしょう。それこそ景観も、騒音も、野鳥の「バード・ストライク」も、潮流変化の環境も・・・すべてに目を瞑って、公共事業サマサマの笑顔誘致に邁進するのではないでしょうか?
★ クリーンなエコ・エネルギー確保・・・
これから、絶対に必要な開拓分野だと思います。化石燃料はもう限界。風力、太陽エネルギー利用は、当面、近未来を思う時、もっとも可能性を秘めた代替エネルギー源です。ともかく、反対の風車の配置や規模を調整することで景観への影響を最小限にとどめる。そこに向けて合意形成を図っていただき、是非、計画を進めてほしいと願います。
★ それにつけても、しみじみ思うこと。時には、ちょっと、旅をしてみるのもいいですね。クリーンなエネルギーか、自然景観か? 今を生きる人間の選択に、何が決め手になるのか? 悲しいかな、我利、我利の小異の乱立、とにかく我が身の損得から一言、もの申す、この風潮。民主主義とは本当にカネと手間のかかるものですね。
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by zenmz
| 2006-09-04 11:46
| 現代社会論
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