2006年 09月 11日
【6244】 忘れてならぬ教訓 【歴史との対話】(11) |
★ 【9・11】(ナイン・イレブン) 歴史と向かい合うにはあまりにも近すぎる出来事です。でも、この事件が世界を新たな大戦争に巻き込みました。今日の英語新聞は、一斉に【Events of September 11】や【September Eleven Terror Attacks】などの見出しをつけた追悼記事を掲げています。
★ イスラーム過激派によってハイジャックされた4機の大型ジェット旅客機が、アメリカ国内の複数の地上施設めがけ意図的に激突し、甚大な被害を及ぼしたテロ事件。これまで名前が確認されている犠牲者は2973人とか。内訳は4機の旅客機の乗員・乗客が246人、アメリカ国防省で125人。世界貿易センタービルで2602人と言われます。
★ 今日の日本は新聞休刊日。ネット版を開くと、「ブッシュ米大統領夫妻は米同時多発テロ5周年前日の10日、ニューヨークに入りして、テロで倒壊した世界貿易センター跡地で献花し、詰めかけた記者団に『あの日の教訓を決して忘れないと誓った。同じような被害を引き起こそうとしている敵がまだいる』と語った、と伝えています。
★ 実は、私は、今日は、このことに触れた日記は書かないつもりでした。でも、このブッシュ大統領の「決して忘れない」と言う言葉に引っかかり、忘れてはならない”教訓”に注文をつけたくなりました。それを綴っておきます。ブッシュ大統領はホワイトハウスに戻った後の11日夜、国民に呼びかけるテレビ演説をするそうですから、決して忘れない”教訓”の意味も強調されることでしょう。また、明日の新聞で拝見します。
★ ともかく、私にとっては、【9・11】(ナイン・イレブン) は犠牲者に対する心からの追悼の日です。それしかない。それは、【8・6】(広島原爆記念日) 【8・9】(長崎原爆記念日)に向ける慰霊と同じ気持ちを捧げるものです。私は、さらにこれらの日にはアウシュビッツ110万人ユダヤ人大虐殺を想います。いずれも狂信イデオロギーが引き起こした憎悪の仕業。
★ これらは、如何に無定見な憎悪であったか。いずれも狂信が奉戴する正義の行動として、【9・11】では過激派は同じイスラームの同胞も見境なく殺し、【8・6】では従軍牧師の祝福を受けてテニアン基地を飛び立った米爆撃機は、原爆で多数の非戦闘市民を虐殺し、自らの同胞・米兵捕虜達をも犠牲にしました。ゲルマン純血主義の狂信はユダヤ民族殲滅行動まで引き起こしました。
★ 何の落ち度もないのに犠牲となった人々を前に、何よりも先ず、私たちが決して忘れてはならない教訓は、われわれすべての人間は、時として野獣以上に残酷な衝動に動かされる魔性を持っていることの自覚でありましょう。最も恐ろしいのは、その魔性に火をつけ回す宗教的、政治的イデオロギーの宣伝です。疑心暗鬼が油を注ぎ回り、狂信的指導者がアジテーションで火を点け回ります。そして人々は、憎悪の塊となって理性を失った行動を起こします。その結果として、無辜の市民が大量虐殺された。
★ 【9・11】以来、世界はガラリと変わりました。ブッシュ大統領のアジテーションで変わったのです。
★ アメリカは直ちに、これは新しい戦争である、と規定し、徹底的にテロと戦うことを世界に宣言しました。国連は時を置かずにテロ非難決議を採択。北大西洋条約機構 (NATO)やロシアも、これに合わせて「国際社会が結束してテロと戦うべき」という共同声明を出し、日本やサウジアラビア、インドなどのアジア諸国もアメリカ合衆国を支持しました。
★ テロの当面の敵はアルカイダのはずでした。その巣窟とされたアフガニスタン(=ターリバーン政権)攻撃には、国際世論も理解を示しました。ところが、ブッシュ大統領は、イラク、イラン、北朝鮮の3国を国際テロ組織とテロ支援国と断じ、「悪の枢軸」として「予防的な措置と時には先制攻撃が必要」との国家戦略を打ち出します。
★ そして大量破壊兵器を隠し持っているという疑惑を理由に、イラクに侵攻。ついに武力でフセイン体制を打ち倒しました。開戦に当たっては、同盟諸国に恫喝的なメッセージを送りました。「参戦か、傍観か?」 日本政府にも申し渡しました「旗幟を鮮明に・・」 そして自衛隊が憲法を冒す危険を承知で”海外派兵”に踏み切りました。正に世界を巻き込んでの戦闘開始。アメリカは元より、参戦諸国に多くの犠牲者を出しました。
★ しかし、制圧後、国連機関がイラクを徹底的に調査した結果、核兵器はもとより、「ある」とされた化学・生物兵器などひとつも見つかりませんでした。そしてアメリカが消滅させた国家権力は再建できぬまま、内戦状態が今も続いてイラク国民を苦しめています。
★ 中近東の新たな政治的危機は明らかにアメリカの不当なイラクへの内政干渉によって引き起こされたものでした。責任追及の声が高まる中、開き直ったブッシュ大統領の有名な言葉があります。英国の高級紙『ガーディアン』が去る昨年10月7日付紙面で、
【ブッシュ氏がパレスチナ自治政府の要人との会談で、「ジョージ、イラクの圧政と戦え、と神は告げた。私はそうした」と言った】
と大きく報道。さらに同様趣旨のテレビ・ドキュメンタリー番組を英国営放送BBCが流したので、国際的に大騒ぎになりました。
★ 当時、私も、この発言について、コメントを綴ったことがあります。とにかく世界の指導者を唖然とさせた失態でした。しかし、ブッシュ大統領は、強硬路線を更に強めます。新たに「愛国者法(反テロ法)」を制定し、イスラーム系市民のプライバシーを大幅に制限する公安活動を強めています。空港では“テロリスト関係者、またはそれらと少しでも接触のあった外国人”と見なされると、令状抜きで不法に連行・収監される、”事件”が続出しています。
★ アメリカの新聞には、最近、CIA・FBIによる自白目的の拷問が日常的
に行われている事実が次々と明るみに出て、警察国家化するアメリカに大きな懸念を抱き始めた市民団体から反発の声が高まって来ています。しかし、反発の声が上がれば上がるほど、規制強化を求める声も高まり、今や、アメリカは国論が真っ二つに割れて、人々の疑心暗鬼を更に深めている、と言われます。
★ ブッシュ大統領が、昨夜、記者団に語った、と伝えられる『あの日の教訓を決して忘れないと誓った』という、”教訓”とは何でありましょう。
疑心暗鬼が如何に重大な間違いを起こすか。今こそ、その教訓を活かして下さい。
私は、そう言いたいです。
★ イスラーム過激派によってハイジャックされた4機の大型ジェット旅客機が、アメリカ国内の複数の地上施設めがけ意図的に激突し、甚大な被害を及ぼしたテロ事件。これまで名前が確認されている犠牲者は2973人とか。内訳は4機の旅客機の乗員・乗客が246人、アメリカ国防省で125人。世界貿易センタービルで2602人と言われます。
★ 今日の日本は新聞休刊日。ネット版を開くと、「ブッシュ米大統領夫妻は米同時多発テロ5周年前日の10日、ニューヨークに入りして、テロで倒壊した世界貿易センター跡地で献花し、詰めかけた記者団に『あの日の教訓を決して忘れないと誓った。同じような被害を引き起こそうとしている敵がまだいる』と語った、と伝えています。
★ 実は、私は、今日は、このことに触れた日記は書かないつもりでした。でも、このブッシュ大統領の「決して忘れない」と言う言葉に引っかかり、忘れてはならない”教訓”に注文をつけたくなりました。それを綴っておきます。ブッシュ大統領はホワイトハウスに戻った後の11日夜、国民に呼びかけるテレビ演説をするそうですから、決して忘れない”教訓”の意味も強調されることでしょう。また、明日の新聞で拝見します。
★ ともかく、私にとっては、【9・11】(ナイン・イレブン) は犠牲者に対する心からの追悼の日です。それしかない。それは、【8・6】(広島原爆記念日) 【8・9】(長崎原爆記念日)に向ける慰霊と同じ気持ちを捧げるものです。私は、さらにこれらの日にはアウシュビッツ110万人ユダヤ人大虐殺を想います。いずれも狂信イデオロギーが引き起こした憎悪の仕業。
★ これらは、如何に無定見な憎悪であったか。いずれも狂信が奉戴する正義の行動として、【9・11】では過激派は同じイスラームの同胞も見境なく殺し、【8・6】では従軍牧師の祝福を受けてテニアン基地を飛び立った米爆撃機は、原爆で多数の非戦闘市民を虐殺し、自らの同胞・米兵捕虜達をも犠牲にしました。ゲルマン純血主義の狂信はユダヤ民族殲滅行動まで引き起こしました。
★ 何の落ち度もないのに犠牲となった人々を前に、何よりも先ず、私たちが決して忘れてはならない教訓は、われわれすべての人間は、時として野獣以上に残酷な衝動に動かされる魔性を持っていることの自覚でありましょう。最も恐ろしいのは、その魔性に火をつけ回す宗教的、政治的イデオロギーの宣伝です。疑心暗鬼が油を注ぎ回り、狂信的指導者がアジテーションで火を点け回ります。そして人々は、憎悪の塊となって理性を失った行動を起こします。その結果として、無辜の市民が大量虐殺された。
★ 【9・11】以来、世界はガラリと変わりました。ブッシュ大統領のアジテーションで変わったのです。
★ アメリカは直ちに、これは新しい戦争である、と規定し、徹底的にテロと戦うことを世界に宣言しました。国連は時を置かずにテロ非難決議を採択。北大西洋条約機構 (NATO)やロシアも、これに合わせて「国際社会が結束してテロと戦うべき」という共同声明を出し、日本やサウジアラビア、インドなどのアジア諸国もアメリカ合衆国を支持しました。
★ テロの当面の敵はアルカイダのはずでした。その巣窟とされたアフガニスタン(=ターリバーン政権)攻撃には、国際世論も理解を示しました。ところが、ブッシュ大統領は、イラク、イラン、北朝鮮の3国を国際テロ組織とテロ支援国と断じ、「悪の枢軸」として「予防的な措置と時には先制攻撃が必要」との国家戦略を打ち出します。
★ そして大量破壊兵器を隠し持っているという疑惑を理由に、イラクに侵攻。ついに武力でフセイン体制を打ち倒しました。開戦に当たっては、同盟諸国に恫喝的なメッセージを送りました。「参戦か、傍観か?」 日本政府にも申し渡しました「旗幟を鮮明に・・」 そして自衛隊が憲法を冒す危険を承知で”海外派兵”に踏み切りました。正に世界を巻き込んでの戦闘開始。アメリカは元より、参戦諸国に多くの犠牲者を出しました。
★ しかし、制圧後、国連機関がイラクを徹底的に調査した結果、核兵器はもとより、「ある」とされた化学・生物兵器などひとつも見つかりませんでした。そしてアメリカが消滅させた国家権力は再建できぬまま、内戦状態が今も続いてイラク国民を苦しめています。
★ 中近東の新たな政治的危機は明らかにアメリカの不当なイラクへの内政干渉によって引き起こされたものでした。責任追及の声が高まる中、開き直ったブッシュ大統領の有名な言葉があります。英国の高級紙『ガーディアン』が去る昨年10月7日付紙面で、
【ブッシュ氏がパレスチナ自治政府の要人との会談で、「ジョージ、イラクの圧政と戦え、と神は告げた。私はそうした」と言った】
と大きく報道。さらに同様趣旨のテレビ・ドキュメンタリー番組を英国営放送BBCが流したので、国際的に大騒ぎになりました。
★ 当時、私も、この発言について、コメントを綴ったことがあります。とにかく世界の指導者を唖然とさせた失態でした。しかし、ブッシュ大統領は、強硬路線を更に強めます。新たに「愛国者法(反テロ法)」を制定し、イスラーム系市民のプライバシーを大幅に制限する公安活動を強めています。空港では“テロリスト関係者、またはそれらと少しでも接触のあった外国人”と見なされると、令状抜きで不法に連行・収監される、”事件”が続出しています。
★ アメリカの新聞には、最近、CIA・FBIによる自白目的の拷問が日常的
に行われている事実が次々と明るみに出て、警察国家化するアメリカに大きな懸念を抱き始めた市民団体から反発の声が高まって来ています。しかし、反発の声が上がれば上がるほど、規制強化を求める声も高まり、今や、アメリカは国論が真っ二つに割れて、人々の疑心暗鬼を更に深めている、と言われます。
★ ブッシュ大統領が、昨夜、記者団に語った、と伝えられる『あの日の教訓を決して忘れないと誓った』という、”教訓”とは何でありましょう。
疑心暗鬼が如何に重大な間違いを起こすか。今こそ、その教訓を活かして下さい。
私は、そう言いたいです。
by zenmz
| 2006-09-11 15:37
| 歴史との対話