2006年 09月 19日
【6253】 今こそ熟慮を・・・『身土不二』 |
★ 外国の客を案内して地方を回ると、誰しも目を瞠って感嘆するのは、「道の駅」です。僅か1時間も離れていないところに地域、地域で全く異なる色とりどりの郷土色豊かな食品、食材が並んでいることにビックリ。更に、これらの産物が「一村一品」の地域興しで掘り起こされた地方、地方の”お袋の味”がその基本と説明すると、例外なくGreat!(スゴイ!)と感嘆の声をあげます。
★ ドライブに出かけると、主幹道路にある「道の駅」は、確かにオアシスですね。それだけでなく、そこからちょっと脇道に入ると、田舎町のあちこちには農協や、地域婦人会などが運営している「青空市」があります。こちらも「採れたて」と市価より割安の新鮮野菜が大人気、日曜日などは何処も大にぎわいです。やはり「地産地消」 ”地元で採れたて”自然食品の魅力が都会の人々にも定着しました。
★ 実を言うと、今や大人気の「青空市」に並んでいる農作物は、お百姓さんたちが農協など全国流通網に出荷される田畑の市場向け大量生産物ではなく、元々は、ウラ畑でつくっている「自家消費用」のお余りなのです。まあ四季折々の旬のものも、家族で食べる量はしれています。余分をカゴで持ち寄って道ばたで売り出した”無人市場”が始まりです。私たちが、この地に移り住んだ18年前は、すべて”無人市場”でした。
★ ところが、「道の駅」が出来、それと連動して「青空市」が次々と出来て、それが爆発的に人気を呼ぶようになりました。農家が自分の名札を付けたカゴで出荷する、その方法が思わぬ宣伝効果をあげ始めたのです。どこの市場でも「○○さんの品物がいい」と口コミ情報が消費者の品定めの指標になり、それに負けじと、出品農家も「いい品を安く」の自家出品物の品質向上に競争を始めたのです。人気のウラには、そんな農家の努力がありました。
★ 今では、「道の駅」や「青空市」の人気は、ひとつひとつの商品が、いずれも「どこの、だれが生産、出品しているか」それがすべて分かる「トレーサビリティ」が確立して安心商品の保証書の役割を果たすようになっています。ところが、最近、それに異変が起こりつつあります。
★ 人気が出ると、お客の方から「こんなの無い?」 「これこれも置いてよ」と注文がつくようになります。お客の要望を入れながら品揃えしているうちに、並ぶ商品がスーパーの生鮮食品売り場と変わらなくなりつつあるのです。旬の香りがプンプンしていた土まぐれの野菜は片隅に置かれ、ピカピカに磨き上げた”他所モノ”野菜や果物が並ぶようになって来ました。それを指摘されると、売り子さんも、「お客さんの要望じゃケ」とあっけらかんと笑っています。
★ ”他所モノ”は、全国流通ルートから入ってきます。「道の駅」も「青空市」も農協ルートでいくらでも商品は入って来ます。こうした風潮を眺めながら、私は、心ひそかに経済学の格言を想い浮かべます。
「悪貨は良貨を駆逐する」
価値ある金・銀貨は姿を消し、オカネは全部、紙に化けましたね。金貨など博物館か、投機商品になってしまいました。何か似たような話です。ああ、そうか、”命の糧”も、ソウナンダ。
★ なだれ込んで来る最近の”他所モノ”。実は、他所の農家が作ったものではなく、「季節や天候に左右されずに、安定して収穫できる大規模農場を経営するベンチャー企業の製品」だと言うのです。「ここだけの話」と、耳打ちして教えてくれた知人の話に絶句しました。今、田舎の農業を支えている篤農家が一番、恐れているのが農業の自由化。
★ 全く、想像もしなかったことですが、外食産業などでは、すでにレタスやトマトなどは、”農業工場”で作られているそうです。一般企業がこれまで考えられなかった全く新しい構想の「巨大ハウス栽培」に乗りだしたそうです。最大の特徴は、”土は使わない”水耕栽培。発泡スチロール板を、肥料成分を溶かした溶液に浮かべ、そこで植物を生育させる。すべて人工肥料の配合で野菜・果物を作り出す。
★ 日照、気温、生育ステージに合わせた肥料濃度をコンピューター制御し、常に、植物が生育するのに適する環境を作り出す構造です。これだと、同じハウス内で生育時期を少しずつずらしながら作物を栽培することも可能。一年中、四季を問わずにいろんな農作物を、毎日出荷が可能になった、と言うのです。
★ 「もう食品メーカーや外食産業の野菜はほとんど、”土無し”農業産物。見た目もキレイ、年中安定供給で、これからの農家は、”土で栽培する”旧来農業系生産者と、化学肥料調合の”土無し水耕”の企業系生産者との、市場争奪戦、産地争奪戦、あるいはM&A(企業の合併・買収)合戦が繰り広げられる・・・・これがIT情報革命と結ぶと・・・いや、空恐ろしくなる」
★ 聴いていて身震いする思いです。都会生活者のお楽しみトップは、外食グルメですね。見た目の美しさに誘われて話題の店を渡り歩いた挙げ句・・・フト、気がつくと、口にした野菜はほとんど土を使わない工場で生産された新種の野菜。何か、ゾッとしますね。怖いのは、遺伝子操作による”強い”野菜作りだけではありませんね。これから、野菜を買う時は、しっかり「トレーサビリティ」(生産経路)を確認しましょう。
★ 昔の人は、素晴らしい知恵を格言として後世に残しました。
「身土不二」・・・人と土は一体である。人の命と健康は食べ物で支えられ、 食べ物は土が育てる。 故に、人の命と健康はその土と共にある。熟慮しましょう。何と素晴らしい哲理ではありませんか。
★ ドライブに出かけると、主幹道路にある「道の駅」は、確かにオアシスですね。それだけでなく、そこからちょっと脇道に入ると、田舎町のあちこちには農協や、地域婦人会などが運営している「青空市」があります。こちらも「採れたて」と市価より割安の新鮮野菜が大人気、日曜日などは何処も大にぎわいです。やはり「地産地消」 ”地元で採れたて”自然食品の魅力が都会の人々にも定着しました。
★ 実を言うと、今や大人気の「青空市」に並んでいる農作物は、お百姓さんたちが農協など全国流通網に出荷される田畑の市場向け大量生産物ではなく、元々は、ウラ畑でつくっている「自家消費用」のお余りなのです。まあ四季折々の旬のものも、家族で食べる量はしれています。余分をカゴで持ち寄って道ばたで売り出した”無人市場”が始まりです。私たちが、この地に移り住んだ18年前は、すべて”無人市場”でした。
★ ところが、「道の駅」が出来、それと連動して「青空市」が次々と出来て、それが爆発的に人気を呼ぶようになりました。農家が自分の名札を付けたカゴで出荷する、その方法が思わぬ宣伝効果をあげ始めたのです。どこの市場でも「○○さんの品物がいい」と口コミ情報が消費者の品定めの指標になり、それに負けじと、出品農家も「いい品を安く」の自家出品物の品質向上に競争を始めたのです。人気のウラには、そんな農家の努力がありました。
★ 今では、「道の駅」や「青空市」の人気は、ひとつひとつの商品が、いずれも「どこの、だれが生産、出品しているか」それがすべて分かる「トレーサビリティ」が確立して安心商品の保証書の役割を果たすようになっています。ところが、最近、それに異変が起こりつつあります。
★ 人気が出ると、お客の方から「こんなの無い?」 「これこれも置いてよ」と注文がつくようになります。お客の要望を入れながら品揃えしているうちに、並ぶ商品がスーパーの生鮮食品売り場と変わらなくなりつつあるのです。旬の香りがプンプンしていた土まぐれの野菜は片隅に置かれ、ピカピカに磨き上げた”他所モノ”野菜や果物が並ぶようになって来ました。それを指摘されると、売り子さんも、「お客さんの要望じゃケ」とあっけらかんと笑っています。
★ ”他所モノ”は、全国流通ルートから入ってきます。「道の駅」も「青空市」も農協ルートでいくらでも商品は入って来ます。こうした風潮を眺めながら、私は、心ひそかに経済学の格言を想い浮かべます。
「悪貨は良貨を駆逐する」
価値ある金・銀貨は姿を消し、オカネは全部、紙に化けましたね。金貨など博物館か、投機商品になってしまいました。何か似たような話です。ああ、そうか、”命の糧”も、ソウナンダ。
★ なだれ込んで来る最近の”他所モノ”。実は、他所の農家が作ったものではなく、「季節や天候に左右されずに、安定して収穫できる大規模農場を経営するベンチャー企業の製品」だと言うのです。「ここだけの話」と、耳打ちして教えてくれた知人の話に絶句しました。今、田舎の農業を支えている篤農家が一番、恐れているのが農業の自由化。
★ 全く、想像もしなかったことですが、外食産業などでは、すでにレタスやトマトなどは、”農業工場”で作られているそうです。一般企業がこれまで考えられなかった全く新しい構想の「巨大ハウス栽培」に乗りだしたそうです。最大の特徴は、”土は使わない”水耕栽培。発泡スチロール板を、肥料成分を溶かした溶液に浮かべ、そこで植物を生育させる。すべて人工肥料の配合で野菜・果物を作り出す。
★ 日照、気温、生育ステージに合わせた肥料濃度をコンピューター制御し、常に、植物が生育するのに適する環境を作り出す構造です。これだと、同じハウス内で生育時期を少しずつずらしながら作物を栽培することも可能。一年中、四季を問わずにいろんな農作物を、毎日出荷が可能になった、と言うのです。
★ 「もう食品メーカーや外食産業の野菜はほとんど、”土無し”農業産物。見た目もキレイ、年中安定供給で、これからの農家は、”土で栽培する”旧来農業系生産者と、化学肥料調合の”土無し水耕”の企業系生産者との、市場争奪戦、産地争奪戦、あるいはM&A(企業の合併・買収)合戦が繰り広げられる・・・・これがIT情報革命と結ぶと・・・いや、空恐ろしくなる」
★ 聴いていて身震いする思いです。都会生活者のお楽しみトップは、外食グルメですね。見た目の美しさに誘われて話題の店を渡り歩いた挙げ句・・・フト、気がつくと、口にした野菜はほとんど土を使わない工場で生産された新種の野菜。何か、ゾッとしますね。怖いのは、遺伝子操作による”強い”野菜作りだけではありませんね。これから、野菜を買う時は、しっかり「トレーサビリティ」(生産経路)を確認しましょう。
★ 昔の人は、素晴らしい知恵を格言として後世に残しました。
「身土不二」・・・人と土は一体である。人の命と健康は食べ物で支えられ、 食べ物は土が育てる。 故に、人の命と健康はその土と共にある。熟慮しましょう。何と素晴らしい哲理ではありませんか。
by zenmz
| 2006-09-19 12:10
| 健康・医療