2008年 04月 13日
【8021】 吉備高原へ、ピンク・カーペットでお迎えします |
★ 岡山空港は市内の中心から北へ約15キロ、山間の台地を切り開いて作られました。現在、飛行機が発着するとき、眼下に”ピンクのカーペット”が広がります。そうです。桃畑。いま満開の最中です。
★ 「岡山・吉備高原都市は、ちょっと世間離れした桃源郷です。ここがその入り口、皆さん、よくいらっしゃいました」
空港でお客を迎える時、私はこのように自慢します。この地方空港もソウル、上海、大連、北京、グアム、香港と結んだ国際空港。国内では札幌、東京、鹿児島、沖縄と結んで空から岡山への玄関口になっています。
★ 岡山と言えば、桃太郎。各地に桃太郎伝説がありますが、岡山県民は「ここが本家」譲りません。JR岡山駅の駅前東広場では桃太郎のブロンズ像がお出迎えします。反対側の駅西には「桃太郎博物館」もあります。
★ ともかく、その県民挙げて自慢の桃が今、満開の花をつけています。農家にとっては、ちょっと心配な時期。それと、いうのも受粉を担当する蜂が最近、減少し、場所によっては全く姿をみせないところもあって、すべて一つ一つ、人手で受粉させねばならぬこともあるのだそうです。
★ 何事につけても飛び出す異常気象・・・すべてそのセイにするのか? あるいは落語家が言うように「ソレと気づいた蜂たちが”アホらしい”」と一斉ストに入ったのか? 原因は、依然として不明ですが、農家泣かせな現象が続いています。
★ 桃は、もともとバラ科の果物ですから、満開の花の中、桃畑に立つと、すばらしい芳香に包まれます。私の妻などは、直ぐ未婚女性の「桃割れ」姿をイメージするのですが、実を申しまして、私は、”モモ”と聞くと、ちょっとニガイ体験を思い起こします.
★ 桃を皿の上に置いて眺めればおわかりですが、桃は、ミカンや柿など他の果物と比べると、いかにも座りの悪い形をしています。その姿は、馬に乗るのが下手で鞍に尻が落ち着かないぎこちなさと似ているので、乗馬では「桃尻」といって少々、バカにした言い方をします。
★ 乗馬の最初の頃には怖くて鐙を踏みしめて身体がこわばり、尻が座りません。そんな時、しばしば、若いインストラクターが「モモシリ、ダメ!」と、笑いながら、鐙の脚を下ろさせました。両手足を空に遊ばせて尻を鞍にきちんと置いて馬の歩みに身をゆだねる。
かなり早く歩む馬の鞍にまたがり、両手を水平にして、両足をダラリと下げる。
最初はちょっと怖いですよ。”モモシリ”を鞍に馴染ませるのは一苦労です。それをどれほど鍛えられたことか! それを想い出すのです。
★ 古希を過ぎて、苦労して覚えた乗馬も、本格的に全力疾走が出来るようになって、さあ、これから、というのに、辞めました。
折から通りすがりに警笛を鳴らした車におびえ、突然、馬が方向転換し、あわや落馬、突然、飛び出した犬に驚き前足挙げて総立ち・・・そんなヒヤリ体験を何度かしたのが原因です。
一度、落ちれば、多分、終生寝たきりで、自らも老いの身である妻に苦労を掛けるに違いありません。きっぱり辞めて、今は、毎日、犬にペルシャ語で語りかけながら散歩しています。
★ またペルシャ語? そんなお叱りをうけそうですね。 いや、申し訳ありません。
でも桃とペルシャは深い関係があるのです。英語で、桃のことを”Peach”と言いますね。その語源はラテン語のpersicum malum(ペルシアの林檎)
ローマ帝国の公式言語が記憶したその由縁は・・・・もともと桃の原産地は中国・黄河の上流地帯だったそうですが、2000年以上も前にシルク・ロードを伝って世界に広まったのだそうです。
★ その桃の集散センターがアケネメス朝ペルシャ。イラン南部にあるペルセポリスだった、と言われます。英語のピーチは、世界最初の大帝国の栄光の時代の残照を今に伝えているのですね。日本には、恐らく弥生時代につたわった、と言われます。そうでしょうね。古事記に黄泉の国から逃げ帰るイザナギノミコトが追いかけて来る黄泉醜女に桃を投げつけ、やっと逃げ切った場面が出てきます。
★ 桃の出荷シーズンは、「七夕祭り」(7月7日)から「ヒロシマ原爆記念日」(8月6日)までの1ヶ月間。今年も、是非、岡山の白桃をお召し上がりください。
~~~~~ 外部SNS コメント ~~~~~~~
★ zensan 2008/04/13(日) 23:33
としさん
ごく短い期間ですが、とてもいいです。(授粉しますと袋がけ、それも壮観ではありますが・・ちょっと風情に欠けます)
私はながく京都・大阪で過ごしましたが、その時には桃は果物の中でも最高級品でした(値段の話ですが・・・) でも、岡山へ来ると、規格品はずれはほとんどタダ同然で、毎日、モモジュースです。岡山はピオーネ、マスカットの産地でもあり、果物の王国です。
★ zensan 2008/04/13(日) 23:36
pekoさん
老後生活は、完全に近い自由を満喫できます。何事も、やろうと、辞めようと、人畜無害、社会にさざ波も起こしません。気楽なものです。老人の特権。隠居生活もまた楽し、です。
pome-loveさん
pome-loveさんはまだまだお若いですが、昭和ヒトケタにとっては馬には特別の愛着と憧憬があります。“軍国少年”の夢と憧れの象徴でした。
「三つ子の魂」も哀しく儚いですね。それが出来る境遇になった時にはおいぼれています。本当に夢は儚い、です。
★ ]zensan 2008/04/14(月) 22:56
みーちゃんさん ようこそ。イザナギノミコトのモモ事件。
古事記の前半は、ご指摘のとおりですが、ようやく黄泉国と現世界との境界である黄泉比良坂(よもつひらさか)に至った時、そこにある桃の実を三個投げつけて、ついに醜女から逃れきることが出来た、というのが結論ではなかったでしょうか。私もうろ覚えですが、確か、そうだった、と思います。
ご注意ありがとうございました。後ほど念のため調べます。
空港でお客を迎える時、私はこのように自慢します。この地方空港もソウル、上海、大連、北京、グアム、香港と結んだ国際空港。国内では札幌、東京、鹿児島、沖縄と結んで空から岡山への玄関口になっています。
★ 岡山と言えば、桃太郎。各地に桃太郎伝説がありますが、岡山県民は「ここが本家」譲りません。JR岡山駅の駅前東広場では桃太郎のブロンズ像がお出迎えします。反対側の駅西には「桃太郎博物館」もあります。
★ ともかく、その県民挙げて自慢の桃が今、満開の花をつけています。農家にとっては、ちょっと心配な時期。それと、いうのも受粉を担当する蜂が最近、減少し、場所によっては全く姿をみせないところもあって、すべて一つ一つ、人手で受粉させねばならぬこともあるのだそうです。
★ 何事につけても飛び出す異常気象・・・すべてそのセイにするのか? あるいは落語家が言うように「ソレと気づいた蜂たちが”アホらしい”」と一斉ストに入ったのか? 原因は、依然として不明ですが、農家泣かせな現象が続いています。
★ 桃は、もともとバラ科の果物ですから、満開の花の中、桃畑に立つと、すばらしい芳香に包まれます。私の妻などは、直ぐ未婚女性の「桃割れ」姿をイメージするのですが、実を申しまして、私は、”モモ”と聞くと、ちょっとニガイ体験を思い起こします.
★ 桃を皿の上に置いて眺めればおわかりですが、桃は、ミカンや柿など他の果物と比べると、いかにも座りの悪い形をしています。その姿は、馬に乗るのが下手で鞍に尻が落ち着かないぎこちなさと似ているので、乗馬では「桃尻」といって少々、バカにした言い方をします。
★ 乗馬の最初の頃には怖くて鐙を踏みしめて身体がこわばり、尻が座りません。そんな時、しばしば、若いインストラクターが「モモシリ、ダメ!」と、笑いながら、鐙の脚を下ろさせました。両手足を空に遊ばせて尻を鞍にきちんと置いて馬の歩みに身をゆだねる。
かなり早く歩む馬の鞍にまたがり、両手を水平にして、両足をダラリと下げる。
最初はちょっと怖いですよ。”モモシリ”を鞍に馴染ませるのは一苦労です。それをどれほど鍛えられたことか! それを想い出すのです。
★ 古希を過ぎて、苦労して覚えた乗馬も、本格的に全力疾走が出来るようになって、さあ、これから、というのに、辞めました。
折から通りすがりに警笛を鳴らした車におびえ、突然、馬が方向転換し、あわや落馬、突然、飛び出した犬に驚き前足挙げて総立ち・・・そんなヒヤリ体験を何度かしたのが原因です。
一度、落ちれば、多分、終生寝たきりで、自らも老いの身である妻に苦労を掛けるに違いありません。きっぱり辞めて、今は、毎日、犬にペルシャ語で語りかけながら散歩しています。
★ またペルシャ語? そんなお叱りをうけそうですね。 いや、申し訳ありません。
でも桃とペルシャは深い関係があるのです。英語で、桃のことを”Peach”と言いますね。その語源はラテン語のpersicum malum(ペルシアの林檎)
ローマ帝国の公式言語が記憶したその由縁は・・・・もともと桃の原産地は中国・黄河の上流地帯だったそうですが、2000年以上も前にシルク・ロードを伝って世界に広まったのだそうです。
★ その桃の集散センターがアケネメス朝ペルシャ。イラン南部にあるペルセポリスだった、と言われます。英語のピーチは、世界最初の大帝国の栄光の時代の残照を今に伝えているのですね。日本には、恐らく弥生時代につたわった、と言われます。そうでしょうね。古事記に黄泉の国から逃げ帰るイザナギノミコトが追いかけて来る黄泉醜女に桃を投げつけ、やっと逃げ切った場面が出てきます。
★ 桃の出荷シーズンは、「七夕祭り」(7月7日)から「ヒロシマ原爆記念日」(8月6日)までの1ヶ月間。今年も、是非、岡山の白桃をお召し上がりください。
~~~~~ 外部SNS コメント ~~~~~~~
◎ とし 2008/04/13(日) 17:02
空からの”ピンクのカーペット”はすばらしい眺めでしょうね。
桃は大好物です、今年も岡山の白桃を沢山食べたいと思います。
★ zensan 2008/04/13(日) 23:33
としさん
ごく短い期間ですが、とてもいいです。(授粉しますと袋がけ、それも壮観ではありますが・・ちょっと風情に欠けます)
私はながく京都・大阪で過ごしましたが、その時には桃は果物の中でも最高級品でした(値段の話ですが・・・) でも、岡山へ来ると、規格品はずれはほとんどタダ同然で、毎日、モモジュースです。岡山はピオーネ、マスカットの産地でもあり、果物の王国です。
◎ peko 2008/04/13(日) 22:46
乗馬を始めようと思われたのも、傍目から見ればすごいこと。
それをキッパリやめたのもすごいことですね。
桃の花の香りはかいだことがありません。一度経験したいですね。
★ zensan 2008/04/13(日) 23:36
pekoさん
老後生活は、完全に近い自由を満喫できます。何事も、やろうと、辞めようと、人畜無害、社会にさざ波も起こしません。気楽なものです。老人の特権。隠居生活もまた楽し、です。
◎ pome-love 04/13 23:48★ zenzo 04/13 23:54
桃の季節。さぞ上空からのピンクカーペットは美しいことでしょう。
桃のお話から、思いがけない乗馬のお話までたっぷりと、内容の濃いお話に引き込まれました。
私は、今はないのですが、高校の横が馬場で、乗馬を習いたいと申し出ましたが、父は、女子は乗馬で足の形が悪くなるといって許可が出ませんでした。(おかしな理屈ですが)最も、後で気付いたのですが、1メーターの高さでも足が引っ付いて動かない高所恐怖症の私には無理でした。これも、何年もかかって克服して、一度観光で乗馬しましたがとても怖くて、10メーターほどで降ろしてもらいました。草原を、疾風のごとく駆け抜ける・・・夢
確かに、落馬は危険なこと、己をわきまえることの生き方上手も教えていただきました。
pome-loveさん
pome-loveさんはまだまだお若いですが、昭和ヒトケタにとっては馬には特別の愛着と憧憬があります。“軍国少年”の夢と憧れの象徴でした。
「三つ子の魂」も哀しく儚いですね。それが出来る境遇になった時にはおいぼれています。本当に夢は儚い、です。
◎ み-ちゃん 2008/04/14(月) 22:31
コメントありがとうございました。まだ使いこなせませんが、皆様のを拝見しながら楽しんでいきたいと思ってます。よろしくアドバイスお願いしますね。日記を拝見させて頂いた時に、随分と広い世界を・・・と感じました。刺激を受けていいですね。
ところで、古事記のイザナギノミコトの桃事件 ? 確か 山ブドウもですよね。以前、読んだ記憶が蘇りました。早速良い刺激をありがとう。
★ ]zensan 2008/04/14(月) 22:56
みーちゃんさん ようこそ。イザナギノミコトのモモ事件。
古事記の前半は、ご指摘のとおりですが、ようやく黄泉国と現世界との境界である黄泉比良坂(よもつひらさか)に至った時、そこにある桃の実を三個投げつけて、ついに醜女から逃れきることが出来た、というのが結論ではなかったでしょうか。私もうろ覚えですが、確か、そうだった、と思います。
ご注意ありがとうございました。後ほど念のため調べます。
by zenmz
| 2008-04-13 14:16
| 吉備高原ライフ