2008年 04月 21日
【8028】 ちゃらんぽらんな話 |
★ ネットサーフィンしていると、ヘエーっ、と、ビックリするお話にぶつかります。
★ チャランポラン、確かに日本語でもよく用います。しかし、どこから来た言葉なのか? どう考えてみても日本語にルーツを求める手がかりはありません。言葉の感じで言えば、いわゆる「擬態語」ではないか、と思ったりします。ものごとの「様子」や「心情」などを描写するレトリックですね。そうなんだろう、と、思っていました。
★ でも、このように指摘されて、改めて見直すと、あまりにも似通っています。全く偶然に、ペルシャ語、日本語の両方で、自然発生的に生まれた「擬態語」とは思えない。
ひょっとしたら、日本語の「チャランポラン」のルーツは、ペルシャ語のCharand-parandではないか? そんな気がしてきました。そこで、昨日、一日中、ネット検索で、この言葉の語源探しをしてみました。
★ あるものですねェ。ビックリするような大収穫がありました。
東京外国語大学論集32(1982年) pp 133-152 「デホダーと立憲革命」:『チャランド・バランド』について。筆者は、当時の同大学ペルシャ語教授の藤井守男さんです。
★ 論文の所収URLも紹介されていたので早速、ダウンロードして読みました。
一読、驚嘆。藤井教授の論考によれば、この Charand-parand は、イランにおける「言論の自由」運動と深い関係のあるマスコミ言葉であったのです。
★ それは、今から100年前、20世紀初頭に、イランで盛り上がった立憲運動の最中に、最もラディカルな論調で知られた新聞「Sur-e Esrafil」(スーレイスラフィール)紙上でジャーナリスト、アリー・アクバル・デホダーが執筆した時事評論のタイトル、『CHARAND-PARAND』(たわごと)であったのです。
★ 状況はちょうど日本の大正デモクラシーの時期に似ています。政府による言論抑圧はイランでまだ続いていますが、ちょうど100年前、イランでも同じ時期に立憲運動が盛り上がりました。その先頭に立ったのがジャーナリスト・デホダーであったのです。
★ それにしても・・・25年も前にこのような論文が公刊されているのに世にしられぬままであることは残念ですね。藤井教授のこの論文は、3年間にわたったデホダーの評論活動が「現代イランの知識人の言論活動が自覚的に開始された始め」と評価し、その後のイラン現代文学に与えた影響を具体的に辿っておられます。
★ デホダーらの言論活動は国王の逆鱗に触れ、同志ミルザー・ジョハンギル・ハーンは死刑。デホダー自身も国外追放になりますが、亡命先のスイスやイスタンブールで言論活動を続け、その後、40年間をかけて、イラン最大のペルシャ語百科事典や民衆文化の一大集成『ことわざ辞典』の編纂に携わり、祖国の文化の現代化に大きく貢献しました。
★ デホラーの時事評論『CHARAND-PARAND』(たわごと)の歴史的意味と、その功績については、藤井教授の精緻な考証が公刊されています。そのことに関心のある方は、是非、藤井論文を直にご覧ください。
★ 100年前にイランで盛り上がった立憲運動・・・同じ時期に日本であった大正デモクラシー。二つの国の言論人が、その活動を通じて交流があったことは容易に想像できます。既にその頃には日本に世界水準のペルシャ詩の存在が紹介されていました。ペルシャ、日本の知識人の執筆活動の交流は当然、あったのではないか?
★ ジャーナリストは流行語に敏感です。多分・・・と、私は、大胆に想像してみたい気分に駆られます。『CHARAND-PARAND』(たわごと)・・・日清、日露の息苦しい時代を抜け出すために日本国民の間に盛り上がった大正デモクラシー運動。”チャランポラン”は、いかにも当時の民衆にぴったり来る言葉の響きではなかったか!?・・・
★ 確証はありません。でも、私は、「チャランポラン」はイランから来た大正時代の新語だったに違いない、と、信じたいです。ちゃらんぽらんな話ではありますが・・・・
ちょっと思いついたのですが、このペルシャ語・・・私の造語ですが・・・
「ピル・マルデ・チャランポラン」 通じるでしょうか?
日本語では「戯言爺さん」のつもりで言っているのですが。 おわかりの方、コメントをお願いいたします。私自身のこと、そう自覚しております。
~~~~~~ 外部SNS コメント ~~~~~~~~~~
げたさん
確証はありませんが、傍証かための結論は、そうだろうと思います。日本語そのものの中には語源はみいだせませんので・・・
ゆーちゃん 日本茶・中国茶出しますさん
カリフォルニアの大学に留学中でしたね。お友達にイラン人学生がいるのですか? 是非確かめて見て下さい。そして補強材料が出てきたら、本欄にご紹介下さい。
犬も歩けば、と言いますが、年寄りもネットサーフィンすれば、の感一入です。
けんこw/LOVE☆さん:
この記事を見て私の友人が直ぐ連絡をくれました。愛知にお住まいのイラン人通訳の方が同じことを書いている、と言うのです。直ぐお近くにこんな方がいらっしゃいますよ。一度、ご訪問を・・・・【ペルシャ屋】
いんきょさん:
深い省察で綴られた随想録シリーズで、アメリカから発信されている祖国への想い、いつも感銘深く拝見しております。これより想を改め、言葉の問題をおとりあげ下さいます由、楽しみにしております。
病気ご静養中と、承っております。どうぞ、ご無理のない範囲で、お願いいたします。私に出来ますことがございましたら、何なりとご指示下さい。出来る限りの協力をさせていただきます。
ゆーちゃん 日本茶・中国茶出しますさん
カリフォルニアの大学に留学中でしたね。お友達にイラン人学生がいるのですか? 是非確かめて見て下さい。そして補強材料が出てきたら、本欄にご紹介下さい。
★ zensan- 2008/04/22 09:40
なっつ類さん:
大感激! ネットを通じて、見知らぬ外国語を学ぶ。私の実験が有効であることを確かめました。ありがとうございます。ものすごい感動を覚えます。
【chert to part】(チェー・ト・ペェット)イランの方々の日常語に使われているのですね。酔っ払いが訳わからない事を言ってる時や、くだらない事を何回も言ってる時・・・
このような学習は、学校の教室でしかめっ面して学んでいたのでは絶対に出来ません。ありがとうございました。ご主人様に是非是非、よろしくお伝え下さい。大喜びしていたとお伝え願います。
ところで・・・
> 主人に聞きました「ちゃらんぽらん」では通じなかったのですが、
とのご指摘。これは、私が勝手に作ったペルシャ語造語「ピル・マルデ・チャランポラン」 通じるでしょうか? に対するご指摘でしょうね。
と、申しますのも、私の友人から、愛知県に住んでおられるイラン人通訳の方が同じようなことを書いているよ、と連絡してくれました。そのURLはこちらにあります。 【ペルシャ屋】 Charand-parand という言葉自体は、日本語の「チャランポラン」と同じ意味で使われているのでしょうね。ここには、「イランでは、چرند و پرند と言う」と書いてあります。
「ちゃらんぽらん」・・・・いかにもいい加減そうな響きのする言葉。これとほぼ同じ言葉がペルシア語にもあります。★ ハンドル名 sarasaya.さんと言う方が、イランの首都・テヘランから発信しておられる日本語サイト「イランという国で」に紹介されていました。東京外語大学の留学生としてテヘラン大学で学ばれ、卒業後はそのまま同大学の教官になり日本学を講じておられる先生です。イラン滞在十数年。新聞記者そこのけのすばらしいナマ情報を発信しておられます。
چرند و پرند charand-parand
口語では「ちゃらんぽらん」「ちゃらんぱらん」と聞こえます。日本語だといい加減な言動を意味しますが、ペルシア語は意味もないくだらないことばかり言うことを指すというところが違うくらい。
★ チャランポラン、確かに日本語でもよく用います。しかし、どこから来た言葉なのか? どう考えてみても日本語にルーツを求める手がかりはありません。言葉の感じで言えば、いわゆる「擬態語」ではないか、と思ったりします。ものごとの「様子」や「心情」などを描写するレトリックですね。そうなんだろう、と、思っていました。
★ でも、このように指摘されて、改めて見直すと、あまりにも似通っています。全く偶然に、ペルシャ語、日本語の両方で、自然発生的に生まれた「擬態語」とは思えない。
ひょっとしたら、日本語の「チャランポラン」のルーツは、ペルシャ語のCharand-parandではないか? そんな気がしてきました。そこで、昨日、一日中、ネット検索で、この言葉の語源探しをしてみました。
★ あるものですねェ。ビックリするような大収穫がありました。
東京外国語大学論集32(1982年) pp 133-152 「デホダーと立憲革命」:『チャランド・バランド』について。筆者は、当時の同大学ペルシャ語教授の藤井守男さんです。
★ 論文の所収URLも紹介されていたので早速、ダウンロードして読みました。
一読、驚嘆。藤井教授の論考によれば、この Charand-parand は、イランにおける「言論の自由」運動と深い関係のあるマスコミ言葉であったのです。
★ それは、今から100年前、20世紀初頭に、イランで盛り上がった立憲運動の最中に、最もラディカルな論調で知られた新聞「Sur-e Esrafil」(スーレイスラフィール)紙上でジャーナリスト、アリー・アクバル・デホダーが執筆した時事評論のタイトル、『CHARAND-PARAND』(たわごと)であったのです。
★ 状況はちょうど日本の大正デモクラシーの時期に似ています。政府による言論抑圧はイランでまだ続いていますが、ちょうど100年前、イランでも同じ時期に立憲運動が盛り上がりました。その先頭に立ったのがジャーナリスト・デホダーであったのです。
★ それにしても・・・25年も前にこのような論文が公刊されているのに世にしられぬままであることは残念ですね。藤井教授のこの論文は、3年間にわたったデホダーの評論活動が「現代イランの知識人の言論活動が自覚的に開始された始め」と評価し、その後のイラン現代文学に与えた影響を具体的に辿っておられます。
★ デホダーらの言論活動は国王の逆鱗に触れ、同志ミルザー・ジョハンギル・ハーンは死刑。デホダー自身も国外追放になりますが、亡命先のスイスやイスタンブールで言論活動を続け、その後、40年間をかけて、イラン最大のペルシャ語百科事典や民衆文化の一大集成『ことわざ辞典』の編纂に携わり、祖国の文化の現代化に大きく貢献しました。
★ デホラーの時事評論『CHARAND-PARAND』(たわごと)の歴史的意味と、その功績については、藤井教授の精緻な考証が公刊されています。そのことに関心のある方は、是非、藤井論文を直にご覧ください。
★ 100年前にイランで盛り上がった立憲運動・・・同じ時期に日本であった大正デモクラシー。二つの国の言論人が、その活動を通じて交流があったことは容易に想像できます。既にその頃には日本に世界水準のペルシャ詩の存在が紹介されていました。ペルシャ、日本の知識人の執筆活動の交流は当然、あったのではないか?
★ ジャーナリストは流行語に敏感です。多分・・・と、私は、大胆に想像してみたい気分に駆られます。『CHARAND-PARAND』(たわごと)・・・日清、日露の息苦しい時代を抜け出すために日本国民の間に盛り上がった大正デモクラシー運動。”チャランポラン”は、いかにも当時の民衆にぴったり来る言葉の響きではなかったか!?・・・
★ 確証はありません。でも、私は、「チャランポラン」はイランから来た大正時代の新語だったに違いない、と、信じたいです。ちゃらんぽらんな話ではありますが・・・・
ちょっと思いついたのですが、このペルシャ語・・・私の造語ですが・・・
「ピル・マルデ・チャランポラン」 通じるでしょうか?
日本語では「戯言爺さん」のつもりで言っているのですが。 おわかりの方、コメントをお願いいたします。私自身のこと、そう自覚しております。
~~~~~~ 外部SNS コメント ~~~~~~~~~~
◎ げたさん - 2008/04/21 10:25★ zensan - 2008/04/21 11:15
携帯なので見れませんが、 ちゃらんぽらん、ペルシャからの外来語でしょうね。
げたさん
確証はありませんが、傍証かための結論は、そうだろうと思います。日本語そのものの中には語源はみいだせませんので・・・
◎ ゆーちゃん 日本茶・中国茶出します - 2008/04/21 15:03★ zensan- 2008/04/21 18:25
zensanさんへ、面白いですね。私のルームメイトにも聞いてみます。
ゆーちゃん 日本茶・中国茶出しますさん
カリフォルニアの大学に留学中でしたね。お友達にイラン人学生がいるのですか? 是非確かめて見て下さい。そして補強材料が出てきたら、本欄にご紹介下さい。
◎ peko 2008/04/21(月) 20:24★ zensan 2008/04/21(月) 22:28
お話、おもしろく読ませていただきました。
ちゃらんぽらんをちゃらんぽらんにすませないzensanはえらいですね~。
犬も歩けば、と言いますが、年寄りもネットサーフィンすれば、の感一入です。
◎ けんこw/LOVE☆- 2008/04/21 19:31★ zensan - 2008/04/22 09:42
ポルトガル語が日本にたくさん入ってきたことは知っていますが
ペルシャ語まで・・・ビックリです。「ちゃらんぽらん」という言葉の響きは好きです。
けんこw/LOVE☆さん:
この記事を見て私の友人が直ぐ連絡をくれました。愛知にお住まいのイラン人通訳の方が同じことを書いている、と言うのです。直ぐお近くにこんな方がいらっしゃいますよ。一度、ご訪問を・・・・【ペルシャ屋】
◎ いんきょ- 2008/04/21 20:35★ zensan - 2008/04/22 09:51
偶然、私も言葉の問題を取り上げるつもりで、原稿を練っています。
チャランポランがペルシャ語を起源にしているかどうかは別として、日本語の言葉遣いも荒くなったのに些かの危機を感じています。どの様な展開になるか、自分でも面白そうだと思います。フォロウ・アップをお願いします。
いんきょさん:
深い省察で綴られた随想録シリーズで、アメリカから発信されている祖国への想い、いつも感銘深く拝見しております。これより想を改め、言葉の問題をおとりあげ下さいます由、楽しみにしております。
病気ご静養中と、承っております。どうぞ、ご無理のない範囲で、お願いいたします。私に出来ますことがございましたら、何なりとご指示下さい。出来る限りの協力をさせていただきます。
ゆーちゃん 日本茶・中国茶出しますさん
カリフォルニアの大学に留学中でしたね。お友達にイラン人学生がいるのですか? 是非確かめて見て下さい。そして補強材料が出てきたら、本欄にご紹介下さい。
◎ なっつ類 - 2008/04/21 19:19
こんばんは 主人に聞きました。
「ちゃらんぽらん」では通じなかったのですが、
【chert to part】(チェー・ト・ペェット と聞こえます)ではないかと言う事です。
意味はだいたい同じです。例えば酔っ払いが訳わからない事を言ってる時や、くだらない事を何回も言ってる時などに使うそうです。
それとも主人に通じなかっただけでしょうかf^_^;(笑)
★ zensan- 2008/04/22 09:40
なっつ類さん:
大感激! ネットを通じて、見知らぬ外国語を学ぶ。私の実験が有効であることを確かめました。ありがとうございます。ものすごい感動を覚えます。
【chert to part】(チェー・ト・ペェット)イランの方々の日常語に使われているのですね。酔っ払いが訳わからない事を言ってる時や、くだらない事を何回も言ってる時・・・
このような学習は、学校の教室でしかめっ面して学んでいたのでは絶対に出来ません。ありがとうございました。ご主人様に是非是非、よろしくお伝え下さい。大喜びしていたとお伝え願います。
ところで・・・
> 主人に聞きました「ちゃらんぽらん」では通じなかったのですが、
とのご指摘。これは、私が勝手に作ったペルシャ語造語「ピル・マルデ・チャランポラン」 通じるでしょうか? に対するご指摘でしょうね。
と、申しますのも、私の友人から、愛知県に住んでおられるイラン人通訳の方が同じようなことを書いているよ、と連絡してくれました。そのURLはこちらにあります。 【ペルシャ屋】 Charand-parand という言葉自体は、日本語の「チャランポラン」と同じ意味で使われているのでしょうね。ここには、「イランでは、چرند و پرند と言う」と書いてあります。
by zenmz
| 2008-04-21 09:39
| فارسى ペルシャ語