2008年 09月 14日
【8173】 「文体」を考える(3) 逆クロス・メディア化 |
★ ブログは、もともと厄介なホームーページ作成言語を覚えなくても、メールさえ送受信出来る知識・技能さえあれば、誰でも自分のホームページが作れる、簡単に言えば、ホームページの自動作成装置として登場しました。
★ SNSは、「掲示板」を発展させて、会員制の「バーチャル・コミュニティ」として登場しました。既に会員である者が”既知の”友人を誘って交友するサロン、そんな感じで始まりました。お互い顔見知り同士の繋がりの連鎖ですから「安心」というウリでした。
★ ともかくブログもSNSもパソコンのソフトであったのです。ですから、これで作る”画面”は、基本的に「面」編集でした。活字出版のようには行きませんが、ともかくメールで慣れた手法を工夫しながら自分のページを作ってきました。
★ ところが、2年前に、SNSの2番手である[gree]が、これからはモバイル時代だ、と、ケイタイ主導のSNSに切り替えました。業界トップの[mixi]も直ちに追随し、SNSもブログも、提供業者は続々と、モバイル対応を打ち出しました。
★ これによって、利用者の「文体」は劇的な変化を見せるようになりました。
それは、ブログで作っていたような「面」編集ではなく、どちらかと言えば、都会の目抜き通りにあうビルや新幹線の客室ドア上にある「電光ニュース」のように”線状文字列”に変わりました。短いセンテンスで、強烈なイメージをたたき付けるような文章です。
★ 最近、気づいたことですが、モバイルSNSを見ていますと、発受信スタイルはチャットそっくりですね。エントリーにコメントすると、即座に返って来ます。こちらは書斎の机上にあるパソコンに向かっていますが、相手は大抵、町中。歩行中であったり、喫茶店であったり・・・正に、何時でも、何処でも、誰とでも、を実行しています。
★ 狭いケイタイ画面にパッと表示され、スクロールの必要がない短文が喜ばれるようです。どうやら理想的な「文体」は、ケイタイ表示画面に合わせた編集を考慮せざるを得ない状況になったようです。
★ ケイタイSNSを受信しますと、パソコン画面に10数字前後の文字列が次々と行替えされて左寄せに表示されます。これには正直、閉口します。私は、このような文字列編集を考えたこともありませんでした。
★ 利用者も、そろそろ実用的な「モバイル文体」の定型開発をやっていただけないものか、と思っています。たとえば、ズバリ、150文字。これで、モバイル←→PC スムーズに行き来できないでしょうか?
=== 現実となった「マクルーハンの予言」 ===
★ もう半世紀以上も前のこと。私が新聞記者になった昭和29年(1954)にマスコミ業界にショックを与える「マクルーハン旋風」が起こりました。ハーバート・マーシャル・マクルーハン(Herbert Marshall McLuhan) カナダの文明評論家で、今、私たちが使っている「メディア」という新語の創始者です。
★ ちょうど、テレビが登場した頃で、マクルーハンは、『グーテンベルクの銀河系』と題する本を出版して、これまで活字文化が支配した情報産業は終わり、新しい「メディア」(情報媒体)の時代が始まる、と、予言したのです。
★ 当時は、なかなか難解で、歯が立たなかったのですが、今、読み返すと、実によく分かります。荒唐無稽な夢物語はなかなか理解出来ませんが、それが現実となり、実現した姿を前にして、同じ文章を読むのですから当然ですね。
★ マクルーハンは、新しいメディアが出現すれば、情報は、そのメディア自体に内包された伝達装置に規定される、と、喝破しています。テクノロジーやメディアという工学は、実は、人間の身体機能の拡張である。(車は足、望遠鏡は目、ラジオは耳・・・)
★ 「ホッと媒体」(例えばアナログ活字)と「クール媒体」(例えば、デジタル・バイト)では情報そのものの質的内容が異なる、と言うのです。モバイルの登場で、マクルーハンのこの名言の意味を考える糸口を得たような気がします。
=== 始まった情報構造の「逆クロス・メディア」化 ===
★ 情報のモバイル化は、もう避けられません。
それは、私たちの情報生活を、どのように変えるのでしょう。未だ漠然としているのですが、私は、多分、情報が「デジタル→アナログ」へと「逆クロス・メディア」とも言うべき構造に逆転するのではないか、と、思っています。
★ ちょっと抽象的でわかりにくいですね。
私たちは、これまで、必要な情報は、新聞や雑誌を広げて、その中から必要とする情報を集めて来ました。新聞、雑誌の切り抜き帳、どなたも一度は覚えがあると思います。
★ しかし、それを行っている殆どの人が気づいていないことですが、その情報はかなり狭く、偏っています。提供者(新聞、雑誌、その他メディア)の主観の範囲で蒐集したという限定のあることを理解しておかねばなりません。
★ しかし、デジタル時代に入って変わりました、誰でも経験していることですが、情報収集で第一にするのは、新聞よりも、ネット検索です。グーグルやヤフーの検索エンジンで探し求める事柄のキーワードを入れれば、たちどころに、ネット上にある関連情報がズラリ、と並びます。
★ もはや私たちは、特定の新聞やテレビ・ラジオで、《そのメディアが選定した限定的な情報》に頼る必要は全く無くなりました。検索エンジンは、たちどころにネット上にあるすべての関連情報を拾い集めて並べてくれます。
★ しかもモバイルは、私たちが、どこにいようと、必要な情報を検索し、分類・整理して提供してくれます。これほど有能な秘書はいませんね。私たちが習熟しなければならないのは検索の仕方。どのようなキーワードを入れれば最も適切な情報がえられるか? キーワード選択の技術こそ大事ですね。
★ こうした環境の中で、私たちの情報発受信は、どんな仕組みに変わるのでしょう。
書斎やオフィスの机上に置かれたパソコンは、「面」情報を読むのに便利です。それはちょうど、新聞を広げて見るのと同じ安定感があります。
★ 一方、ケイタイに代表されるモバイルは、キーワードの発受信に抜群の効果を発揮します。既にグーグルやヤフーで実用化していますが、私たちがメールをやりとりすると、その通信内容に関連した「お薦め情報」が付いています。
★ これはグーグルが開発した新しい広告ですが、グーグルの情報収集エンジンは24時間、私たちの発受信情報を収集し、分析して、通信内容に相応しい「お薦め情報」を提供しているのです。
★ 当事者以外の第三者提案を含めて、こうした”短信”キーワードが私たちの生活を大きく動かすことになるでしょう。例えば、家電機器の新製品、新しい化粧品、グルメの新規開店・・・・あらゆる種類のキーワードがネット上に飛び交い、そのキーワードで必要な情報に辿り着く。
★ 一例を上げてみましょう。マンションを買い替えたい。そんな時、これまでは新聞広告を点検して情報収集しました。しかし、これからはデジタル検索でめぼしい物件を探して、DMを取り寄せ熟読する。そういうスタイルに変わります。
★ 日本の広告業界の地盤変動は確実に起こっています。新聞、雑誌、テレビなどマスコミ広告が激減しているのに、フリーペーパー、フリーマガジン、DM、展示・映像といったいわゆる「プロモーション広告が増加傾向を示しているのです。
★ 情報が「デジタル→アナログ」へと「逆クロス・メディア」構造に逆転すると、新聞・雑誌、テレビ、ラジオ・・・これまでの旧メディアは、モバイルに従属する2次的、DM的機能を果たすことで共存できるかもしれません。 モバイルが、ケイタイが、新聞、テレビを飲み込む。スゴイ時代になりそう・・・と、いうのが私の予想です。
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** ご挨拶 ** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって
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【精選ブログリンク】( BYOOL BLOGGER お薦め記事満載です
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★ SNSは、「掲示板」を発展させて、会員制の「バーチャル・コミュニティ」として登場しました。既に会員である者が”既知の”友人を誘って交友するサロン、そんな感じで始まりました。お互い顔見知り同士の繋がりの連鎖ですから「安心」というウリでした。
★ ともかくブログもSNSもパソコンのソフトであったのです。ですから、これで作る”画面”は、基本的に「面」編集でした。活字出版のようには行きませんが、ともかくメールで慣れた手法を工夫しながら自分のページを作ってきました。
★ ところが、2年前に、SNSの2番手である[gree]が、これからはモバイル時代だ、と、ケイタイ主導のSNSに切り替えました。業界トップの[mixi]も直ちに追随し、SNSもブログも、提供業者は続々と、モバイル対応を打ち出しました。
★ これによって、利用者の「文体」は劇的な変化を見せるようになりました。
それは、ブログで作っていたような「面」編集ではなく、どちらかと言えば、都会の目抜き通りにあうビルや新幹線の客室ドア上にある「電光ニュース」のように”線状文字列”に変わりました。短いセンテンスで、強烈なイメージをたたき付けるような文章です。
★ 最近、気づいたことですが、モバイルSNSを見ていますと、発受信スタイルはチャットそっくりですね。エントリーにコメントすると、即座に返って来ます。こちらは書斎の机上にあるパソコンに向かっていますが、相手は大抵、町中。歩行中であったり、喫茶店であったり・・・正に、何時でも、何処でも、誰とでも、を実行しています。
★ 狭いケイタイ画面にパッと表示され、スクロールの必要がない短文が喜ばれるようです。どうやら理想的な「文体」は、ケイタイ表示画面に合わせた編集を考慮せざるを得ない状況になったようです。
★ ケイタイSNSを受信しますと、パソコン画面に10数字前後の文字列が次々と行替えされて左寄せに表示されます。これには正直、閉口します。私は、このような文字列編集を考えたこともありませんでした。
★ 利用者も、そろそろ実用的な「モバイル文体」の定型開発をやっていただけないものか、と思っています。たとえば、ズバリ、150文字。これで、モバイル←→PC スムーズに行き来できないでしょうか?
=== 現実となった「マクルーハンの予言」 ===
★ もう半世紀以上も前のこと。私が新聞記者になった昭和29年(1954)にマスコミ業界にショックを与える「マクルーハン旋風」が起こりました。ハーバート・マーシャル・マクルーハン(Herbert Marshall McLuhan) カナダの文明評論家で、今、私たちが使っている「メディア」という新語の創始者です。
★ ちょうど、テレビが登場した頃で、マクルーハンは、『グーテンベルクの銀河系』と題する本を出版して、これまで活字文化が支配した情報産業は終わり、新しい「メディア」(情報媒体)の時代が始まる、と、予言したのです。
★ 当時は、なかなか難解で、歯が立たなかったのですが、今、読み返すと、実によく分かります。荒唐無稽な夢物語はなかなか理解出来ませんが、それが現実となり、実現した姿を前にして、同じ文章を読むのですから当然ですね。
★ マクルーハンは、新しいメディアが出現すれば、情報は、そのメディア自体に内包された伝達装置に規定される、と、喝破しています。テクノロジーやメディアという工学は、実は、人間の身体機能の拡張である。(車は足、望遠鏡は目、ラジオは耳・・・)
★ 「ホッと媒体」(例えばアナログ活字)と「クール媒体」(例えば、デジタル・バイト)では情報そのものの質的内容が異なる、と言うのです。モバイルの登場で、マクルーハンのこの名言の意味を考える糸口を得たような気がします。
=== 始まった情報構造の「逆クロス・メディア」化 ===
★ 情報のモバイル化は、もう避けられません。
それは、私たちの情報生活を、どのように変えるのでしょう。未だ漠然としているのですが、私は、多分、情報が「デジタル→アナログ」へと「逆クロス・メディア」とも言うべき構造に逆転するのではないか、と、思っています。
★ ちょっと抽象的でわかりにくいですね。
私たちは、これまで、必要な情報は、新聞や雑誌を広げて、その中から必要とする情報を集めて来ました。新聞、雑誌の切り抜き帳、どなたも一度は覚えがあると思います。
★ しかし、それを行っている殆どの人が気づいていないことですが、その情報はかなり狭く、偏っています。提供者(新聞、雑誌、その他メディア)の主観の範囲で蒐集したという限定のあることを理解しておかねばなりません。
★ しかし、デジタル時代に入って変わりました、誰でも経験していることですが、情報収集で第一にするのは、新聞よりも、ネット検索です。グーグルやヤフーの検索エンジンで探し求める事柄のキーワードを入れれば、たちどころに、ネット上にある関連情報がズラリ、と並びます。
★ もはや私たちは、特定の新聞やテレビ・ラジオで、《そのメディアが選定した限定的な情報》に頼る必要は全く無くなりました。検索エンジンは、たちどころにネット上にあるすべての関連情報を拾い集めて並べてくれます。
★ しかもモバイルは、私たちが、どこにいようと、必要な情報を検索し、分類・整理して提供してくれます。これほど有能な秘書はいませんね。私たちが習熟しなければならないのは検索の仕方。どのようなキーワードを入れれば最も適切な情報がえられるか? キーワード選択の技術こそ大事ですね。
★ こうした環境の中で、私たちの情報発受信は、どんな仕組みに変わるのでしょう。
書斎やオフィスの机上に置かれたパソコンは、「面」情報を読むのに便利です。それはちょうど、新聞を広げて見るのと同じ安定感があります。
★ 一方、ケイタイに代表されるモバイルは、キーワードの発受信に抜群の効果を発揮します。既にグーグルやヤフーで実用化していますが、私たちがメールをやりとりすると、その通信内容に関連した「お薦め情報」が付いています。
★ これはグーグルが開発した新しい広告ですが、グーグルの情報収集エンジンは24時間、私たちの発受信情報を収集し、分析して、通信内容に相応しい「お薦め情報」を提供しているのです。
★ 当事者以外の第三者提案を含めて、こうした”短信”キーワードが私たちの生活を大きく動かすことになるでしょう。例えば、家電機器の新製品、新しい化粧品、グルメの新規開店・・・・あらゆる種類のキーワードがネット上に飛び交い、そのキーワードで必要な情報に辿り着く。
★ 一例を上げてみましょう。マンションを買い替えたい。そんな時、これまでは新聞広告を点検して情報収集しました。しかし、これからはデジタル検索でめぼしい物件を探して、DMを取り寄せ熟読する。そういうスタイルに変わります。
★ 日本の広告業界の地盤変動は確実に起こっています。新聞、雑誌、テレビなどマスコミ広告が激減しているのに、フリーペーパー、フリーマガジン、DM、展示・映像といったいわゆる「プロモーション広告が増加傾向を示しているのです。
★ 情報が「デジタル→アナログ」へと「逆クロス・メディア」構造に逆転すると、新聞・雑誌、テレビ、ラジオ・・・これまでの旧メディアは、モバイルに従属する2次的、DM的機能を果たすことで共存できるかもしれません。 モバイルが、ケイタイが、新聞、テレビを飲み込む。スゴイ時代になりそう・・・と、いうのが私の予想です。
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** ご挨拶 ** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって
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by zenmz
| 2008-09-14 00:00
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