2008年 11月 15日
【8235】 ミルクの町をクリーンエネルギーで動かす |
★ 過疎の村、田舎道を散歩していますと、時折、野壷跡を見ることがあります。さすがにコンクリートで固めてフタをしてありますが、私たちの子どもの頃にはトイレの屎尿をくみ出して、ここで熟成させ、農業の貴重な肥料となっていました。
★ エコ・ライフ・・・脱化石燃料の開発に、太陽熱、風力、バイオマスなど自然資源の活用が唱えられていますが、その論議を聴くたびに、私は、この野壷を思い起こします。公衆衛生上の観点から下水処理される屎尿・・・・見方を変えれば、これほど大量に廃棄される”自然資源”はありません。
★ 我々の先人は、農業リサイクルで最大限、活用して自らの生命を育んで来ました。その原点に立ち戻って、この”自然資源”をナントカ活用出来ないものか?
漠然と、そのように思って来たのですが・・・・何と、何と! ありました。既に、それを実用化している町が。知らなかった! やはり”論より実行”の人はおられたのです。
★ その人は、東北・北上山地の北辺にある岩手県葛巻町の町長、中村哲雄さん。今年60歳ですが、元はと言えば、葛巻町役場に勤務していた獣医さん。畜産一筋に生きた方で、林業の村の高原に大規模な草地が造成し畜産の町建設へまっしぐら。
★ そして高原・過疎の人口僅かに8000人の町に今、乳牛だけで1万1000頭、牛乳生産量は約120t/日と、「東北一の酪農の町」に仕立て上げました。
★ 2000年に町長選に打って出て、当選するや、《「ミルクとワインの町」の郷土を「クリーンエネルギー」で動かそう》 と夢をぶち上げました。標高1100メートルの神山高原に風力発電所を設置。現在、15基がフル回転しています。
★ 驚くのは、その先。1万1000頭の乳牛ふん尿から発電、熱利用を行う「畜ふんバイオマスシステム」も導入、さらに祖先伝来の森林資源の再開発に着手し、間伐材を利用した「木質バイオガス化発電」、廃棄されていた樹皮を加工してストーブやボイラーに利用する「木質ペレット」の生産も始めたのです。
★ 中村町長のキャッチフレーズは「自然資源を活用して日本一のエネルギー基地に育てよう」 現在では、更に太陽光発電施設も普及中、既に町内消費電力の1.6倍を供給している、という”自給自足”成果をあげているそうです。
★ ”自然資源で日本一のエネルギー基地” 過疎の村の町おこしは、想定外の”副産物”を生み出しました。各種団体の視察や観光客も増え続けて昨年には約50万人が訪れた町内に旅館も生まれ、観光事業も始まりました。
★ 屎尿が生み出す自然エネルギー。それが創り出す夢ある高原の町・・・
「論より実行」・・・高い理想と志しさえあれば・・・中村町長はそれを実証されました。
昨日の、私の日記と合わせてご覧いただきたいと、願います。
===== いただいたコメント =====
銭本三千年 2008年11月15日 13時41分
花咲爺さん。非常に大切なご指摘をありがとうございました。
国レベルから市町村の末端まで公務員は基本的に権力の執行者です。法律・条例の定める枠を守って仕事をする関係上、どうしても一旦、決められた制度を維持することに拘ってしまいます。住民が何か、新しいことを持ち込んでも、六法全書・規則、行政通達などを持ち出して、「それはですね・・・・コレコレ」だから出来ない。どうしてもそんな場面が多くなります。
中には、「なるほどオカシイ。制度の精神はそうでは無いはず」と、住民の訴えに従ってモノを考え直し、国の新しい政策などを探し回って活路を見いだす努力の公務員もいます。中村さんが町長の前に公務員としてなさった先駆的なお仕事は、そういう受け止めで活路を開かれたのでしょうね。要するに制度、法を運用する人の問題。議論は、それに尽きるかもしれません。その決め手は「志し」でしょう。今、公務員が「志しを失った」と批判されていますが、法律一点張りで門前払いの”小権力者”に成り下がった”月給鳥”が多すぎるからだろう、と思います。
「それはですね・・・アレ、コレ、こうなっています」・・・・・
だから出来ない、シナイ。何事も持ち込めば、しないことの説明ばかり。シナイ説得要員に公務員を養っているんじゃないよ、どこの町でも町民は「オカシイ」と思っていますね。「志しさえあれば、活路はあるはず」 中村さんの例を吟味すれば分かりますね。
私も、花咲爺さんと同じく、公務員の矜恃を改めて問いたいです。
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** ご挨拶 ** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって
私のネット交友に寄せる想いです。ご理解賜りたくご一読をお願い申し上げます。
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★ エコ・ライフ・・・脱化石燃料の開発に、太陽熱、風力、バイオマスなど自然資源の活用が唱えられていますが、その論議を聴くたびに、私は、この野壷を思い起こします。公衆衛生上の観点から下水処理される屎尿・・・・見方を変えれば、これほど大量に廃棄される”自然資源”はありません。
★ 我々の先人は、農業リサイクルで最大限、活用して自らの生命を育んで来ました。その原点に立ち戻って、この”自然資源”をナントカ活用出来ないものか?
漠然と、そのように思って来たのですが・・・・何と、何と! ありました。既に、それを実用化している町が。知らなかった! やはり”論より実行”の人はおられたのです。
★ その人は、東北・北上山地の北辺にある岩手県葛巻町の町長、中村哲雄さん。今年60歳ですが、元はと言えば、葛巻町役場に勤務していた獣医さん。畜産一筋に生きた方で、林業の村の高原に大規模な草地が造成し畜産の町建設へまっしぐら。
★ そして高原・過疎の人口僅かに8000人の町に今、乳牛だけで1万1000頭、牛乳生産量は約120t/日と、「東北一の酪農の町」に仕立て上げました。
★ 2000年に町長選に打って出て、当選するや、《「ミルクとワインの町」の郷土を「クリーンエネルギー」で動かそう》 と夢をぶち上げました。標高1100メートルの神山高原に風力発電所を設置。現在、15基がフル回転しています。
★ 驚くのは、その先。1万1000頭の乳牛ふん尿から発電、熱利用を行う「畜ふんバイオマスシステム」も導入、さらに祖先伝来の森林資源の再開発に着手し、間伐材を利用した「木質バイオガス化発電」、廃棄されていた樹皮を加工してストーブやボイラーに利用する「木質ペレット」の生産も始めたのです。
★ 中村町長のキャッチフレーズは「自然資源を活用して日本一のエネルギー基地に育てよう」 現在では、更に太陽光発電施設も普及中、既に町内消費電力の1.6倍を供給している、という”自給自足”成果をあげているそうです。
★ ”自然資源で日本一のエネルギー基地” 過疎の村の町おこしは、想定外の”副産物”を生み出しました。各種団体の視察や観光客も増え続けて昨年には約50万人が訪れた町内に旅館も生まれ、観光事業も始まりました。
★ 屎尿が生み出す自然エネルギー。それが創り出す夢ある高原の町・・・
「論より実行」・・・高い理想と志しさえあれば・・・中村町長はそれを実証されました。
昨日の、私の日記と合わせてご覧いただきたいと、願います。
===== いただいたコメント =====
花咲爺さん 2008年11月15日 09時37分
全国の農村は畜産公害に悩んでいます。町役場の人は、矛盾したことを言います。畜産振興にあれこれ・・・ そして屎尿防止にあれこれ・・・ 両方ともオカネがかかります。これこれするなら助成、補助、あれこれ・・・・言われるままにすると借金ばかり増えて、トドの詰まりは経営破綻。本当に百姓泣かせです。
同じような状況でありながら、岩手県葛巻町で出来て何故、我が町で出来ないのか? この記事をコピーして役所へ行って聴いてみます。吉備野禅三さんの日記はいつも参考になります。いい勉強をさせていただいております。今日も、本当にいいお話をありがとうございました。
さいちゃんさん 2008年11月15日 11時40分
まだ若い町長さんの中村哲雄さんの「自然資源を活用しての日本エネルギー基地」の夢が現実にひとつひとつ叶っているのですね。過疎の町も活性化され本当に素敵なことだと思います。 私がまだ小さいころに父が遠くの畑に天秤を使って運んでいた後ろをついて歩いて行ったことを思い出しました。沢山の人が畑を作って自給自足の時代だったのでしょうか。
漆山 治 2008/11/15(土) 14:34
三圃農業がヨーロッパでは昔から発達していました。これも家畜の糞尿を肥料として使っていたわけです。日本は牧畜が発達したのは明治以降。歴史の厚みも違いますが、まったく無知だったことを反省すべきです。
銭本三千年 2008年11月15日 13時41分
花咲爺さん。非常に大切なご指摘をありがとうございました。
国レベルから市町村の末端まで公務員は基本的に権力の執行者です。法律・条例の定める枠を守って仕事をする関係上、どうしても一旦、決められた制度を維持することに拘ってしまいます。住民が何か、新しいことを持ち込んでも、六法全書・規則、行政通達などを持ち出して、「それはですね・・・・コレコレ」だから出来ない。どうしてもそんな場面が多くなります。
中には、「なるほどオカシイ。制度の精神はそうでは無いはず」と、住民の訴えに従ってモノを考え直し、国の新しい政策などを探し回って活路を見いだす努力の公務員もいます。中村さんが町長の前に公務員としてなさった先駆的なお仕事は、そういう受け止めで活路を開かれたのでしょうね。要するに制度、法を運用する人の問題。議論は、それに尽きるかもしれません。その決め手は「志し」でしょう。今、公務員が「志しを失った」と批判されていますが、法律一点張りで門前払いの”小権力者”に成り下がった”月給鳥”が多すぎるからだろう、と思います。
「それはですね・・・アレ、コレ、こうなっています」・・・・・
だから出来ない、シナイ。何事も持ち込めば、しないことの説明ばかり。シナイ説得要員に公務員を養っているんじゃないよ、どこの町でも町民は「オカシイ」と思っていますね。「志しさえあれば、活路はあるはず」 中村さんの例を吟味すれば分かりますね。
私も、花咲爺さんと同じく、公務員の矜恃を改めて問いたいです。
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** ご挨拶 ** ブログ【彷徨人生・・・喜寿から傘寿へ】公開に当たって
私のネット交友に寄せる想いです。ご理解賜りたくご一読をお願い申し上げます。
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by zenmz
| 2008-11-15 08:42
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